おみそれしました

「先生、ワシなあ・・・実は五十肩なんよ。」

「えっっえ、聞いてないよ・・・・何で教えてくれんかったん?」

「一回五十肩やった時、ヒアルロン酸の注射して治ったんで、そこにまた行って、治療受けたんじゃけど・・・今回は、治らんでそのままにしとった。」

「鍼で五十肩は治るんよ。」

どうやら、70才代の男性患者Bさん、「下肢の痺れ」は、当院で治して、「五十肩」は病院で治すと決めて通院されていたようです。そこで早速、頭頂部の治療点に3本置鍼。

「Bさん、肩どうですか?」

「・・・・・あれ?右腕と同じに後ろへいく・・・・五十肩が、嘘みたいに治った!・・先生、おみそれしました!」

「・・・まあまあ。」

というわけで、少し信用を得たようです、おしまい。

即効性

 

50才代の女性患者Aさん、2日前に風邪をひき鼻水が出ています。そこで、山元式新頭鍼療法(YNSA)の鼻、舌咽神経、肺に関する置鍼を3本。そのあとは、自律神経と内臓を整える置鍼を11本行いました。

「鼻水が出なくなったんですけど・・・・」

「あああ・・・即効性があるでしょう?」

山元式新頭鍼療法(YNSA)では、 感覚点という治療点が診断しないでも存在しています。つまり、患者さんの訴えに対して、即対応できる治療点ということになります。Aさんの場合、鼻水がでるのが気になるので、オデコにある鼻の治療点に2本置鍼しました。実際には、鼻水が出たがっているのだから、出して上げる方がいいのかも知れませんが、鍼の即効性を感じていただけるのなら良しとします。30分の置鍼を終了して、鍼を抜いていると、

「あれ?ノドのイガイガを感じていないって、今感じました。何かされました?」

「あああああ~、最初、頭の天辺に打った鍼は、舌咽神経に効くので、良くなったんでしょう。」

と、AさんはYNSAの即効性を身を持って体感されたようです。良かった、良かった!

心房中隔欠損症

 

80才代の女性患者Bさん、今回が初めての来院です。

「私は、心臓に穴が空いていて、くっついているの。」

とおっしゃられました。そこで、インターネットで調べてみたところ、「心房中隔欠損」という病名で紹介されていました。

『心房中隔欠損症(Atrial septal defect :ASD)とは、心房中隔(右心房と左心房を2つの空間に分けている壁)に穴が開いている状態を指します。心臓は、右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋から構成されています。右心房と左心房は、それぞれ全身と肺からの血液が戻ってくる部屋です。この両者の部屋は心房中隔と呼ばれる壁により隔てられています。

心房中隔欠損症は、先天性心疾患(産まれつきの心臓の病気の総称)の1つであり、その中でも一定の割合を占めています。また、心房中隔欠損症は女児に多いことが知られています。

先天性心疾患ではあるものの、無症状であることが多いため、新生児や乳児期に発見されることは少なく、就学時検診やそのほかの理由で小児科を受診した際などに発見されることが多いです。大きな穴では自然閉鎖は期待できず、年齢を経てから心不全による症状が徐々に現れることもあります。心臓や肺への負担状況を判断しながら、治療が行われる病気です。

胎児期、左右の心房を隔てる心房中隔には、卵円孔(らんえんこう)と呼ばれる生理的な穴が存在しています。胎児は胎盤を介して酸素を取り入れるため、肺で酸素を取り入れる必要がありません。そのため、胎児の右心房に返ってきた血液は肺へ流れることは少なく、卵円孔を介して左心房へと移動します。

出生後、赤ちゃんは自分自身の肺で酸素を取り込まなければならなくなるため、右心房に帰ってきた血液が肺に流れるようになり、卵円孔は不要になります。そのため生後、卵円孔は自然閉鎖します。

心房中隔欠損の多くは卵円孔の部位に認めますが、タイプによって穴が生じる場所は異なります。それぞれのタイプに応じて、症状の現れ方や自然閉鎖するかどうかの傾向、治療法も異なってきます。』

私の鍼は痛い その2

2

私と同世代の男性患者Bさん、首の痛みがに気になります。首診をして、4本置鍼したのですが、その内の脾、胆の診断点(首の中央部)2本が効きました。これらの治療点に置鍼した途端、首中央部が柔らかくなったのが分かりました。この2本で、山元式新頭鍼療法(YNSA)の効果を実感されたようです。

