触覚アート

以前にも書いたことがあるのですが、私は大学卒業論文(作文のようなものでした)で、触覚アートが大切になるという主旨のことを書いたのです。それで、触れると倒れる「積み木」という作品を発表しました。ところが、こんな作品は売れません。結局芸術では生活できませんでした。気がついてみると、鍼灸師になり触覚アートを追求するようになっていました。目が不自由な方で優れた鍼灸師の方は多くいらっしゃいます。

日本独特の鍼管(しんかん)を使用した鍼治療を考案したのは、杉山和一という目の不自由な鍼灸師です。鍼灸師で杉山和一を知らない人は、絶対いません。それほど、この業界では著名な伝説の鍼灸師なのです。

最近、鍼灸治療をしていて、これこそまさに触覚アートであると実感できるようになりました。上腕診という肘内側の横紋を触診する大切な診断方法があるのですが、これに全く反応しない患者さんがおられました。4ヶ月も反応ないので、何とかならないものか・・・と思い、膝を押圧するとその患者さんが初めて痛みを感じ、上腕診と同じ診断ができるようになったのです。それ以来、全ての患者さんに対して、上腕診のかわりに膝診(勝手に命名しました)をするようになりました。

この膝の触診を3年続けるうち、治療点に親指の爪を押圧すると、膝ウラの診断点が反応し触れた指先に伝わる事がやっと分かったのです。そのため、患者さんが感じる前に分かることがあります。

これこそ私が求めていた触覚アート。これから、もっと追求します。

動く頭蓋骨

「先生、なんか頭の形が少しずつ変わっているような気がするんですけど・・・」

出産時に受けた圧力で、少し頭が歪(いびつ)になっていた50才代の女性患者Aさん。非常に感覚の鋭い方なので、微妙な変化に気がつかれたのだと思います。確かに以前、

「なんか歯が動いている気がします・・・・噛み合わせが変わっている・・・と思います。」

頭に置鍼している時、Aさんが喋ってくれました。そして、今回も、

「左側の噛み合わせは上が動く感じ、右側は奥が動く感じです。」

と言ってくれました。これは、事実だと思います。カラダは、常に元に戻ろうとしています。そこで、操体法の創始者・橋本敬三先生の著書の一部をご紹介します。これは、マストから落ちて、オデコに陥没骨折(直径5cm深さ1cm)をした漁夫の治療をした時のことです。

『陥没されている圧力がどこかに現れてはいないものかと丹念に全頭蓋を触診してみたところ、ちょうど反対側の後頭部に少し膨隆を感じ、力を入れて指圧すると痛いと言う。適度の圧力を加えると快感を感じると言う。そこで毎日数分ずつ、ここに指圧を加えたところ、数日にして驚くべく陥没は回復してきた。十数日にして外見上、よほど注意しないとわからないくらいになった。』

『頭蓋骨なども左右はだいたい不同なものであるが、これらも重心の偏倚によるものである。すなわち全骨格の歪みは、頸椎と頭蓋骨間の筋の緊張に異常を生ずるので、一方に引っ張られて形が変わってくるのであって、元来骨は動きやすいものである。少し頭を使ったり、または風邪などによって、頭の血流の環境が激しくなっただけでも、頭蓋骨は緩んでくる。ゆえに、鉢巻をしてやればよいのである。』

カラダの歪みは首に現れて、それを緩めると頭蓋骨も緩んでくると橋本敬三先生はおっしゃっています。Aさんの治療では、首診を行い置鍼し、首を緩めています。ですから、頭蓋骨が動いているのです。

テルミー療法

患者さんから多くのことを学びます。今日は、テルミー療法について学びました。40才代の女性患者Bさんが、足首に虫刺されから湿疹のようなもの出来、かゆみに耐えられないほどだったのに、友人から受けたテルミー療法の2日後にすっかり治ったそうなのです。そこで、テルミー療法を調べてみました。下記の通りです。

