いざ仙台へ!

 

私の操体法師匠、今昭宏先生を偲ぶ会が、仙台で行われます。そのため、10数年ぶりに飛行機旅行となります。羽田空港から東京駅に移動して、新幹線で仙台に向かいます。

私が東京で鍼灸師の研修をしている時、夜行バスで仙台に通って操体法を学びました。三浦寛先生に10年操体法を学び、その後、今昭宏先生から学んだので、操体法は身体にしみ込んでいます。この操体法をベースに鍼灸治療を行なっています。

と、ここまで書いたのですが、あの今昭宏先生の笑顔を、もう二度と見ることが出来ない・・・・と、思うと心が締めつけられ、沈んでしまいます。いかん、いかん元気を出そう!

今日は、仙台駅から夜行バスに乗って東京駅に着き、翌朝、幕張の関東鍼灸専門学校で刺絡治療の研修会に参加します。そろそろ、松山空港から東京への旅へ向かいます。

操体法で五十肩を治すぞ!

「五十肩」で右腕が水平までしか上がらない50才代の男性患者Cさんの続報です。

Cさんは、スマホを使う時親指のみ。これを指摘したのですが、中々治っていないようです。いつの間にか親指を使っています・・・しばらく、観察してみます。

山元式新頭鍼療法(YNSA)では、「肩を腰で治す」という考えがあり、今回は操体法でトライしました。Cさんには奥のベッドで、右肩を上に横向きになってもらいます。

「下の脚をまっすぐにして、上の脚を90度に折ってください。」

と、定番の姿勢になってもらいます。そして、上の脚をベッドより下に持っていきつま先を内側に決めます。

「私が足を、決めていますから、つま先を外側にゆっくり戻してください・・・・実際には、私が決めていますから足は動かないですが、連動して上体が動くでしょう?」

「決して力まないで・・・・息を吐きながら、ゆっくり気持ち良く動きましょう。ポイントは、気持ち良さです。」

などと、言葉で誘導しながら操体法を進めていきます。何と、これを2~3回行うと右腕がドンドン上がるようになってきました。ところが、Cさんに座ってもらい腕を上げてもらうと、やはり上がりません。

「何でじゃろ?・・・まあ、効果が出てることは確かじゃけん・・」

と、その時は曖昧な言葉で済ませたのですが、後日カラダを通して人体実験して理由が分かりました。横向きになって腕を上げていくと重力が応援してくれ手が伸びるのを手伝ってくれるのです。そのため横向きからのこの操体法は、効果的だと思います。

親指でスマホをタッチ⁉️

50才代の男性患者Cさん、五十肩で右腕が水平までしか上がりません。そこで、様々なアプローチをしているのですが、中々成果を上げることが出来ません。

施術後、Cさんと話をしながら、Cさんのスマホを使用する姿を見ながら分かったことがあります。

Cさんは、座椅子に座って右にカラダを傾け、右手の親指だけでスマホをタッチしています。どうやら、この姿勢と動作が五十肩を作り、いくら施術をしても効果が上がらない理由だと思ったのです。

①姿勢

右に重心を傾けているので右肩の筋肉(三角筋といいます)が、盛り上がり緊張しています。

②足は親指、手は小指

これは、身体運動の法則の重心安定の法則に「足は親指、手は小指」があります。足は親指、手は小指に力を入れるのが、身体運動の法則なのです。ところが、Cさんは親指で操作しています。これでは、カラダを悪くするだけです。

スマホは、左手で持って右手の人差し指か、中指で押せばいいのです。右手の小指はしっかりグーで握りしめているので、ムダな動きにならずスムーズな動作になります。

スマホを使う方、親指を使うのをやめましょう!

右重心?

