操体法と山元式新頭鍼療法

先週、操体法のみで右股関節の痛みをとった私と同い年の女性患者Aさん。今回は、左の骨盤に痛みがあります。2〜3日前からギックリ腰のようになったので、当院に電話をしようと思ったそうです。しかし、思いとどまり、ゴルフボールを左の肩甲骨に当て、操体法を行ってみたところ、徐々に回復したそうです。Aさんは、前回の治療から学ばれたました。ところが、まだ左の骨盤には痛みが残っています。

「Aさん、ここが痛いんじゃろ・・・そしたら、肩甲骨のここ(トンスケという骸骨モデルを指指す)が、引っ張りやいこしとるけん・・・ここ(Aさんの左肩甲骨上部)、痛ない?」

「痛い!」

「そうじゃろ・・・今日も、操体法で骨盤の痛みを取ってみようか!」

ということになり、ああでもない、こうでもないと様々なポジションを作っていき、やっと最適のポジションでAさんの「仰向け右膝立て、左肩による肩甲骨上部の陶石押し込み操法」が見つかりました。

「先生、これは効いとらい・・・」

「Aさん、ゆっくりゆっくり微妙に動くだけでええけんな・・・・いそがんように。」

などと喋りながら5〜6分経ちました。ゆっくり起きてもらい、左の骨盤の状態をチェック。

「・・・・・先生、痛ない・・・・色々動いても・・・痛ない。」

後は、いつものように足の合谷診(第一中足骨と第二中足骨の間の触診)、膝診(膝窩横紋周辺の触診)、首診を行います。すると、足の合谷診では右足が反応しました(右側血流が悪い)。いつもは、左側が反応するのですが、やはり、左側の血流が良くなっているようです。ところが、首診をすると、全て左側が反応しました。下記の通りです。

膝診
左:頸椎、腰椎、大脳←治療チェックせず
右:胸椎(2)、大脳(1)、小脳(0)

首診
左:腎(1)、膀胱(0)、肝(0)、心(0)、大腸(0)、三焦(消化器系)(0)、胃(1)、脾(0)、小腸(0)
右:なし

( )内の数字は、診断点の圧痛が治療点に置鍼をすることで、無くなったときの鍼の数を表します。
(0)は、他の治療点への置鍼の影響で圧痛が無くなったことを示します。操体法で左肩甲骨を刺激したかめか、2本の置鍼で9カ所の圧痛が無くなりました。
その後、Aさんにはフォークソングを聴きながらゆっくりしてもらいます。突然、

「ゴホン、ゴホン・・・・・先生、咳するとやっぱり、ここ(左側骨盤)に響かい。」

「響くん・・・・そしたら・・・」

と、左中指を頭頂部、右中指をAさんの肩甲骨圧痛点に軽く置き、7〜8分。

「ゴホン、ゴホン・・・・・あれ?先生、咳しても、ここ(左側骨盤)に響かん。」

中指を置くだけの操法、効きます。