『 「テルミー」とは、ギリシャ語で「温熱を利用した療法」を意味しています。

歴史は古く、1910年から約20年にわたる実験・研究によって、1929年(昭和4年)に発明されました。すでに70年以上の歴史がある民間療法なのです。

自然治癒力をたかめる家庭健康療法

テルミーの温熱刺激は、自律神経系・内分泌系・免疫系の働きを調整して、生命を維持する機能(ホメオスターシス)や自然治癒力をたかめることを目指しています。

また、血液やリンパ液の流れを促進させ、疲労回復や筋肉のこり等を癒し、消化器系の働きを活性化させる効果もあります。

つまり、心とからだの両面から自然治癒力に働きかけて、病気の予防、疲労回復、健康増進を目的とした家庭健康療法です。

安らぎを与え、誰にでもできて安全

誰にでもできる・・・子どもやお年よりにもかけてあげられます。

家庭でできる・・・自分自身でできます。もちろん家族同士でかけ合うこともできます。

操作が簡単・・・わずかな練習時間で誰でも扱えます。また、医学知識や経絡・経穴(ツボ)を知らなくてもできます。

安全である・・・副作用がなく、薬剤等との併用もさしつかえがありません。

気持ちがよい・・・テルミーの温もりは優しくおだやかで、リラックス効果もあります。

テルミー療法の行い方

使い方の基本は撫(な)でること

テルミー線(数種類の植物成分からできた線香状のもの)にロウソクなどで点火します。

冷温器(万年筆大の銅でできた筒状のもの)の中に入れます。

冷温器2本を1セットにして体表(皮膚・血管・リンパ管・神経・筋肉など)を刺激します。

刺激の方法は、皮膚を撫(な)でたり圧(お)したりすることによって器械的な刺激と温熱刺激を与える方法や、皮膚に直接触れずに熱や煙、光の刺激を与える方法などがあります。ぜひテルミーのおだやかな温もりを体験してください。

テルミーが考える「健康観」

私たちの心とからだには、生まれながらに健康を回復させる力が備わっています。それは「自然治癒力」と呼ばれる力です。

病気は、自然治癒力より病気の悪化力が大きくなったときにおこります。  現代医学の治療は、薬物その他の方法により病気をおさえ健康を回復しようとしますが、テルミー療法では日ごろから自然治癒力をたかめることによって健康を維持しようと考えています。

病気になってから手当をするのではなく、病気に負けないからだづくり、つまり病気を未然に防ぐことを大切にしています。とはいえ日ごろから健康に注意していても、病気やケガをしてしまうこともあります。そんなときテルミー療法は、部分的に治そうとするのではなく“心とからだ”の両面に働きかけ、少しでもはやく健康になるように自然治癒力の機能をたかめようとします。

幸せな人生は健康から生まれます。しかし、人にはそれぞれの人生観があるように、健康に対する考えもそれぞれ違います。イトオテルミー親友会は本療法を基本に、健康について会員の皆様と一緒に考えていきたいと思います。

それぞれに理想の健康観を確立して幸せな人生をおくりましょう。』

私にあっている気がします。山元式新頭鍼療法に取り入れることも可能かもしれません。楽しみ!

患者着

今日も入道雲が湧き上がる真夏日だったのですが、早朝には、結構な雨が降り続けました。ヒマワリに水をやることもなく、9時からの患者さんをお待ちしていたのですが、その患者さん、バイクに乗って来られました。半袖から見える腕が濡れているので、すぐさまタオルを用意して腕を拭いていただきました。

「上は、カッパをかぶってたんで、大丈夫だと思います。」

「そうですか・・・あれ?やっぱり結構濡れていますよ・・・着替えましょうか?」

幸い、以前は患者着(かんじゃぎ)に上下はき替えていただき、治療をしていたので、沢山患者着を用意しています。そこで、今では音楽関係の物置のようになった着替え室で上下ともはき替えていただきました。60才代の男性患者Aさんの濡れたシャツとジーンズを着替え室で干すことにしました。普段、治療している患者さんに風を送っているサーキュレーターを移動して、濡れたシャツとジーンズに風を当てました。

治療が終了して、シャツとジーンズの乾き具合をみてみると、ジーンズは良いのですが、シャツがまだ濡れています。そこで、アイロン掛けをすることにしました。当院は、中央部に3畳ほどのタタミ部屋が40cmの高さであります。そこに大きなタオルを敷くと、大きなアイロン台になるのです。普段は、私が操体法をしながらカラダと向き合う場所なのですが、アイロン台で、その上4つの引き出しがあるので、鍼やカルテやクッションの保管庫でもあります。

そこで、シャツにしっかりアイロン掛けして、気持ちよく着替えていただきました。もう患者着を使うことはないだろうと思っていたのですが、このような緊急時には役に立つのです!めでたし、めでたし。