50才代の女性患者Cさん、腰痛です。そこで仰向けになっていただき脚の長さを比べてみました。すると、珍しく右脚が2cm近く長いのです。多くの患者さんは、右脚が短くなります。その理由は、腸管膜根にあります。腸管膜根とは、7m50cmもある小腸の根元。これが左第2腰椎から右腸骨の凹みまであります。

来院される多くの方はストレスで、この腸管膜根が縮んで右脚が短くなっているのですが、Cさんは、右脚が長くなっています。何らかの理由で右重心になっているようです。

「あっ、それは赤ちゃんを右腕で抱えているから・・・・」

お仕事で右腕に重心をかけることが多いので、Cさんは右脚が長くなったようです。仰向けになったCさんの右肩が浮いています。そこで、右肩周辺を筋膜はがし。すると、今度は左肩の方が浮きました。そこで、左肩周辺を筋膜はがし。これで、ほぼ脚の差はなくなりました。次に両膝を立ててもらい、左右にゆっくり倒してもらいます。

「どちらの方がやりにくいですか?」

「右です。」

「そしたら、やりにくい右に倒して下さい・・・・・そして、ゆっくりとやりやすい左の方へ、戻してもらいます。実際には、私が軽く両膝を抑えているので、動かないですけど・・・・・連動して上体が微妙に動くでしょ?気持ちいい力加減でやってみてください。」

すると、両脚は同じ長さになりました。あとは、頭に7本置鍼して終了。置鍼した後は、血流が良くなります。Cさんは、途中で熟睡され、Cさんの腰痛は良くなっていました。

足の指もみ

今日の興居島では、足の指モミ操法が多くなりました。最初の患者さんが、

「もうしんどうて、しんどうて何にも出来ん。」

と言う第一声を発したのが、影響した様に思います。猛暑の後の豪雨、そして猛暑。これでは、ご高齢の方は何にも出来ません。

「そしたら、今日は足もみをしましょう。これは、自律神経を整えるので、いいですよ。」

5人の内4人まで足もみをしました。ここで、非常識の医学書から福田稔先生の爪もみに関する説明をご紹介します。

『すべての病気は、自律神経の偏りによって起き、リンパ球と顆粒球のバランスさえ取れれば、どんな病気でも回復へ向かうことも確信することができました。

誰でも自分の自律神経の働きを整え、免疫を高めてくれるのが爪もみです。爪の生え際には神経繊維が密集していて、痛い刺激を与えることで、その刺激を反射して、跳ね返そうと副交感神経が刺激からの回復を誘導します。つまり、シーソーのような偏りをもとに戻そうとするのです。』

愉気法

最近は、頭に置鍼したあと、山元式新頭鍼療法(YNSA)における治療点に軽く中指の指紋の部分を置く施術をしています。この方法は、操体法におけるM先生の皮膚への問いかけという表現より、野口晴哉先生の愉気法になると思います。非常に効果を上げています。そこで、野口先生の「整体入門」の一節をご紹介します。

『愉気法というのは、他人の体に息を通すことである。離れていても、手をつないでいても、その部分に手を触れていてもよい。自分の気を相手に送るつもりで、気を込めて息を送る。それだけである。静かな気、澄んだ気がよい。強くとも荒んだ気、乱れた気はいけない。

愉気法とは、人間の気が感応しあうということを利用して、お互いの体の動きを活発にする方法です。こういうことが果たしてできるかと疑問を持つ人がいますが、気を感じる人ならできる。物しか見えない人にはできない。』

最近の、鍼治療では指先で患者さんの気を感じ、置鍼しているので私には向いているようです。

一人歩き

患者さんによっては、鍼灸治療をしないこともあります。操体法は、仙台の医師・橋本敬三先生が、様々な民間療法を研究し考案された治療法であり、自力自療の健康法でもあります。気持ちよくカラダのバランスを整える民間療法だと思ってください。私が松山市で開業する前の2001年から2016年までは、操体法を中心の治療を行っていました。
 
鍼灸院を開業後、鍼灸治療になり操体法はYouTubeで載せる程度にしていましたが、山元式新頭鍼療法(YNSA)になってから、やっと操体法との融合が出来るようになってきました。YNSAで新たに見つけた治療点と操体法は、面白い一人歩きを始めそうです!

