勝手に・・・!

足ウラに痛みがある介護職50才代の女性Dさん。

朝起きて立ち上がる時、左右の踵(かかと)に、激痛が走るそうです。

ベッドに仰向けになってもらい、お腹から診ることにします。消化器系と肺の流れにコリがあります。

右足の母趾球(太白=タイハクというツボ)と右手首(太淵=タイエンというツボ)に鍼を刺します。すると、お腹のコリがやんわりと無くなっていました。

足ウラには、長趾屈筋、短趾屈筋というスルメの様な筋肉があり、ふくらはぎの内側につながっています。特に長趾屈筋は脛骨(ケイコツ)という大きな骨にしっかりとくっついています。ここをゆるめる事にします。

鍼で右足をゆるめていくうちに、アキレス腱付近でツボに触れると、Dさんの右足がピクピク動くことに気がつきました。面白いので、何度も触れてみますが、その度にピクピク。

面白くなって来たので、Dさんの最も痛いところを刺激してみようと考えました。

踵(カカト)の中央部に失眠(シツミン)という不眠に効くツボがあります。そこにお灸。

すると、足首がクネクネと平泳ぎ。

「ハハッ・・・チョット、恥ずかしいんですけど・・・」

Dさんの意志とは関係なくカラダは勝手に動きます。これを自発動あるいは無意識の動きと呼びます。特に操体法では 、この動きの誘導を手技にすることが多いのです。

つまり、カラダは無意識の動きをする事で、勝手にカラダの歪みを正すメカニズムを持っているのです。

今度は、左足の失眠(シツミン)にお灸。

すると、大胆なバタバタ・・・クロールです。

「イヤッ~~~~」

右足は平泳ぎ、左足はクロールとDさんの意に反して、泳ぎまわる両足。

永遠に続きそうなので、程よいところで終了。

「は~い、そしたらベッドから降りて、歩いてみてください。」

「アレッ、痛くない!」

スタスタと歩くDさん。

さてさて、いつまで持つのかな・・・