山元先生は、天才なのです!

 

昨日、山元式新頭鍼療法(YNSA)の創始者・山元敏勝先生の神業をご紹介しました。それに関連する付け足しを書きます。

先生は、50才くらいのブラジル人女性(頚椎ヘルニアで、右手、右足が全く動かない)の頭に5本置鍼。その後、頚椎7番と胸椎1番の間の右側圧痛点に1本置鍼し、その後、胸骨と鎖骨の間にある圧痛点に1本置鍼することで、女性患者さんの腕が動き、顔や耳を触ることができるようになりました。

この治療点は、胸部ソマトトープ(小さな人型)の首の治療点です。

といっても、よく分からないと思います。YNSAでは、フラクタル構造(自己相似)という自然現象を人体という宇宙に見出しそれを利用して治療しているのです。

というと、ますます分からなくなります・・・・そこで、高麗手指鍼(こうらいしゅししん)を例にお話しします。韓国では写真のように、手をカラダとみなして、手に置鍼して治療します。これがフラクタル構造(自己相似)という自然現象を利用した治療法です。これは、自然現象であり、少し大袈裟にいうと宇宙の真理です。

日本で、この鍼があまり普及していないのは、ただ単に痛いからだと思います。指の圧痛点を見つけ、筋膜剥がしをすると、そこに該当するカラダの部位は必ず緩みます。

山元敏勝先生は、このカラダのフラクタル構造(自己相似)を胸部に見つけられました。そして今回のYouTubeでは、胸部ソマトトープ(小さな人型)の頚椎7番と胸椎1番の間の治療点である胸骨と鎖骨の間に1本置鍼することで、奇跡のような治療をされたのです。

今日の治療で、早速40才代の女性に同じ個所に置鍼しましたが、やはり効果がありました。山元敏勝先生は、天才なのです!

山元先生の凄技です。

 

山元先生が右足、右手が全く動かない50才くらいのブラジル人女性を、たったの10分で動かし、その30分後には、歩いて退出するまでになったYouTubeを分析することで、山元式新頭鍼療法(YNSA)をなるべく分かりやすく紹介したいと思います。

今回ご紹介したYouTubeが撮影された時期がよく分かりません。YNSAは、日々進化しており、映像から伺えるのは、基礎治療である頸椎、胸椎、腰椎の診断を、上腕診ではなく、首診で行っていた時期ということ。ですから山元先生が80才前後のころ(現在は、95才)だと推測します。

そして、患者さんの左右の親指と人差し指との間を、山元先生が押圧して、患者さんの右側に偏りがあることを確認。右側の首を診断されます。その結果、腎臓、腰椎、頚椎、大脳、大腸、三焦、心包、胃、脾に圧痛、硬結点を見つけられます。

「これから、普段通りのやり方で治療します。」

とおっしゃって、いきなり腎臓の治療点であり嗅神経の治療点でもあるオデコに置鍼されます。当時は、首診に頚椎、胸椎、腰椎が内臓の診断と共に含まれ、特に腎臓を重要視されていた時期だと推測できます。現在では、頚椎、胸椎、腰椎の診断が首診→上腕診となったので、まず最初に上腕診で頚椎、胸椎、腰椎を整えてから、内臓を整える方法が確立しています。そのため、いきなり腎臓を置鍼することは習っていません。

その後、腰椎、頚椎、大脳、胆嚢の治療点に置鍼されます。すると、患者さんの腕が少し動き始め、脚はスムーズに動くようになりました。

次に、山元先生は患者さんの肩の痛い個所を伺います。肩甲骨の上あたりに圧痛点があることで、先生は、

「・・・・小腸。これは頚椎7番と胸椎1番の間・・・・手とつながっている。」

とおっしゃいました。その時、患者さんの首にあるボンノクボを押さえて、痛みを確認されます。これは、東洋医学と西洋医学の融合だと思っています。山元先生が「小腸」とおっしゃったのは、東洋医学的な流れの小腸経のことだと思います。小腸経のツボの流れは、肩甲骨の上から小指へと流れているからです。そして、YNSA の小腸診断点が首にあるボンノクボ。圧痛点を確認されたのだと思います。また、「頚椎7番と胸椎1番の間」とおっしゃったのは、西洋医学的見方、デルマトーム(皮膚分節)からくると思います。写真のようにC8という皮膚の感覚神経が小指まで流れているのです。

そこで、山元先生は、直接頚椎7番と胸椎1番の間に置鍼されます。すると、右腕がより上がるようになりました。患者さんの目から涙が・・・・

「もう少し深く入れてみます。」

と背中(頚椎7番と胸椎1番の間)の鍼をもう少し入れられました。それと同時に胸骨と鎖骨の圧痛点を山元先生は触り圧痛点を探しておられます。そして、鍼をそこに刺すと、何と腕がドンドンあがり、顔を触れることが出来るようになり、会場から拍手が湧き上がりました。そして、その30分後には、スタスタと歩いて会場を出ていくことが出来たのです!