やっぱり良くわからない

『帯状疱疹の原因は、子どもの頃に感染する水痘(水ぼうそう)と同じ水痘・帯状疱疹ウイルスである。ヘルペスウイルスの一種であるため、性器ヘルペスと同様に一度でも感染すると、ウイルスは体内の背骨付近の神経節に潜む。そのため、加齢やストレス、過労、後天性免疫不全症候群で免疫力が低下した時に症状が起きる。』

とあります。この時、肋骨に沿って帯状疱疹が出ることが多いのですが、この帯状というのがデルマトームの位置するところとなります。神経に沿った皮膚分節です。水疱瘡のウイルスが潜む神経節のもう少し背骨側に神経根があります。山元式新頭鍼療法(YNSA)ではこの神経根をピンポイントで狙い、頭に置鍼します。ということは、帯状疱疹にはYNSAが非常に効果があるように思います。最近、患者さんの痛みの部分と、デルマトームの図を照合して、

「どこが痛いですか?L2あたりですか?」

「そうですね・・・L2です。」

などと確認しながら、置鍼しています。これが効果的で患者さんにも納得していただいています。ただ、ここまで書いてデルマトームだけで、鍼麻酔が出来るとは思えなくなってきました・・・・やっぱり、山元先生に直接伺うに限るようです。

鍼麻酔

山元式新頭鍼療法(YNSA)創始者、山元敏勝先生は、今から55年前の1968年に、鍼麻酔で無痛分娩を成功させられました。その一説が先生の著書「あきらめなければ、痛みも、麻痺も、必ず治る!」に書かれていますので、記載します。

『1968年に針麻酔を導入し、無痛分娩を成功させたのです。

医大を卒業後、アメリカで学んだ麻酔学が針と出会うことによって、生まれた成果に、私自身、とても驚くこととなりました。

その後、この無痛分娩の回数を増やすとともに、一般的な外科手術にも針麻酔を導入していきました。西洋医学の麻酔は大きな副作用をともないます。これに対し、針麻酔は、副作用が一切ありません。そして術後の回復がとても早いのです。盲腸と言われる虫垂炎の手術では、一般的な場合、麻酔を使用すると、手術後ガスが出るまで、水分を取ることもできません。しかし、針麻酔での手術では手術中に水を飲むこともでき、手術後すぐに物を食べることもできます。小さい子供も、「手術が終わったらすぐにアイスクリームも食べられるよ」と言うと、手術を怖がりませんでした。

また、一般の外科手術でも、産婦人科での帝王切開手術でも、この針麻酔を使用することで、手術後、患者さんは麻酔の副作用に苦しむこともなく、歩いて病室に戻ることもできました。私はこの針麻酔によって、2000例以上の手術に成功を収めました。』

上記の様子をビデオ録画で見ましたが、手術中に水を飲んだり、手術後にスタスタと病室に戻っておられる患者さんの姿に強烈なショックを受けました。どの様にして山元先生は鍼麻酔の治療点を見つけられたのでしょうか?この本には記載されていません。

そこで、私の勝手な解釈を述べてみます。デルマトーム(皮膚分節)が関与しているのではないかと思います。明日このことについて述べてみます。

足へのお灸

「今日は、お灸でお願いします。」

2週間に1度のペースで来院される60才代の男性患者Aさん、首肩コリと腰痛です。私は、四国というマダガスカル島で、山元式新頭鍼療法(YNSA)を自分なりの解釈で行っているので、本来なら上腕診という脳と脊髄を診断する方法を、膝診というやり方に置き換えてしまったり、本来なら、頭に置鍼すべきところを、足にお灸をすることで、治療することもあります。効果は同じです。そのため、この2つを併用することが多くなってきました。

足のお灸治療の利点は、患者さんに治療点をお教えすることで、ご自身でお灸できることです。また、パイオネックス(円皮鍼)を貼れることも可能です。そのため、徐々に足お灸の治療が増え始めています。

それで、Aさんお灸11壮で治療終了となりました。自律神経と内臓の調整で首肩コリと腰痛が治りました!

湿邪にご注意!

