先日基調講演をされた山本竜隆先生の先生、アンドルー・ワイル氏の本「癒す心、治る力」は、現代医学の間違いをしっかりと諭す本です。ワイル氏は、世界各地をさまよい、治療の本質を突き詰めようとされています。その行動力、分析力は傑出しています。その中の一節を記載します。
『 ハーバード大学医学校時代、わたしたち学生にヒポクラテスのその言葉「まず、傷つけることなかれ」「自然治癒力を崇めよ」の真の意味を教えてくれた教師は1人もいなかったし、現在でも、医学校でそれを教える教師はほとんどいない。それこそが、現代医学の唯一最大の思想的欠陥である、とわたしにはは思われる。その欠陥は、はかり知れないほど大きな損失を招いている。なぜなら、だれもがかかりがちな多くの病気の、費用に対する効果の効率が最も良い解決法をみつけることができないのは、その結果のゆえだからである。』
『私のオフィスに来る、まあまあ健康、もしくはなんとなく具合が悪いという患者は、自分自身の健康に責任を持とうとする動機がきわめて高い。動機づけが高い患者とは話していてもこちらが楽しくなる。彼らは情報を欲しがり、それが得られると実行に移す。一般に、知的で教育程度も高いという、代替療法家をたずねる人たちにかんする国内外の調査結果と一致するタイプの人たちである。そのタイプには、現代医学による医療の結果、身体的、感情的、経済的に苦しんだ経験を持っている人が多い。その人たちがよく訴える不満はつぎのようなものである。
「医師は話を聞いてくれないし、質問にもちゃんと答えてくれない」
「医者はくすりをくれるだけだ。もうくすりは飲みたくない」
「これ以上できることはない、いわれた」
「悪くなる一方だといわれた」
「病気と共存するしかない、といわれた」
「あと半年のいのちといわれた」
とくに後半の四つのことば、はきわめて不穩当だと思われる。そこに人間の治る力にたいする深いペシミズムが反映されているからだ。最悪の場合、医師のこうした態度は、医療の「呪い」ともいうべき力を発揮することになる。恥知らずというほかない。』
考えさせられます。