使われた鍼は、たったの7本でした・・・・・凄いです!

肩はお尻で治す

最近、五十肩やボールの投げすぎ、仕事の都合での肩痛と、肩の治療が多くなっています。そこで、手っ取り早い施術として痛い肩と同側のお尻の筋肉を緩めることをしています。

お尻には大まかにいうと、大臀筋、中臀筋、小臀筋という目立った筋肉があり、その奥に梨状筋をはじめとする小さな筋肉があります。

山元式新頭鍼療法(YNSA)では、肩が痛い場合は、腰で治療をする方法があります。これは、カラダの中心ヘソ(母と子の生命の絆を結んだところ)を基準として人が大の字にねっ転がり、ヘソからの同心円を描いたとき、レオナルド・ダ・ヴィンチの人体図のように足首は手首と同心円を接します。このイメージ(あくまでイメージです)で、腰と腰に対応する肩の相似形を考えてみましょう。

腰は、仙骨、腸骨、坐骨、恥骨があります。肩は仙骨に対応する骨は、ありませんが、腸骨に対応するのが肩甲骨、坐骨に対応するのが鎖骨、恥骨に対応するのが胸骨。と、勝手に考えます。今回は腸骨、坐骨と肩甲骨、鎖骨を相似形としてそれらに関係する筋肉を対比します。すると下記のようになります。

大臀筋=三角筋後部繊維 中臀筋=三角筋中部繊維 小臀筋=三角筋前部繊維

梨状筋=棘下筋

上記の関係から大臀筋にあるツボ(経穴)=臀圧(でんあつ)・環跳(かんちょう)・胞こう を三角筋後部繊維の治療点と考えます。

小臀筋辺りにあるツボ(経穴)=居髎(きょりょう)・別説、環跳(かんちょう)を三角筋前部繊維の治療点と考え、三角筋中部繊維は、上記2つの治療点の間にある圧痛点とします。

こんな感じで、お尻の押圧をすると肩痛がウソのように良くなります。ちょっと、専門的になってしまい申し訳ありませんでした。

お灸文化

 

 

「興居島(ごごしま)では、鍼からお灸になってしもた。」

と、足に施術をしながら興居島の全ての患者さんにお灸治療をしている現状を説明すると、

「そうですね、昔はここ(興居島)には、お医者さんがいなかったから、皆んな家でお灸をしていたですもの。私の兄なんかは、病弱だったので背中に大きなヤイトの跡が3つもありました。それが、ばあさんがやるもんだから、場所が少しずつズレて大きな大きな跡になってしもうて・・・・」

と、80才代の女性患者Cさんが、ニコニコ昔を懐かしむように話してくれました。一昔前の興居島では、お灸でセルフケアする文化があったのです。それを体験している方にとって、お灸は身近な存在なのです。こんなにいい文化を絶やさない責任が鍼灸師にはあります。何とかしないと・・・

裏内庭

 

「私が小さいころ・・・5~6才じゃったろか。食中毒になってな。そしたら、母親が足に灸(ヤイト)をしてくれたんよ。それがなあ、効いたんよ。」

「えっっっっ、それって裏内庭(うらないてい)じゃ・・・・足のウラ側じゃったでしょう?」

「それは、よう覚えてないけど・・・・・それがな、普通ヤイトしたら痛かろ。 それが、全然痛ないんよ。」

「はあ~??効いとるけん、そうなるんじゃろうなあ~」

「それからな、お腹がグルグル動いて、すーっとしてきて治ったんよ。」

食中毒に裏内庭(うらないてい)という方程式を知らない鍼灸師はいません。しかし、実話を教えてもらえる機会はそんなに多くないと思います。今回初めてリアルにイメージできました。80才代の女性患者Aさんが幼い5~6才のころ、今から70年以上前の愛媛県では、民間療法として食中毒の対処法が伝わっていたのです。

現在のように病院が多くない一昔前は、お灸が生活の一部として重要な位置を担っていたのです。もう一度、民間療法を見直してみるのもいいと思います。

モグサ作り

友人にヨモギをいただきました。本当にありがとうございます!背丈50cm前後のちょうど良い長さです。お灸に使うモグサは、このヨモギから作ります。そして、今がモグサ作りに最適の時期なのです。

