逆流性食道炎再び

以前、空腹時に吐き気がするといった患者さんがいる事を、ご紹介し、「逆流性食道炎」の可能性があると述べました。それを「石原医学大全」ではどのように捉えて、対処しているのか調べてみます。

『胸焼け・逆流性食道炎

(原因)

強酸性の胃液がアルカリ性の食道粘膜に逆流してくることで起こる。肉、卵、バターなどの欧米食、白米、白砂糖などの精白食、添加物過多の食事をよく噛まないで食べることにより、胃液が大量に分泌されることがきっかけになる。水分の摂りすぎも胃液の量を増やすので原因となる。

(対処)

①約10グラムの昆布を網で焼き、1日3回に分けて食べる。昆布はアルカリ性、胃酸を中和する作用がある。

②生姜湯、梅醤番茶を1日2~3回飲む。

③熱い番茶にゴマ塩を一つまみ加えて飲む。

④熱い風呂に短時間入って、皮膚の血管を急速に拡張させる。血液が体表に集まって胃粘膜への血行が悪くなるので、胃液の分泌が抑えられる。

⑤次の生ジュースを噛むようにゆっくり飲む。

*人参2本(400g)、リンゴ2/3個(200g)、大根(約100g)「480cc=コップ2杯半」

大根は消化酵素が豊富で胸焼けを抑える作用がある。』

薬を使わなくて手軽に出来そうですね。

臀圧再び

1週間前から腕全体を横に上げると、肩中央部(三角筋中部繊維)に痛みが出る60才代の男性患者Aさん。ボールを投げる動きの時には、痛みが無いそうです。

投げる時に使う腕や肩周りの筋肉は、大胸筋や、大円筋、前鋸筋、広背筋などの肩回りの筋肉。上腕三頭筋などの上肢の筋。屈曲回内筋群(特に尺側手根屈筋尺骨頭、円回内筋)の前腕の筋肉となります。

肩中央部(三角筋中部繊維)は投げる時には、あまり関係が無いので痛みがない訳です。となると、話は簡単です。肩中央部の三角筋中央部繊維を狙えばいいわけです。膝診で3本置鍼して、自律神経を整えたあと、頭頂部付近JKソマトトープとC点の3本で肩中央部を狙い置鍼。

「どうですか?」

「・・・・あっ、いい、調子いい。」

「じゃあ、これでいいんだけど・・・着替えていただいたので、奥のベッドでうつ伏せになってもらいましょう・・・お尻に鍼を刺しますね。」

最近の治療法として、「肩痛は、腰の主要穴で取り、腰痛は、肩甲骨の主要穴で取る」を実践しています。今回のAさんは、臀圧(でんあつ)、環跳(かんちょう)、居髎(きょりょう)に置鍼。

「一番最初の鍼(臀圧)が、一番効いたね。」

「やっぱり、そうですか・・・・あれは、効くんですよね。」

などと話ながら、後はゆっくり休んでいただきました。やはり、臀圧の威力は抜群なようです。

空腹時吐き気

最近、朝食を抜いて1日2食~1食を患者さんに勧めることが、多く成果も出ているのですが、「空腹を感じると、吐き気がする」という患者さんがおられました。そこで、大阪の「にしやま消化器内科」のホームページからの引用をしてみます。

ある患者さんが、空腹を感じると吐き気がするという質問をすると、「逆流性食道炎」の可能性があるとの診断をされていました。そして、「逆流性食道炎」の説明が、下記の引用です。

『これまであまり日本人には見られなかった逆流性食道炎が近年増加傾向にあります。その大きな要因は、食事の内容が欧米化したこと、高脂肪食メニューが広がったことだと言われています。

本来胃酸に触れることがない食道は、強い酸性を示す胃酸に対してバリア機能を持っていません。そこにさまざまな原因によって胃酸の逆流が繰り返されることで、ただれや潰瘍が生じ、胸やけなどの症状を引き起こします。

なお、胃酸の食道への逆流、胸やけなどの症状があるものの、びらんや潰瘍が生じていないものは、「非びらん性胃食道逆流症」と言います。

逆流性食道炎が起こる原因は、胃酸が増え過ぎたり、胃酸の逆流を防ぐ機能が正しく働かないことにあります。

以下のリスク要因が重なると、逆流性食道炎が起こりやすくなります。

ストレス

食べ過ぎ、早食い

過度のアルコール摂取

喫煙

肥満による胃の圧迫

猫背、加齢による背中の丸まり

胃を手術したことによる胆汁の逆流

食道裂孔ヘルニア(胃が一部食道の下部に飛び出す)』

次回、空腹時吐き気のある患者さんに、様子を尋ねてみようと思います。

臀圧の威力

 

 

