脳幹に脳梗塞のドイツ人女性

脳幹という生命維持装置に血栓ができたドイツ人女性の、YNSA治療のお話です。山元式新頭鍼療法(YNSA)の創始者山元敏勝先生は、150万人もの患者さんの治療を行い、独自の鍼治療を開発されました。このYNSAが最も普及しているのがドイツです。19万人のドイツ人医師がYNSAの研修を受け、YNSAの試験を受け合格した医師には、YNSA治療で保険対応ができる制度があります。

さて、このドイツ人女性はどうなったのでしょうか。

『この患者さんは、ドイツ人の女性で、6年前に発症した脳梗塞による後遺症で、手足に麻痺がありました。梗塞を起こした脳の場所が、脳幹という生命維持に重要な部分だったため、発症時は、数週間昏睡状態が続いていたそうです。麻痺は両手両足におよび、呼吸も表面的な浅い呼吸で、深呼吸はもちろん、ろうそくの火を消すこともできない状態でした。

この女性は、私がYNSAの講演でドイツに行ったときに、ある病院に入院されていました。そして、ドクターから「6年間リハビリを行ってきたが、何にも変化がないので診て」ほしいと頼まれたのが、この患者さんとの出会いのきっかけでした。

頭部に針を刺し治療を行うと、その直後に手足がわずかに動くと言うことが起こりました、そして、私の滞在中に、麻痺した手足に大きな動きが見られるようになったことから、ご本人とご家族の強い希望で、日本に来られ、日南の私の病院に入院して治療を続ける事になったのです。

私も毎日、休まず治療を続けました。

日を追うごとに順調な回復をみせ、3週間後には、左手にいくらか力が入るようになってきました。その力は日々強くなり、2ヶ月後にはペンをにぎり形にはなりませんでしたが、文字を書くことができるようになりました。8ヶ月後には、自分で体を支えながら座ることもできるようになり、左手を使って自分で食事もできるまでに大きく改善しました。表情にも笑顔が浮かぶようになり、書く文字もはっきりと読み取れるようになりました。

そして10ヶ月後には、両足に保護装具をつけて、つかまりながらであれば1人で立つこともできるようになったのです。左手で書いているため、やや不自由そうな文字ではありましたが、通常とはほとんど変わらない8行の長い文章で書いてくれな言葉には、まったく動かなかった体が動くようになった喜びとドイツで待っている子供たちに会いたいので、クリスマスには帰りたいが、日本に戻ってまた治療を続けたいと書かれていました。

ここまで大きな改善が見られた患者さんですが、脳のMRI画像は、入院当初の画像と全く変化は見られませんでした。このことから、障害の起こった脳の部分が改善されたわけではなく、その他の部分で改善をもたらす力が働いたことがわかります。

全く体が動かなかった。6年もの間、ご本人にとってもご家族にとっても大変に辛く悲しかったことでしょう。脳幹に起こった梗塞による重度の麻痺であっても、ここまで回復をもたらすことができた事は、私にとって貴重な体験といえます。』