2022年 5月31日〜6月5日 萬翠荘にて
私の親友が、先日あじさいの杜鍼灸院に来られ、治療を受けられて感想を書いてくださいましたので、紹介します。
『声楽家・アスリートの皆様へ
佐伯先生の治療を受けて
俳人・シンガーソングライター 鈴木啓造
あじさいの杜鍼灸院 ・院長の佐伯弘先生は、私の大学時代の同級生である。彼は今は山元式鍼治療、操体法、大沼式健康法等々を複合した治療院を松山市で開設しているが、もともとは造形アーティストとして、国際的に活躍していた人物である。様々な傾向のアート表現を行ってきたが、その中心は倒木や廃材などをカットしたものを用いた「積み木アート」である。
愛媛の山奥の由緒ある神社の御子息の血がそうさせているのだろうか、どこか縄文時代以来の土着的感性や神道的晴明さが作品に通底している。そこに重要視されるのは「バランス」であり「和」の感覚である。さらには「禊」「払い」の感覚でもある。
彼の作品がかえって、ヨーロッパやアメリカで注目され、激賞されたのは、やはりそうした感覚から遠い文明を持つ人々の欠落感や憧憬を刺激したものと思われる。
彼は、自分の領域を固守する普通の職業的アーティストとは異なる。彼の表現スタイルは感受性に導かれるままに、またその時々の使命感の要請に従って、さまざまなメディアを活用し、多様な形式の表現を取ってきたように、ごく自然に「治療家(ヒーラー)」の道に転身した。それは彼が四十代であったと記憶する。
遅い出発と思われるだろうが、私はそうは思わない。アーティスト時代を経たからこその必然的な転身であったのだと思う。彼の治療には、そのアーティスト時代の滋養が結実している。やはりそこに流れる基本精神は、「バランス」であり「和」の感覚である。
概略、上記のような経歴を持つ佐伯先生の施術は、一般の体の不調を訴える人の治癒に多くの結果を残してきてはいるが、私が思うに、とりわけ有効なのは、表現者やアスリートに別次元の能力を発揮させることにあると思っている。
つまり、体が骨格と筋肉による「積み木」作品だと考えると、彼の施術は、施術を受ける人それぞれの歪み、偏りを鋭く診断し、本来の「バランス」と「和」による力を最大限に引き出し、調整するアーティスティックな行為なのだと思う。
私がこのことを実感したのは、佐伯先生の鍼治療を受けたことで、別次元の心身の状態を体験したからだ。その劇的な変化は、鍼治療を受けた直後おとずれた。何気なく声を出してみると、普段話す数倍の音量の声が、腹の底から出てきたのだった。それのみならず、その声が大変張りのある艶やかな声だと実感できたのである。
試しに、高音の声を出してみるといわゆる「ひなる」状態ではなく、無理せず伸びのあるきれいな声が出せた、低音を出してみると響きのある静かで力強い声が出せるようになっていたのである。周囲が輝いて見え、なぜかとても朗らかな気分となった。
東洋医学では「聞診」といって、患者の声を聞くことにより、その人の健康状態を診断することが古来から行われている。これは様々な診断方法の最も基礎にあるものだそうだ。明るい、澄んだ、力強い、落ち着いた、響きのある、朗々とした声を持つ人には不健康な人はいないという考え方なのであろう。
こうした声の出るメカニズムを物理的に解釈すると、やはり、脊柱の歪みが正され、そこに付着するインナーマッスルが和らいで、しかもそれらが生き生きと柔軟性をもって有機的に働くときに発せられる音声ということになろう。
佐伯先生の鍼治療は、上記の効果を引き出す、根源的なパワーを持っていると実感した。私はこれまでいろいろな施術をいろいろな状況で受けてきたが、このような劇的な変化を体験したことは初めてである。
私はこの施術のメカニズムにより、アスリートの皆様においては劇的な記録の伸びが期待でき、声楽家のような身体的パワーを必要とするアーティストの皆様には別次元の表現世界が開けるのではないかと思っている。ぜひ一度、佐伯先生の施術を体験されることをおすすめする。』