地下足袋

私の尊敬する大野朝行先生の「カタカムナの姿勢と動き」BAB JAPAN出版の一節に

『踵(きびす)と言う文字にも示されているように、重さはしっかりと踵(かかと)に掛けることがマノスベになるのです。』

マノスベとは、体で感受して、それに従った姿勢、動きのことです。

確かに、カラダの重さを掛けるところは踵(かかと、きびす)であると、漢字で示されているのです。これが二足歩行を余儀なくするようになった人間が、長年の経験から体得したキーワードなのです。私個人としては、長年の間、体重は母指球に掛けると学んでいたことが、音を立てて崩れていく一節でありましたが、納得できる一節でもあったのです。

180度、急回転することを、「踵を返す」といい、母指球を返すとはいいません。これは、踵が素早く無理なく回転できることを知っての言葉なのです。男性が立ち小便する時、踵重心になって副交感神経が優位になる姿勢を自然に作ります。これは、一つに一番油断した体勢のため、万が一敵が斬りつけて来た時、とっさに「踵を返す」ことができる姿勢を作っているとも考えられます。

着物を着てワラジ、下駄を履いていた日本人は、つま先を上げた踵重心の頭が上下することのない自然な姿勢で歩いていました。大腰筋という大きな筋肉を使い、無駄な動きのない効率の良い歩き方をしていたのです。

ところが、ズボンや靴を履く時代に日本もなってしまい、いつのまにか踵重心を忘れてしまった日本人・・・せめてもの抵抗として、私は地下足袋を履いて外出しています。