あぐらをかく

 

「あぐらをかく」とは・・・・

脚を左右に開いた形で、足首を交差させる座り方。男性的な座り方とされる。そこから転じて、堂々と、あるいはずうずうしくも居座っているさまにも用いる。「胡坐をかく」とも書く。

とあり、ずうずうしく努力をしない様を表現した言葉と捉(とら)えられています。これは西洋文化が日本に入ってくる前の言葉で、今の生活様式で「あぐらをかく」の意味あいなら、「テーブルに足を投げ出す」でしょう。そこで、「あぐらをかく」の意味あいではなく、あぐらをかいている状態を想像してして下さい。私は黒澤明の時代劇のシーンが浮かんできます。膝が床についた頭を頂点とした綺麗(きれい)な三角形で安定した状態。これが出来ない人が多くなったのは、やはり畳に座ることが少なくなったせいでしょう。

現在、患者さんに回転式の籐座椅子(高さ35cmくらい)に座ってもらい、私は床であぐらをかいて診断しています。治療時は片膝を立て、もう片方の脚は膝をついた状態で置鍼しています。これだと体重移動が簡単で、丹田に力が入ります。

「先生、1本1本の鍼がずしんと重い感じがする。」

とある患者さんから言われたことがあるのですが、きっと置鍼の姿勢が変わったせいでしょう。紺色の白衣にジーンズと足袋の様な黒い靴下を履いているので、ちょっと忍者風の鍼灸師になっている私ですが、忍者になったつもりで、丹田からエネルギーを送る意識はしています。

あぐらをかくと、足裏やふくらはぎを触ることが出来ます。カラダとの対話は大変大切です。イス生活に慣れた方は、もう一度畳で「あぐらをかく」生活を心がけるのも良いと思います。