都会から松山へ

都会でデスクワーク(パソコンを見続ける)を続け、ストレス、首から背中までの痛み、吐き気のため、2ヶ月間休職。
住みやすい松山市に引っ越し、仕事を再開したAさんは30才代の男性。
環境の良さが主な要因ですが、3回の治療で体調を回復しました。

仰向けになってアゴを天井の方に上げていくと、自然に膝と手首が天井の方へ上がり、ベットとの間に隙間ができます。パソコンを見続け猫背になっているAさんは、丁度そんな状態で、仰向けになっています。

右胸コリが、目立ちます。パソコンのマウスをよく使うのだろうと、想像します。右肩、右肩甲骨の内側、右腰部、右ふくらはぎが凝っています。多分、重心が右にかかり歪んだ姿勢で作業をしているのでしょう。こういう方は、骨盤が右下がりになっていることが多く、右足が長くなります。
案の定、Aさんは、15mm右足が長くなっていました。

天城流では、咀嚼(そしゃく)不足が、肩コリの原因の一つとされます。理由は、内臓が下がって骨盤が広がり、筋膜が下へと、引っ張ります。それに対抗して肩の筋膜が綱引きのように引っ張り上げようとするため、肩コリになります。そこで、私は、おヘソ周辺のコリに鍼をさし置きます。
次に、腰の張りには、ふとももの内側に鍼をさし置きします。

また、手首足首のコリが、肩コリの原因でもあるので、そこには、お灸をします。
最後に、肩に直接太めの鍼。
初日は、これで終了しました。

一週間後に来院。

「前回の治療の翌日は、カラダがだるかったのですが、その後は、良くなりました。」

どうやら、鍼灸で好転反応がでたようです。

「それでは、今日、操体法だけで治療しましょうか?」

「ハイ、それでお願いします。」

仰向けになってもらい、右重心で右に下がった骨盤の調整を行います。基本的には、右の踵(かかと)
を、軽く押し込むと調整できます。
仰向けになった時の膝が気になります。ベットとの間に大きな隙間。

これは、膝の裏に圧力が必要な証拠です。そこで、Aさんの踵(かかと)を私の肩に乗せ、脚を伸ばしたまま、ベットに対し垂直に持ち上げ、尚かつ、膝を伸ばすために、Aさんのつま先をベットの方に近づけます。今度は 、Aさんに、

「軽〜く、つま先立ちしていただけますか?」

と誘導しますが、実際には、私がAさんの足首を固定しているので、第三者には、動きは見えません。

「実際には、私が抑えていますので、つま先立ちしていないのですが、カラダの中が動いています。
何となく気持ちがいい力加減で、全身で表現してみてください〜」

Aさん、気持ちよさそうに膝を伸ばしています。
次に、約15分程、足の指を丁寧にもんでいきます。そして、足首と肩甲骨に皮膚の操法。
皮膚の操法は、ただ私の指先をAさんの皮膚につけるだけなのですが、気持ちよくカラダが緩みます。
2日目は、これで終了です。

また、1週間後に来院。

「体調がいいです。今日は、鍼灸でお願いします。」

とのことでした。体調がよくて、肩コリとか感じないので、腹診をすることにしました。
肝経が実して、腎経が虛しています。そこで、足の肝経に置き鍼をし、足の腎経にお灸を3〜5壮。
すると、お腹の肝経に当たるところが、柔らかになり、腎経が実してきました。

Aさんは、都会にいる時より、松山の方がはるかに楽で、好きな釣りに出かける事ができるし、
体調が良くなったそうです。
環境の変化の方が、私の治療よりもはるかに影響があったようです。