千島学説

 

改めて、千島学説の書を読む

『世界大戦も終わりに近い、1940年に私は中等学校教師を退職し、引きつづいて、九州帝大農学部畜産学研究室の嘱託(しょくたく)として赴任、盛岡時代の恩師丹下正治先生の下で専心研究に打ち込めるようになった。

そこで、丹下教授から「鶏胚子の原始生殖細胞の起源に関する研究」というテーマをいただいて42歳の遅まきながらの勉強に励んだ。そこで私は意外な発見をすることができた。

これまでの研究者は、鶏の胚子の生殖腺(睾丸、卵巣)の組織発生についての研究は、みんな胚子のウォルフ氏体(中腎)と付着している生殖腺を切り離して顕微鏡検査をしていたが、私はそれを切り離さずに中腎と生殖腺とを一体にして標本を作り、それを調べたところ中腎と生殖腺の出来始めものは両者の境がなく連続的であり、しかもその境の付近には血管外に出た赤血球が無数に散在していて、それが原始生殖細胞や生殖腺のすべての細胞に分化、移行をしていることを確かめることができた。

これまでは、生殖細胞細胞は分裂増殖して、子々孫々に伝わるものとされてきたのに、事実はこれに反し、体細胞の一種である赤血球から生殖細胞その他へ移り変わっている状態を見た私は、元は唖然として、自分の目や頭を疑うほどのショックを受けた。しかし何百枚ものプレパラートを入念に調べてみたが、細胞分裂によるのではなく、赤血球から変化するものであることを確認した。』

千島喜久男先生は、赤血球が生殖細胞へと移行する事実にショックを受け、改めて調べても赤血球から細胞が生まれるという事実を確認されたのです。この事実をだれも否定することは出来ません。千島先生はその後、小腸で食べ物が赤血球になることも突き止められました。

つまりは、食べたもので血液が作りあげられ、血液から体が出来るということなのです。事実はこのように単純明解なのです。