ヨモギのウラにびっしり生えている綿毛のようなものを集めたものがモグサです。この作り方は非常に簡単です。興味ある方は是非やってみてください。用意するものは、ホームセンターなどで販売している乾燥用のカゴとミキサー。それと、ステンレス調理用ボウルと、ステンレスのザルのみです。

写真のように、大きくなったヨモギの茎から分かれた葉っぱを、カゴに入れます。2~3週間もするとカラカラに乾燥します。その葉っぱをミキサーで撹拌(かくはん)して、ボウルに入れたザルに移し、粉々になった綿毛以外をザルでボウルに振るい落とします。すると、綿毛の集合体だけが残りモグサができます。上質のモグサにするには、あと1~3回ミキサーにかけて同じように粉を振るい落とせばできます。

最近のミキサーは回転がとても速いので、あっという間(30秒ほど)にできます!下記に綿毛の説明をコピペします。興味ある方はご覧ください。

『艾は主にヨモギの葉の裏にある毛茸(もうじょう)と腺毛(せんもう)とから出来ている。腺毛には揮発性のチネオールという精油が主成分として含まれていて、燃焼の際の艾の独特な芳香を発する。その他にも、たんぱく質などの有機物、類脂質、ビタミンB,ビタミンCなどを含んでいる。

毛茸(もうじょう)とは

毛茸(もうじょう)はキク科植物などの葉の裏に密生する白い毛のことです。

毛茸(もうじょう)にはさまざまな形があり、よもぎの毛茸(もうじょう)はT字型をしたものが多いためT字毛と呼ばれます。

腺毛(せんもう)とは

腺毛(せんもう)には揮発性の精油(エッセンシャルオイル)が含まれており、その主成分はチネオールです。

もぐさを燃やしたときの独特の香りはこのチネオールの香りです。チネオールは炎症や痛みを和らげます。』

首診を説明

前日は、「スーパフィシャル・バック・ライン(SPB)」という筋膜の流れが膝ウラで上下の筋膜の引っ張りあいで緊張し、オデコの筋膜に鍼を刺した瞬間、膝ウラの緊張が取れるということの説明をしました。今回は、首診を「デイープ・フロント・ライン(DFL)」という筋膜の流れから説明します。

写真のようにDFLは、足底の深部から出発して下肢深部を経て、体幹、胸部の深い部分を通っているため、内臓と深く関わっています。そして、首の深部を通って側頭部まで流れています。

YNSA(山元式新頭鍼療法)の創始者・山元敏勝医師は、首を押圧して内臓の状態を診断する首診を見つけられました。これはDFLが、足底の深部から出発して下肢深部を経て、体幹、胸部の深い部分を通る筋膜の流れで、内臓との深い関わりがあると直感され、見つけられたのだと思います。そしてその治療点を側頭部に見出されたのだと思います。ただ、側頭部の治療点の位置を見事に発見された訳は、凡人の私には、全く分かりません。

これらの内臓治療点の並びに関しては、治療経験を重ねることでいつか「ピーン」と理解が出来てくると・・・・いいです・・・・・出来るはず!

何でオデコに鍼で、膝ウラゆるむ?

私は、患者さんの頭に鍼を刺して、しばらくゆっくりとする間、

「何か質問ありますか?私で答えられる範囲でお答えします。」

とよくいいます。特に高校生には、時間が許す限り話をすることにしています。

「何で、頭に鍼を刺して膝ウラが緩むんですか?」

という質問がかなりあります。その時は、筋膜と経絡(ツボのながれ)との関係を解剖学的に説明し、筋膜の流れ=経絡(ツボ)の流れであるという事実に気づいてもらいます。

その事実を裏付けるのが、写真の筋膜の教科書「アナトミートレイン」にある「スーパーフィシャル・バック・ライン(表面的な後ろ側の筋膜のながれ)以後SBLといいます」です。

「筋膜の流れというのは、浅いところや深いところを流れていて・・・・それが、2000年前からとか、3000年前からとかいわれていたツボの流れと一致したんです。このSBLをよく見て下さい。SBLは足ウラから膝で一旦止まって、再び背中を通ってオデコで止まっているでしょう?だから、膝ウラは下と上から引っ張られて緊張しやすいんです。これは、経絡では、膀胱経の流れになるのです。

筋膜はコラーゲンで出来ていて、電気を通しやすいので、オデコに鍼を刺した瞬間、膝ウラが緩んだでしょう?あっという間に電気が通った・・・・ということは、その途中の背中にある大きくて長い筋肉が緩んだってことになるでしょう?」

「はい。」

「ということは、背骨が整ったことになってそこから出ている自律神経が整ったということになるんです。」
                              (続く)

泊町

明日は、興居島。由良町以外の泊(とまり)町からの患者さんも、増えました。明日のため、今日はこれにて、お休みなさい!