ウソ!

60才代の女性患者Aさん、体調管理で月に1回の来院です。今回は目が疲れ、首が痛く、腕のぶらぶら体操をすると左肩がカクカク音がするそうです。

そこで、オデコにある目の治療点に2本置鍼。次に膝診を行い、頭に置鍼をすると膝がゆるみました。膝がゆるむと背中の大きく長い脊柱起立筋がゆるみます。すると脊柱管から出ている自律神経が整うことになります。

次に首診で内臓の状態を診断し、頭に置鍼。すると首がゆるんできます。首がゆるむと内臓がゆるみます。

「首の状態、どうですか?」

「・・・・ああ、いい感じ!」

「肩はどうですか?」

「・・・・・・・まだ、カクカクします。」

そこでヤンキーの人が、ひたいにカミソリで剃り込んでいるところ周辺の圧痛点に置鍼。

「これで肩どうですか?」

「・・・・・・・大丈夫!」

「ウソ!」

治療を見学していた男性が思わず叫びます。

「ホントよ!」

と、Aさんニッコリ。後は3人で世間話や、健康の話をして楽しく過ごしました・・・おしまい。

100→1

60才代の女性患者Cさん、2週間前から咳(せき)が出て眠れない日々が続くことがあります。いつものように、膝診、首診をして頭に置鍼をしようとしたのですが、頭が異常に熱いので、氷水で冷やすことにしました。

「どうですか・・・」

「気持ちいいです。」

「気持ちいいのがお薬ですから、味わってください・・・・冷たいだけになったら、教えてください。」

「・・・・冷たいだけになりました。」

そこで、Cさんの頭に手を当てると、熱が鎮(しず)まっていました。それからは、いつものように、頭の置鍼をしていたのですが、

「なんかふわふわして、気分悪いです。」

突然のCさんの訴えに、その場で仰向けになってもらいました。頭の置鍼でたまに、このような訴えをする方があります。こんな場合は、足を上にして床に仰向けになってもらい、落ち着くまで待ちます。10分ほどで落ち着いてきたので、施術を再開。

頭の置鍼をやめて、足にお灸をすることにしました。首診で内蔵の状態を確かめたあと、15壮のお灸で首の圧痛・硬結を取り、施術は終了。2~3日後にCさんから電話がありました。

「先生、おかげさまですっかり良くなりました。あの時の状態が100だったら今は、1です。」

という事で、一安心しました・・・・おしまい。

ギックリクビ3

「こんにちは!」

笑顔が素敵な60才代の女性患者Aさんに、笑顔が戻ってきました。6日前は、ギックリクビで、全くクビを左右に向けることが出来なかったのですが、3回の施術で普通に動くクビに戻ってきました。まだ上を向くとクビの中央部やや左奥に痛みが残っているそうです。

「今日は、お灸だけでやってみましょう!」

私は、鍼治療も好きですが、お灸の方がもっと好きなのです。理由は、患者さんがご自身で足にお灸をすることができるからです。

「非常識の医学書」で福田稔医師は、『病気を治すのは、患者さん自身、95%は患者さんによるもので、5%が私たち医師の手伝いによるものと考えています』とあり、やはり、お灸でセルフケアをすることが一番だと思います。

お灸のもっといいことは、ヨモギから簡単に作ることが出来ることにあります。乾燥したヨモギをミキサーにかけ、篩(ふるい)に4~5回かければ出来ます。そうなんです、無料の手作りが魅力なのです!

ということで、Aさん6日前のクビの痛みが10→0.5になりました、良かった、良かった!

ギックリクビ2

60才代の女性患者Aさん、ギックリ腰ならぬ、ギックリクビで来院され10の痛みが3にまで回復して帰宅されたのですが、翌日再びぶり返して同じような痛みになりました。そこで、左中指を中心にした施術をし帰宅され・・・・本日、3回目の施術となりました。

「こんにちは!」

今回は、笑顔で来院されました。

「だいぶ、良くなりました。夏の疲れが積もり積もって、ドバッとクビに来た感じでした。そして、今まで寝返りが出来なかったのですが、今朝は寝返りしていました。」

と客観的に説明していただける程、余裕があるので、一安心。山元式新頭鍼療法(YNSA)では膝診をし、頭に置鍼し、自律神経を整えます。次に首診というクビを親指で押して、内臓の状態を診る方法で、頭に置鍼し内臓を整えます。Aさんのクビで最も痛いのが、胃の診断点に位置しています。また、脾臓の診断点にも痛みがあります。

そこで、胃と脾臓の頭にある治療点に合計6本置鍼。

「これで、どうですか?」

「・・・・ずいぶんいいです・・・クビの奥に何かまだ残っています・・・けど、来た時に比べたら、全然違う!」

あとは、足ウラに見つけた治療点に鍉鍼(ていしん=銀の細い棒)で一撃。

「ええい!」

「うううううう・・・痛い!」

で終了となりました。

 

ギックリクビ

60才代の女性患者Aさん、昨日クビに異変を感じながら眠ったのですが、今日の昼頃、痛みで全くクビが回らなくなりました。そのため、ご主人が運転する車で来院されました。