梅雨に入りました。この時期に偏頭痛がでる・・・などと、病名が決まる以前の症状を訴える患者さんが増えています。これは、低気圧による身体のむくみ、それによる血流の悪さが原因の一つです。なぜ低気圧になると、身体がむくむかというと、深海魚を釣り上げた時の状態を思い浮かべると理解しやすいと思います。気圧の高い深海から低い海上に出てきた深海魚は、パンパンにむくんでいます。

極端な例ですが、我々も気圧の低い場所に移動すると、このような状態になるのです。特に、弱いところが、パンクした自転車のチューブのように膨張します。血管も膨張するため、血流に勢いがなくなり、本来血流の少ないところがもっと少なくなり、痛みなどが生じやすくなります。

また、カラダ中をサランラップに覆(おお)われたような不快感が生じ、熱い外気に触れると、カラダが結露を作り、かえって冷えてしまう結果を生みます。そうすると、古傷が出てくる恐れがあります。皆さん、梅雨の時期はお身体を大切しましょう!

下記はインターネットから引用した梅雨だるの原因です。参考にしてください。

梅雨だるの原因(1)自律神経の乱れ

私たちは、緊張モードの交感神経とリラックスモードの副交感神経をバランスよく切り替えて1日を過ごしています。しかし、梅雨時期のように気圧が低い状況が続くと、空気中の酸素が少なくなるため、身体は活動を最小限に抑えようと、本来活動的であるはずの昼でも副交感神経を優位にしてお休みモードになり、自律神経のリズムが乱れやすくなります。

梅雨だるの原因(2) 水分バランスの乱れ“湿邪(しつじゃ) ”

湿度の高い環境では、十分に汗をかくことができず、体内に余分な水分や老廃物が溜まりやすくなり、血めぐりが悪くなります。漢方医学では、このような不調を引き起こす湿度や湿気のことを “湿邪(しつじゃ)”と呼び、体内に取り込まれることで、頭痛、消化不良、便秘、むくみ、などの様々な不調が全身に表れます。

あはき法

今日は、ガレージの壁紙の撤去を一応終了しました。一応というのは、やはり一応で完璧にはできません。遠くから見ればもうバッチリです。そこで、以前患者さん集めをしようと思い作った看板が目を引きました。せっかく作ったのですが、掲示出来なくなってしまいました。

その理由は、「あはき法」という広告制限があるからです。「あ」というのは、あんまマッサージ指圧の事で、「は」というのは鍼治療、「き」というのは、灸治療のことです。

『近年、保健所の広告指導が厳しくなっており、行き過ぎた表示である「交通事故専門」、「むちうち専門治療」、「肩こり治療」、「腰痛症治療」等だけでなく、広告の制限の法律に掲げる事項以外は一切認めないという指導が開始され、全国に広まっています。

例えば、「各種保険取扱」の表現や病院では認められている「外観やスタッフの写真」も注意を受ける対象になっています。そのため、実際はほとんど広告できないのが現状です。』

とあり、広告はできません。それなのに、写真のような文章を掲げたものですから、市役所からお咎(とが)めの手紙が届きました。早速連絡したところ、直ちに取り外してくださいとの事でした。国家資格ではない整体などは、あはき法には縛られていないので、様々な広告を出すことが出来るのです。ちなみに、国家資格は、柔道整復師(接骨院)、鍼灸師、あんまマッサージ指圧師です。整体やカイロプラクティックなどは違います。

アメリカ事情

(写真は、文章と全く関係ありません)

アメリカは、反ベトナム戦争、ウーマンリブの台頭など市民が声を上げて政府を非難するデモなどを、お越す傾向があります。それに対して政府が動かざるを得ないときが出てきます。1991年10月、西洋医学のみの治療に反対する動きに対して、アメリカ議会が補完代替医療(西洋医学以外の医療、特に鍼治療は中心的役割をしています)を認め、OAM(代替医療事務局)を設立し2億円の予算を組みました。その後、1997年には、NCCAM(国立補完代替医療センター)と格上の組織になり、遂には、補完代替医療といっていた分野が、西洋医学と統合してIntegrative Medicine(統合医療)・・・つまり、西洋医学と補完代替医療が一緒になって患者さんのための医療、全人格的な医療を行いましょうとなっていったのです。

そして、2014年にはNCCIH(国立補完統合健康センター)とさらに格上げされ124億円の予算が組まれたのです。23年間で予算が60倍以上になっています。

また、ハーバード大学の鍼灸治療をされているデービッド・アイゼンバーグ博士は、1993年、アメリカ人がこの1年間で補完代替医療を利用した割合を発表しました。すると国民の34%が利用しているというデータとなりました。これは30年前のことで、このデータから今のアメリカにおける補完代替医療の利用者率の高さは推測出来ると思います。

これらのことから、私のやっている治療は間違っていないと確信しています。それをこれからどのように展開していくのか・・・・行動あるのみ!