1年ぶりのギックリ腰
高い所にあるものを取ろうとしたときに、激痛。
その日は、歩くことも出来ず、やっと歩けるようになり来院されました。
1年前にも、同じような状態になったそうです。
着替えをすることも出来ません。
「Wさん、一番楽なポジションになって下さい。」
「そうですね、横向きですかね。」
ゆっくり、ゆっくりとベットに横たわっていただきました。
3種類のクッションを使って、少しでも楽な位置を見つけます。
私が、操体法を習い始めた頃(17年前)、ギックリ腰は絶対安静が重要で、2~3日置いてから
治療するように教わりました。
その理由は、操体法の手技は、患者さんの動きを、引き出す必要があるからです。
つまり、八方ふさがりの患者さんは、動けないから操体法が出来なくなるのです。
そのため、操体法の手技で、皮膚を動かしたり、触れるだけの治療法が生み出されました。
事実、私の治療法として、患者さんの皮膚に触れるだけで治す時期が、4~5年ありました。
ただ、この手技は、患者さんの感性に左右されるため、その感性を感知する能力が試されます。
そのため、より確実な鍼灸を、現在は施術しています。
おっと~・・脇道にそれてしまいました。
ギックリ腰です・・腰が痛いから、腰に鍼を刺すようなことはしません。
Wさんの場合、ふくらはぎと、太ももの内側に飛び上がるほどの圧痛点があります。
原因は、この下半身の張りにあります。下半身の筋膜が、腰の筋膜を引っ張るため、腰の筋膜も、
それに負けじと綱引きをし、負けてしまい・・赤旗(痛み)を出すのです。
ふくらはぎの5ヶ所に、鍼を刺し10分ほど置きます。その後、お灸を3~10壮。
お灸は、なるべく圧痛点がなくなるまで時間をかけて行います。
これが、ポイントだと思います。
一度起き上がっていただき、腰の状態をチェック。
背筋を伸ばすことが出来るようになりました。
そのため、仰向けのポジションが可能となりました。クッションをうまく使い、無理のない位置を
確保します。
今度は、太ももの内側です。ここにも、飛び上がるほど痛いところがあります。12ヶ所に置鍼(10分)。
残った圧痛点にお灸を3~5壮しました。
「Wさん、ゆっくり起き上がって下さい。」
恐る恐る起き上がるWさん。
「あら~、楽です!」
キョトンとした表情で玄関をスタスタ出て行くWさんの姿が、今でも脳裏に焼きついています。