50才代の女性患者Cさん。肩甲骨あたりが、いつも痛みがあり気になります。そこで治療の前に、あることをやってもらいました。

「Cさん、そしたら硬式ボールをお尻に当てて、その痛みを取ってみましょうか?」

と畳部屋でうつ伏せになっていただき、臀圧(でんあつ)というツボに私が親指で押圧。

「Cさん、腰の横にある出っ張り(大転子といいます)と、お尻の上の方の出っ張り(上後腸骨棘といいます)のちょうど真ん中を押しますよ・・・・どうですか?」

「痛い!」

「Cさん、この痛み覚えていてくださいね。」

とCさんには、痛みを覚えていただいて、今度は仰向けになっていただきます。そして、硬式ボールをお尻に当てて、同じ痛みのところを探していただくのですが、直ぐに見つかりました。

「ここです!」

「痛気持ちがいい程度の状態を作ってくださいね・・・・どうですか、その状態で3分は持ちそうですか?」

「大丈夫・・・・全然・・・いけます。」

「そしたら・・・・OKグーグルタイマー4分お願いします。」

と、1分オーバーの4分に設定して、気持ち良さを味わってもらうことにしました。そして、4分が過ぎ、Cさんにゆっくり立っていただきます。

「肩どうですか?」

「・・・・・・あれ?痛くない!・・・・ホントに痛くない!」

大きな目をもっと大きくして絶句されるCさん。という訳で臀圧(でんあつ)の威力をお伝えしました!

先は長い!

40才代の女性患者Cさん。ギックリ腰で腰を折り曲げて来院されました。イスに座っていると腰に痛みが出てくるため、仰向きになっての治療となりました。私は上腕診の代わりに膝診を行なっています。推測ではありますが、山元式新頭鍼療法(YNSA)の治療をなさっている医師、鍼灸師の先生方は、やり慣れている上腕診をされていると思います。

膝診に慣れてしまっている私にとっては、上腕診だけでは情報不足を感じます。理由は、膝診では、頸椎1番から仙骨までの状態が分かるからです。例えばCさんの場合、

頸椎診断点は全て圧痛があり、胸椎診断点は、1番と8、9番、腰椎診断点は5番と仙骨に圧痛があります。そのため、Cさんの首、背中中央部、仙骨あたりに痛みがあると推測できます。これらの診断点を緩めるのに7本頭に置鍼。

そのあとトルコのテクチ医師に教わった治療点に2本、後は後頭部のKソマトトープに3本の置鍼で痛みがほぼ無くなりました。後は、左を上にして側臥位で休んでいただきました。最近、腰痛にはKソマトトープを多用しています。皮膚の観察、触診で治療点が明確になるという当たり前のことが、やっと分かってきました。先は長い!

右薬指

 

高校野球部のA君、右肘痛が長引いていたのですが、3週間前から通院されボールを普通に投げることが出来るようになりました。ただ、先日ボールを投げた時、右薬指が引きつるような感じになり、肘にかけて違和感があるそうです。今回でA君の治療は4回目。

いつものように背骨を整え(頭の置鍼4本)、自律神経の働きを良くした上で、A君にデルマトーム(皮膚分節) の絵を見てもらい、頸椎から出ている7番と8番の神経が、右薬指に関係あることを理解してもらいました。

ここで、膝診が非常に役に立つことが分かったのです。一般的に山元式新頭鍼療法(YNSA)では膝診ではなく上腕診で、脳、頸椎、胸椎、腰椎の状態を診断します。しかし、上腕診に全く反応をしめさなかった患者さんに対し、膝診を試みた結果、上腕診と同様の反応を示し、それを去年の学会で発表し、認めていただきました。また、膝診の特徴は、下腿三頭筋という膝ウラから始まる幅広い筋肉があり、頸椎から腰痛までを点でなく線で診断出来るため、頸椎1番から仙骨までの状態を診断出来るという利点です。

A君の右薬指が引きつった神経が出る場所が、頸椎7番と胸椎1番あたりになります。このあたりの診断個所が、右膝ウラの内側1~2点になるのですが、触診するとしっかり圧痛硬結点として存在していました。

そこで、右眉毛の上にあるE点の胸椎1番と、右耳横のIソマトトープ頸椎7番に2本置鍼。すると、右膝ウラの胸椎1番と頸椎7番の診断点がゆるみ、右薬指の引きつった感覚が、ほとんどなくなりました。

なぜ、このような結果が出たのか・・・・だいたい分かるのですが、もう少し深掘りしたいので、次回説明致します。

先が見えてきた!