開業9年目

あじさいの杜鍼灸院を開業して、今年で9年目になります。開院直前まで「あじさいの杜鍼灸整体院」と看板を作っていたのです。理由は、鍼灸治療と操体法を併用することを念頭においていたからです。

しかし、国家資格でない整体は、厚生労働省に認められていないので、「あじさいの杜鍼灸院」と現在の看板名となったのです。その結果、鍼灸を中心の治療となりました。当初は、杉本練堂先生の天城流湯治法を基礎に独自の鍼治療を行っていたのですが、時間がかかりすぎるのが最大の悩みでした。結果は出るのですが、治療時間に1時間30分から2時間と長時間を要しました。そんな時出会ったのが、山元式新頭鍼療法(YNSA)です。

天城流湯治法からYNSAに移行すると、治療効果、時短ともにアップ。YNSAを極めようと4~5年鍼治療に専念した結果、頭や足に治療点を見つけ始めました。今後は、これらの治療点と操体法を少しずつ融合して私なりの治療法を見つけてみよう・・・かな?

健康は自ら創造すべき

前回、操体法創始者の橋本敬三先生(医師)の「生体の歪みを正す」の一節、コマ運動をご紹介しました。足ユビを丁寧にほぐすことの重要性を述べておられます。そして、「足ユビが痛くないようになったときは、全身が軟らかくなっている。コワバリは歪みである」と断言されています。その一節で下記のように述べておられます。

『筆者は、若い頃(大正末期)、神経生理(東北帝大医学部、藤田敏彦教授)ところから、いきなり民間臨床に飛び出し、患者の愁訴に振りまわされ、目をまわしたものである。そして、民間療法を漁ってみた結果、民間療法に一貫していることは、彼らは自覚せずにおるけれども、運動系の歪みを是正しているという理解に達した。十数年、くりかえしてみて間違いないことを確かめた。

(中略)

健康は生活の結果であるから、他人の力で与えられるべきものではなく、自ら創造すべきである。それでこそ健康増進の可能性も期待されるのである。』

「健康は自ら創造すべき」は、当院のモットーにすべきだと改めて感じています。私は、鍼灸を軸に施術していますが、鍼灸それ自体で治しているのではないと患者さんに常に言っています。鍼灸で刺激をして本人のカラダが治しているのです。そのことに、感謝してくださいと言っています。

今年は、「健康は自ら創造すべき」をもっと徹してみようと思います。

足のお灸

頭の鍼が苦手な患者さんには、足のお灸だけで頭の鍼と同じ効果の治療をしています。操体法の教科書ともいえる「生体の歪みを正す」に、操体法創始者の橋本敬三先生(医師)が、運動の基礎を紹介されています。この紹介で、足のお灸がなぜ効くのか、ある程度理解できると思います。下記に記載します。

『人体構造で1番の土台は足である。ここが狂ったら全身に狂いができることは、わかり切ったことである。足のうちでも足のユビが最も大切である。手でもユビが大切。東洋物療の経絡の起始終末は、手足のユビ先になっている。

コマ運動

正座して、互いに膝頭を合わせ爪立ちして、かかとにお尻を乗せ、軽く足に手をかけ、お尻がカカトから離れないようにしておき、上体をシナラセて前より左、後ろ、そして右に、また前右後ろ左に、グルグルと、コマが止まるまえに揺れ動くように、体を動かす。頭も脊柱も自然に曲げる、これで全身の関節が動く。足のユビ10本とも同様に力が加わるように動かす。なるべく痛くないほうに余計動かすこと。数回の回転で良い。初め足ユビが痛ければ座布団の上でやる。食前にやる。こんな簡単な運動で全身関節は動く。要は、工夫である。やるかやらぬかで運命が決まる。足ユビが痛くないようになった時は、全身が軟らかくなっている。コワバリは歪みである。』

最近は、患者さんにこの運動をお勧めしています。これだけで、背骨が整い自律神経が整ってきます。