木の瘤(こぶ)パワー

4本の大きな大きなクスノキが、小学校の校庭をおおいつくすほどの影を作ってくれました。その影の元、私達はジャングルジム、うんてい、ブランコ、砂遊び、相撲、石けり等の遊びに興じていました。

半世紀以上まえのことです。

運動会は、全員裸足。小さな石を踏んだ時の痛い事!みんな、変な動きをしていました。

実はこの小さな石が、私たちに変な動きを作り、カラダの歪みを正していたのです。これが、操体法の手技である圧痛操法の原点です。  

クスノキに見守られてスクスク育った私。

クスノキの生き様の象徴ともいえる瘤(こぶ)パワーをありがたく頂くことにしました。

この瘤が作り出す石ころの様な凸凹は、校庭の小石に似ています。これに触れると、変な動きのスイッチが、入ってカラダが勝手に治りそうな気がするのです。

木霊療法と呼ばれた積み木(その1)

40年前、木霊療法と呼ばれた積み木(その1)

今から、40年程前、私は突然「積み木」というアート活動を始めました。今では、その場限りのアートをインスタレーションという専門用語で説明できますが、当時はその様な用語が存在しておらず、

「あんた、どんな芸術やってんの?」

「木を積み上げる・・・まあ~、積み木の様な・・・」

と、説明に戸惑いながらも、自らの作品に自信を持っていました。そんな折、大佛次郎賞作家で精神科医のA先生が、私の作品をヒントに「木霊療法」と称して、とある精神病院でイベントをしたのです。たまたま、イベントの様子をビデオで見ることが出来たのですが・・・

「オレのやってる積み木は、こんなもんじゃない!この病院でやってやる!」

と若気の至り。

ついには、この病院で作品を作ることになりました。積み木の群れの様な写真が、その時の様子です。その結果、作品を気に入って下さった院長の御尽力により、私は、その精神病院で働く事になったのです。しかも、院長直属の芸術療法科に1人勤務。

(つづく)

積み木操体

本日の治療は、積み木操体。

数年間、首肩のコリで悩んでいたAさん。真面目に数ヶ月、当院に通いコリを余り感じない程良くなりました。

それで、クスノキの積み木(木っ端)を背中、腰、首などに置き、ユラユラ気持ち良く動いてもらいました。

「どうですか?」

「気持ちいいです~~」

何度きいても、気持ちいいですの連続。

結局、治療はこれだけ。

治療を終えてAさんの肩、背中に触れると、ユルユル。

どうやら、積み木操体の道が見えて来ました*\(^o^)/*

足首痛が20秒で治った!

近くのスーパーに、愛車の青色軽トラで行った時のことです。

北風が吹き、もうすっかり冬、腕組みをしながら店内に入った瞬間、

「あれ?左足の外踝(そとくるぶし)に刺すような痛み!」

歩くのに支障はないのですが、気になる痛みです・・・

そこで私は、

「瞬間的に治す方法を見つけてやろう!」

と考え『ある行動』に出ました。そして、僅か20秒ほどで治してしまいました。

『ある行動』とは、一体どんなものだったのでしょう?

(1)左外踝(そとくるぶし)に、気持ちよく体重を乗せ、気持ち良さがなくなるまで味わった。

(2)左内踝(うちくるぶし)に、気持ちよく体重を乗せ、気持ち良さがなくなるまで味わった。

(3)右手首の小指側にある圧痛点を左親指で押し、イタ気持ちいい感覚を味わった。

・・・・・・

果たしてその答えは?・・・・・・(3)でした*\(^o^)/*

理由は、形態的連動。

形態的連動*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*

って、聞いたことないでしょう??

