ゆほびか(6月号)という健康雑誌に私の師匠である加藤直哉先生が、投稿されています。
その一部を、ご紹介します。
『痛みや傷の原因は脳だった!
ところで、私たちの体の痛みや不調は、どのようにして起こると思いますか?例えば、腰痛ならば、腰の骨や筋肉に異常が生じていると考える人が多いでしょう。
確かに、それも間違いないのですが、腰痛などの慢性痛の原因は、骨や筋肉の局所ではなく、「脳」まで及ぶことを忘れてはいけません。
多くの場合、痛みの発生後1ヶ月程度で、痛みの元となった組織の損傷は治癒し、痛みの感覚のみが残存します。この状態が、痛みが改善しない、あるいは、感情の昂(たか)ぶりによる痛みの増減といった慢性痛の状態で、単純な組織の治療だけでは解決しない場合が多くなります。
また症状も、局所のみならず、全身性の痛みに変化したり、天候での変化や、不定愁訴・感情などで痛みが増悪したりと、かなり複雑化してくるのです。
2段階で痛みを感じる脳のしくみも、慢性痛を悪化させます。
痛みが生じたとき、痛みの信号が脊髄・視床路を使って通って一次、二次体性感覚野に到達することで、最初の痛みを感じます。次に、脊髄・中脳路を通ってきた信号が脳幹、さらに島(とう)、扁桃体、前帯状皮質まで伝わります。慢性痛は、このような痛みの刺激が継続されるため、脳そのものが痛みに過敏になります。
第二痛を感じる島・扁桃体・前帯状皮質は、感情的認知的反応にかかわる場所ですから、長期間ストレスを受けると、痛みを増幅して感知するようになり、いつまでも症状が改善しないのです。
ですから、痛み・不調がある場合は、患部だけでなく脳もケアをすることがとても重要になってきます。』
痛みと脳の関係が密接であることを改めて認識しました。