山元式新頭鍼療法(YNSA)は、上腕診という頸椎、胸椎、腰椎の状態を診断し、頭にある治療点に置鍼します。また、首診で内臓の状態を診断し、頭にある治療点に置鍼します。そのため、Aさんのようにクビが回らない患者さんにとって、YNSAは都合が良いのです。私は上腕診の代わりに膝診をしていますが、結果は同じなのでYNSAをしていることになります。

さて、Aさん。クビを動かすことが全く出来ず、左右を見ようとすると、体幹をゆっくり動かしながら移動するだけです。まるで、空気のギブスをはめられているような状態です。

『これは、きつそう・・・可哀想。』

と、思いながらも22本の置鍼で、痛みが10→3になり、右の可動域は、10→0、左の可動域は10→3にまで回復しました。

この施術で分かったのは、Aさんのギックリクビは、急性の治療点より、慢性の治療点の方が効いたという事実でした。今回のギックリクビは、Aさんの慢性的な生活習慣に何か原因があるのでは・・・・という、ヒントを与えてもらった気がします。

玉手箱

 

10才代の男子スポーツ選手A君。4ヶ月前に膝痛で来院、1回の治療で良くなったのですが、再び再発。再発後2度目の施術となります。いつものように、膝診をして、5本頭に置鍼。次に、膝治療のため、頭に3本置鍼。すると、膝痛は半減します。その後、足ウラ、肘などの治療点に鍼やお灸をするのですが、今回はあまり効果的ではありません。

そこで、杉本練堂先生の天城流から足首でもアキレス腱周辺の圧痛部位と、大腿部内側の圧痛部位を筋膜はがし。

「これで、どう?」

「いいです。今日一番です。」

「2日前に来たときの痛みが10で、全く痛くないのが0なら、今は?」

「1です。」

という訳で天城流という引き出しは、玉手箱でした。

肩がもっと痛たなった!

「先生、前の治療から翌日は、もっと肩が痛うなって・・・・こりゃ、先生が来られるまで保つかな・・・・と、思っとたら、次の日からドンドン良うなって。先生、ほれスムーズ右腕が上がるようになった。」

「あっ、本当じゃ!凄い」

「先生ほじゃけん、みかんの棘(とげ)をハサミで取る仕事が出来たんで。今日で、この仕事は終わって・・・・お父さんと、ジャガイモを植える仕事したんよ。」

「それはよかった。前回の治療で結果が出んかったけん、実は今日、腰に鍼を刺そうと特別な鍼を持って来とったんよ・・・・そしたら、前回と同じように、痛い方を上にして横向きになってもらいましょうか。」

という事になり、腰の押圧で肩を治す施術をしたのでした・・・おしまい。

鍼嫌いな女性患者3

Bさんは、腰の痛みがなくなると、首の痛みを訴えられました。

「もう一度、どこか教えてください・・・・・ああ、大腸だ!」

山元式新頭鍼療法(YNSA)では、首診といって首を親指で押圧し、圧痛、硬結点を見つけ内臓の状態を診断する手技があります。Bさんは、首の根元の大腸診断点に圧痛硬結がありました。そこで、頭頂部にある大腸治療点に中指の指紋がある所を軽く当ててみました。それと同時に余った右手の中指を首根元の圧痛硬結点に軽く当てる操法。しばらくたって・・・

「どうですか・・・・・首?」

「・・・・いい、軽いです・・・・反対の首が気になります。」

と、Bさんのリクエスト。反対の首も同様の操法をやって、やはり首が軽くなりました。鍼の嫌いなBさんでも、YNSAの理論で鍼を使わない治療ができる・・・ような気がします。もう少し実践してみます。

鍼嫌いの女性患者さん2

左腰痛が徐々によくなったBさん。山元式新頭鍼療法(YNSA)では、腰の痛みを、肩の三角筋に刺鍼する事で治します。鍼の嫌いなBさんには、左肩三角筋の筋膜剥がしをすることにしました。

「ここ、どうですか?」

「痛い!ものすごく痛い!」

左三角筋から上腕にかけてパンパンに筋肉が張っています。この筋肉がゆるむと、左三角筋に対応する左大臀筋、中臀筋、小臀筋がゆるみます。ほぐし方は、指先を使うのですが、実際には身体の体重移動で固定した指先を道具のように扱います。これがポイント。

「どうですか・・・腰?」

「いい、痛くない!」

「そしたら、これで終了しても・・・」

「あのう~、首も痛いんです・・・・ここ!」

(つづく)

鍼が嫌いな女性患者さん

50才代の女性患者Bさん、鍼が好きではありません。そこで、今回は山元式新頭鍼療法(YNSA)を基礎にし、鍼を使用しない施術をすることにしました。Bさんは、左の腰痛が気になります。そこで、仰向けになってもらいます。

「足の長さを比べてみますね・・・・あれ、あんまり長さが違わない。そしたら、両膝を立ててみてください。」

両膝を立てて、ゆっくり左右に倒しどちらに倒したら痛いのかを、確認します。倒して痛い側に再び倒してもらい(痛くなる手前の位置まで)、楽な方に戻してもらう動きをしてもらいます。

「実際には、私が軽く両膝を触れて動かないようにしているので、連動して上体がゆっくり動くでしょう?気持ちよく動いてください・・・・決して無理をしないでください。」

などと、言葉で誘導していきます。

「・・・・どうですか、膝を倒して・・・・痛いですか?」

「・・・少しずつですが、痛みがなくなっています。」

(つづく)