somatotope(ソマトトープ)という山元先生の造語があります。somatoとは、ラテン語で身体、topeとは、凝縮という意味です。これは、人型(ひとがた)の形状をした治療区域を意味します。もう少し具体的にいうと、山元先生が頭皮に見つけられたIソマトトープ、Jソマトトープ、Kソマトトープなどがあります。例えば、Iソマトトープは、耳を胴体とみなした人型が逆さまになっている治療区域です。逆さまになったIソマトトープの頭は、耳タブの下にあります。そのため、ノドが痛い患者さんは、ノドに位置する耳タブの下に鍼を刺すと治療になるのです。
Jソマトトープ、Kソマトトープは頭頂部にどーんと横たわっているので、それぞれの患部に合わせた治療部位に鍼を刺すと患部がよくなります。
この信じられないような治療法がなぜ生まれたのでしょう?それは、フラクタル構造にあると思います。フラクタル構造とは、簡単にいうと「どんなに小さな一部分をとっても、それが全体と同じ形をあらわしている構造」のことで、自己相似と呼ばれるものです。例えば、小腸の絨毛は凸凹していますが、その絨毛の表面もまた、凸凹しているといった現象のことです。それが、身体にも当てはまるのです。
もっとも分かりやすいのは「高麗手指鍼」。これは、柳泰佑先生(現高麗手指鍼療法学会会長)によって1975年に韓国で創案されました。これは、「部分即全体」という表現で説明されています。つまり手首から指先をカラダとみなします。すると、中指の第一関節(先っぽの関節)から先が頭となり、第一関節から第ニ関節が首、そこから手首までが背骨骨盤となります。右手の人差し指は左腕、右手の薬指は右腕、右手の親指は左脚、右手の小指は右脚になります。
これは、韓国で当たり前に行われている治療法です。私もこの見方で治療する時もあります。この「人型(ひとがた)の形状をした治療区域」が手そのものですが、頭にもこのフラクタル構造の形状が存在していたのを、山元先生が見つけられたのです。少し大げさにいうとカラダという宇宙に存在するフラクタル構造がいたる所に存在し、それを日々発見する旅に我々治療家は出ているのです。