20才代の男性患者Bさん、2週間前から腰痛で通院され5回目の治療となります。山元式新頭鍼療法(YNSA)の治り方は、良くなって、少し後戻りし、再び良くなって、また少し後戻りを繰り返しながら、完治に向かうというのが一般的だと思います。Bさんの場合、初診で来られた時の痛みが10で全く痛みがないのが0だと、本日の腰の痛みは3~5くらいだそうです。

Bさんに17本頭の置鍼を行い、今回も前回同様に、ベッドでうつ伏せになってもらい、肩甲骨の治療を始めることにしました。最近は、「肩甲骨周辺の重要なツボ(経穴)に置鍼し、腰痛を治す」を行っています。どうも、これが効いているようでBさん、

「肩甲骨に貼っていただいた鍼(パイオネックスという0.6mmの円皮鍼)が効いているように思います。」

と、素直な感想を喋ってくれました。

「・・・そうですか、そうしたら、この上から指先で触れるだけの治療をしましょう。」

と、当初予定していた鍼とお灸を変更することにしました。鍼灸師になる以前、操体法の指先で触れるだけの治療をしていました。今回は、皮膚に貼ったパイオネックスの上に指先を軽く触れるだけの治療を15分ほど行いました。

「・・・・・先生、なんかカラダが緩んでくるんですが、これって良いんですか?」

「良いですね!緩んでくるなんて最高です、ゆっくりその感じを味わってくださいね。」

ゆっくりしてもらった後、足裏やくるぶしにお灸をして終了となりました。

「不思議な体験をしました・・・・」

「そうでしょう、脳と皮膚は、元々外胚葉という受精卵で同じ場所から分裂したものなので、繋がりが強いんです。皮膚に軽い刺激を与えるだけで、脳が反応し治癒へと向かうんです。人によっては、無意識の動きが出たり、光や色が見えたりして良くなって行くんです。」

などと話しながら、今回は痛みが「2」となり終了しました。Bさんは、熱心なので、今週もう一度来院されます・・・・先が見えてきました!

腕組みしなくなったA君

高校野球愛媛県大会が始まり、野球部員が学校の枠を超えて来院されています。患者さんの好きな音楽をYouTubeから流すので、「ワンヲクラーク」「ノーベルブライト」「official髭男dism」などと、普段聴くことのない音楽が新鮮です。怪我の傾向として、肘や肩に負担がかかる選手が多いようです。私の頃といえば50年以上も前なので、比較のしようもないないのですが、肘肩が痛いという選手は余りいませんでした。私自身、高校大学と野球をしたのですが、故障をしたことがありませんでした。多分、練習量が今の半分くらいだったからでしょう。

で、前回ご紹介した腕組み野球部員A君、2回目の来院。

今回は、笑顔で入って来られました。

「どう、調子は?」

「ずいぶん良いです。投げられそうな気がします。」

と随分前向きな言葉が返ってきました。頭に9本置鍼した中でも、Jソマトトープという頭頂部の治療点2本が効いたようです。その後は、足に見つけた治療点を、鍉鍼(ていしん)という銀の細い棒で気持ち良い程度で押圧すること3分。

「これでどう?」

「めっちゃ、軽いです。」

その後、同じ個所にお灸を8壮。

「そしたら、今度は、右の膝ウラに鍼をするよ。」

A君は右肘内側側副靱帯に痛みがあります。右肘内側側副靱帯に対応するのが、右膝弓状膝窩靱帯です。右膝弓状膝窩靱帯が緩むと、右肘内側側副靱帯が緩むという原則があります。そこで、右膝ウラに3本置鍼し、その後、お灸をして終了。

膝と足にマジックペンで4ヶ所跡をつけて、お灸をするように指導しました。毎日お灸をして次回の治療を受ければ、完治する予感がします。A君は、4日後に来院されるので、楽しみです。

腕組み

10日ほど前から、右肘内側に痛みがある高校野球部の新3年生A君。当院に来られる前、何ヶ所かの治療院に行かれたそうですが、結果が出ず医療不審を多少感じておられたようです(それは、後日分かったことです)。そんな事とは知らずに診断を進めていると、無意識のうちに腕組みをしているA君。腕組みという行為は、「おい、治してみろ !俺は、信用していないからな!」という思いが作り出すものです。

『あらら・・・拒絶してる・・・まあ、体験してもらおう!』

と、お気楽モードで治療を始めました。山元式新頭鍼療法(YNSA)では、上腕診と呼ばれる脳から脊柱の状態を診断する方法を、膝診(去年の学会で発表し、認められました)で行っているため、頸椎の1番から仙骨までの状態把握が可能になりました。A君の場合、胸椎の2番、11~12番に圧痛点があることが分かります。それを2本の置鍼で無くしたため、腕組みの姿勢が一気に緩んでしまいました。

それからは、私のいつものペースで治療を終えて、2日後の予約をして帰宅されました。来院された時の痛みが10で痛みが全くないのが0。それが10→2になりました!次回の治療が楽しみです。