痛みを感じるほどの負荷がカラダに掛かった時、瞬間的に対角の部位にその負荷を散らす事を、形態的連動といいます。

今回のケースでは、左外踝(そとくるぶし)と対角に当たるのが、右手首の小指側(尺骨頭ーしゃっこつとう)。ここに負荷が掛かってくるのです。

対角に掛かった負荷を上手に軽減する事で、痛みのある部位の負荷も軽減するのです。

カラダって、面白いですね~~

毛細血管はキーワード

毛細血管は、血管の99%を占め、1人の血管をつなぎ合わせると、地球を2周半してしまうほどの長さになります。

ということは、人体の血液のほとんどは、毛細血管に収まっているのです。そして、生きている間、心臓のポンプが勢いよく血液を運びます。

我々は、心臓の鼓動を感じる時、血液が川のように流れていると想像しますが、99%の血液は、毛細血管で二酸化炭素や酸素の交換、老廃物の運搬をユックリとしているのです。

ここで、農業をしている患者Bさんの言葉を思い出します。

「農業は、土じゃ。ホクホクしたええ土じゃったら、ええ野菜ができるんよ。」

この土を毛細血管に置き換えると、

「人間は、毛細血管じゃ。元気のええ毛細血管じゃったら、健康でおれるんよ。」

ということになります。

静脈瘤、動脈瘤などができるのは、毛細血管に血液が十分浸透しておらず、余分の血液が静脈や動脈を圧迫するからだと思います。

農業でいうと、水分を十分に吸収できる土壌ではないので、野菜が枯れるということになるのです。

私の毛細血管鍛錬法(全くの我流なので、参考になるかどうか分かりませんが・・)

1)朝、やや熱めの風呂につかり、手足の指をしっかりほぐし、最後は、水のシャワーで全身を一気にに冷やす。この結果、風呂上がりがポカポカ。

2)床の雑巾掛け。犬がお座りしたようなポーズで、足指に体重をかけ、肩甲骨を起点に腕を遠くまで伸ばして、体幹を揺する。

3)暇があれば、畳の上で気持ちよくストレッチ。

毛細血管は、キーワードです*\(^o^)/*~~

温故知新

操体法の創始者、橋本敬三先生の論争集「生体の歪みを正す」-創元社-のp226から、抜粋します。

石ころの多い河原で遊ぶ子は丈夫だという。もちろん裸足である。凸凹な刺激で足の裏が少し痛いくらいなら、そこを走りまわれば、体をジョキンとしてはいられない。さまざまに全身を動かして平均をとるのであるが、これが運動系の歪みを是正するのに役立つ。

小学校の軒下に砂利道を作らせて虚弱児童を毎日裸足で100メートルぐらい歩かせたら非常に有効であった。この話を、出征中、同僚の軍医に話したら、帰ってからこの人は一メートル四方ぐらいの砂場のような小石場をつくり、毎日そこで足踏みをさせて大いに有効だと語ってくれた。賢い方法である。ひ弱い婦人などにも適当な全身運動である。

(中略)

満遍なく全身を一通り動かす体操というものは、いうなれば、乱雑に箱に投げ込まれた積木を、箱をゆさぶっておれば整頓してくるようなものと思う。厳格な意味での体操というものは、一人一人の歪みに応じて力学的に適切な処方を必要とするものであるが、無理に強制しないで気楽に動かしているなら、そのような効果はある。

上記の論文は、サラッと流れるように書かれていますが、非常に奥が深い。

(中略)をはさんで、上下の論文は、同じことを書いているようですが、微妙に違います。

上は、圧痛点に対しての逃避反射。下は、体操の本質。

まさに、温故知新。

今まで、p226は、逃避反射に関することのみを書いていると思っていました。しかし、橋本敬三先生は、体操の本質を「一人一人の歪みに応じて力学的に適切な処方を必要とするもの」と述べておられます。

一人一人歪みは違います。その歪みに応じて力学的に適切な処方をするには、重力という全ての人々に平等に与えられた法則にありがたく身を委ねることから始まる。そんな気がします。

極端な事をことを言うと、5mほどの綱を落ちないように渡るだけで、カラダの歪みは、正されるということです。

事実、これに近い状況下に身を置くと、勝手にカラダは正されます。そして、橋本先生がおっしゃる「治療なんて、下の下だ。」という言葉が、腑に落ちます。

ある試み

1週間前、千葉県行徳のゴールドジムで、平直行さん主催「やわらぎ操体ワークショップ」がありました。平さんは、人気漫画「グラップラー刃牙」のモデル。

総合格闘家の草分けで、故アンディ・フグの友人です。 大気拳、柳生心影流をマスターし、その奥義をもとに新たな身体理論を作り上げ、実践されています。いわゆる、天才です。

平さんは、人工芝、スポンジ等を使って、無意識の動きを引き出すメソッドを作り上げました。

このアイデアは、非常に素晴らしい!

