美術系大学の受験生なら、必ず木炭デッサンか、鉛筆デッサンを勉強します。私は、木炭デッサンを学びました。目白駅近くの小さなビル2階に、「東京美研」という全く無名の絵画研究所がありました。K先生という、顔面髭(ひげ)におおわれた、鋭く温厚な眼力の持ち主が、窓際で読書をしておられ、
「おはようございます!」
「おはようございます。」
から、一日が始まります。私がこの研究所を選んだ一番の理由は、授業料の安さ。いくらか忘れてしまいましたが、とにかく安かった。ですから、集まってくるのは、貧乏学生ばかり。K先生は、モノの見方は教えてくれますが、テクニックは一切教えてくれません。20畳くらいのスペースの壁際に石膏像が10体位あり、学生は好きな像を自由に描いていました。
「石膏(像)は、白いです。光が当たるとここ(ハイライトの部分)が、一番明るく、徐々に暗くなっていきます。後は、自分で形を作っていきなさい。この平面はあなたの世界ですから、私は一切手を付けません。」
いつでも、この言葉の繰り返しです。今思えば、何と素晴らしい先生に出会えたのだろうと、感謝しかありません。お陰で、私のデッサンはテクニックが無いのです。見ることに7割時間を費やし、残りの3割で描いたり、消したり。対象を把握する練習をしていたのです。
山元式新頭鍼療法(YNSA)では、ソマトトープ(小さな人型)がキーワード。特に、側頭部にあるIソマトトープは、側頭部を良く見つめ、小さな人型のイメージを描き、左親指の爪で圧痛点を見つけます。石膏デッサンをしている感覚に似ているので、私は得意です。
大学に入っても、デッサンは好きだったので、毎日のように練習していました。これが、今になって役に立っている様に思います。K先生、本当にありがとうございました❣️