むずむず脚症候群の解説

 

山元式新頭鍼療法の実践ガイド YNSA症例集より、加藤直哉先生のむずむず脚症候群に関する記述を載せます。

『むずむず脚症候群(Restless Legs Syndrome:RLS)は、今から70年以上前の1945年にスウェーデンの神経学者エクボン博士によって提唱された疾患である。じっとしていると湧き上がってくるような不快感があり、足を動かさずにはいられない、夜に症状が強くなる、動くと症状が軽くなるといった特性がある。安静にしていると、居ても立っても居られなくなる場合も多く、人によっては、不快感のため睡眠に支障をきたし、明け方まで眠ることができない場合もある。

疫学的な調査で患者数がとても多いことが知られており、わが国の患者数は200~400万人(人口の3~5% )、欧米ではさらに多く、全人口の5~10%の患者がいると報告されている。

今後、さらに多くなることも予想される疾患であり、臨床でも遭遇する可能性が高いRLSの一例を報告させていただく。

むずむず脚症候群の原因は盛んに研究が進められている。まだ完全に証明されてはいないが、現在、ドーパミン機能障害が原因の1つと考えられている。

ドーパミンは神経伝達物質の1つで、やる気や感情だけでなく、筋肉などの運動や、数々の感覚の信号を伝える役割を持つ。このドーパミンがうまくパフォーマンスしてないことが、RLSの原因の1つだと考えられている。実際、RLSは安静になると症状が強くなり、足を動かしたり、マッサージしたり、動き回ると症状が軽くなると言う特徴がある。これは運動によって即時的にドーパミンの分泌が増えるためと考えられており、この現象からもドーパミンが関わっている事は間違いなく、本症例ではでもドーパミンの改善作用を持つビ・シフロールが処方され、1部改善がみられていた。

このことを踏まえた上、RLSの治療にYNSAは非常に相性が良いと考えられる。まずは脳点の治療によってドーパミンの放出量を改善できる可能性があるからだ。実際、ドーパミンが関わる疾患で有名なものにパーキンソン病があるが、今回の症例集でも示したようにYNSAによってパーキンソン病の症状が改善したと言う報告が多い。また脳幹から脊椎に至る自律神経の調整、下肢そのものの治療点としてのI・J・Kソマトトープの治療における下肢の改善などがさらに、その可能性を高めるだろう。』