平さんのメソッドを有り難くお借りし、私なりの方法論を展開してみようと思います。

私は、ジョアンミロ美術館で木、砂、小石などの上を歩行して、スペインの子供達のカラダ歪みを取るワークショップをしたことがあります。

この時は、子供達が作った積み木の道を歩き、ゆっくりと休息するようにしました。2週間後には、子供達のカラダの歪みが取れ、穏やかなカラダと心になっていました。

そこで、積み木を人工芝に置き換えて、試みています。

人は、二足歩行をすることで、手を発達させ文明を築き上げました。しかし、その弊害で肩コリ、腰痛が生まれたと、考えてもおかしくはありません。

この二足歩行を改めて考えてみることで、肩コリ、腰痛が解消できれば、、と、試みています。

なお、この人工芝は普段は収納されていますので、床は板間のままです。

 

 

 

積み木アートへ

現在、京都出張治療で、ロンドクレアント(北白川伊織町40)というギャラリーにいます。お昼からは、大徳寺に、出張治療で出かけます。

今回は、キャンセルが多くて大変ですが、その分自らの治療法を問いただす時間をいただいています。

つくづく感じるのは、カラダは良くなるように出来ているということです。

その法則に身を置くだけでいいのです。橋本敬三先生(操体法創始者)が、「治療なんて下の下だ」とおっしゃっていた意味がやっと分かって来ました。

今回は、治療らしきことをしないで、80%くらい。治療らしきことで20%。おおよそ、30分で終了しています。最後の最後に鍼治療をする時がある程度です。

今後は、20年間やってきた積み木アートを、2004年ジョアンミロ美術館で展開した路線に結びつける操体アートへの展開です。

私の心の中でくすぶっていた、離婚への負い目も、6月次女と会うことで軽減してきました。やっと、道路を歩いている子供たちを見ても、目を合わすことが出来るようになりました。

子供たちのためにと始めた積み木アートに、再び手をつけたくなりました。幸い、滞在している宿が、ギャラリーで、しかも、その長男が木の原木を仕事にしているため、積み木アートが出来る環境です。

地元松山での仕事を早く軌道に乗せ、治療とアートとの融合をロンドクレアントで展開してみようと思います。

ストレッチ?操体法?

座ってできるふくらはぎ(腓腹筋)のストレッチ。この動きに呼吸や目線、足指の伸展などを加えていくと、より質の高いストレッチとなります。

ストレッチと操体法の境界線は、これらの要因が加わり、「気持ち良さ」に比重を置くかどうか。

操体法は、気持ち良さを指針とします。カラダや心の歪みが正される時に、気持ち良さを感じます。そして、全ての生き物は、このベクトルに向かい生きています。

ただ、人間は生活のために、仕事をし、ついつい仕事優先の生き方になる傾向があります。カラダの声に耳を傾ける時間もなくなり、いつのまにかカラダに歪みを作ってしまいます。

チョットした時間を見つけて、気持ちよくカラダの歪みを取っていきましょう。

自力自療

夜行バスに乗って7~8時間。畳の間で3~4人患者さんの治療をすると、中腰になるため、腰に負担がかかります。腰痛の一歩手前 ・・・

こういう時は、畳でゴロゴロします。どこに張りがあるかチェックし、その部位を可動域ギリギリまで伸ばし、軽くその部位が動かないように抑えます。

その後は、その部位にある筋肉をゆっくりと動かし、一番気持ちのいい力加減で味わいます。

これは、とても気持ちがいいので、ダラダラと続けます。

この動きに、ゆっくりとした腹式呼吸を加えると、非常に効果的です。

現在、私は京都市内のパン屋さんで食事をしながら記事を書いています。この時も、骨盤の調整を気持ちよくおこないなが、iPad に向かっているのです。

いつの間にか、自力自療が身についているようです。