「ずいぶん首が楽になりました。」

とニッコリ笑顔のBさん、置鍼して30分待つ間に足に見つけた治療点にお灸をすることにしました。手作りのモグサで治療を始めると、

「祖父さんが、昔ヨモギを手揉(も)みしながら作ってたのを思い出した。」

「お祖父さんが作っていたんですか!すごいな!」

「実家は田舎の山の中じゃけん、キレイなヨモギがいっぱいあって・・・・今度、実家に帰ったら、取って来てあげる。なんぼでもあるけん。」

「それは、ありがたいです。ありがとうございます・・・・この紫雲膏は、ごま油をベースにして蜜蝋(みつろう)を入れて作るんですよ。」

「私の知り合いが、地元で養蜂しとるけん、蜜蝋を分けてもらえるかもしれん・・・・巣分けって知ってます?」

「いや、知らんです。」

「巣分けは、新しい女王蜂が生まれると、今までの女王蜂が、その半数を連れて引越しすることをいうんです。巣の上で一斉に舞い上がって次の家に引越しするんですよ。」

と、教えていただきました・・・いつも、患者さんから学んでいます。

私の鍼は痛い

60才代の男性患者Bさん、首が痛くて初来院となりました。以前、首を「ボキボキ」と鳴らす施術を接骨院で受け、気持ち良かったのですが、ある時から怖くなりその施術は受けなくなっておられました。そんな折、友人の紹介で当院を知り、鍼灸治療を初めて体験することとなられました。

「車を運転する時、後ろ向くのが痛くて仕方ないんです。首を捻ると音がするんです。」

Bさんは、10年前から高血圧の薬を常用されています。その薬と首痛の因果関係があるかどうかは、私には分かりません。そこで、高血圧を抑える薬の種類を調べてみることにしました。6種類の薬があります。Bさんがどの薬を常用されているのか、次回はしっかり伺うことにします。 

さて、初めて鍼灸治療を受けるBさん、いざ置鍼をするとなると、

「鍼は、痛いですか?」

と、ボソッと尋ねられました。

「・・・・私の鍼は、チョット痛いです。」

一般に使用されている鍼の直径は、0.16mm(太めの髪の毛と同じ程度)です。そしてその鍼を鍼管に入れ、鍼管上部にわずかに飛び出している鍼の頭を手で軽くたたいて刺します。すると、鍼管の肌への圧を脳は早く感じ、そのあと、鍼先が皮膚を切る感覚が遅く伝わるので痛みを感じないことが多いのです。

ところが、私が使用している鍼の直径は0.25mmあり、しかも鍼管と呼ばれる管を通さないで、直接鍼を肌に刺すので痛みを感じます。そのため正直に、

「私の鍼は痛いです。」

と言っています。痛くても効きますし、置鍼したあと気持ち良くなることが多いからです。(明日に続く)

スクワットで腰痛

2ヶ月前、180kgのバーベルを担いでスクワットをしていて、腰痛になった高校の男子スポーツ選手A君。前屈すると痛みがあります。

膝診(膝の内側、ウラ側、外側を押圧して、圧痛、硬結点を探し、脳と背骨の状態を診断する方法)をして、5本の置鍼を頭部にします。

「これで、前屈してみて・・・どうですか?」

「・・・・だいぶ、出来るようになってきました。」

と、ちょっと半信半疑。

「そしたら、もうちょっとやってみようわい・・・・これでどう?」

「・・・・・楽になってきました。」

「ほんとじゃね!スムーズになっとらい・・・もうちょっと、刺してみよわい・・・これでどう?」

「・・・・・楽です。」

「来た時の痛みが10で、全く痛くないのが0じゃったら・・・・今どれぐらいじゃろ?」

「・・・・1です。」

「そしたら、足にお灸をしょうわい・・・お灸はやったことないじゃろ?これは、紫雲膏という軟膏を乗せた上に、モグサを立てて火をつけるので、痛くないしヤケドにもならんから、安心して。」

と足に見つけた治療点に合計6壮お灸。

「これで、痛みはどうですか?」

「・・・・0です。痛くないです。」

と、ニッコリ笑顔。2ヶ月痛みが続いた割には、早く良くなりました。本来ならもう一度来院していただき治療したいのですが、他の選手との兼ね合いがあるので、今回のみで終了となりました。それにしても、「高校生の治りは早い!」と感心することしきりです。

左母指球痛

左手母指球が痛くてなかなかモノが持てない50才代の女性患者Cさん。時間を見つけ来院されました。

「今日も腰が痛いの?」

「いやいや、腰は何とかもってる。昨年暮れから、仕事が忙しくって・・・左のココ(母指球)が痛くなって、ほら、料理人って左手良く使うのよ・・・・フライパンとか!で、やっちゃった。だから、モノ持てないの。」

料理人でモノが持てないと仕事になりません。早速、治療となりました。今回は首診(内臓の状態診断)は行わず、膝診(脳・脊柱の状態診断)を行い5本置鍼。その後、左手狙いでC点、I.J.Kソマトトープの4本置鍼。

「これで、どうですか?」

「・・・・いい感じ・・・ほぼほぼ良くなった・・・・あと少し握って痛みがあるのと、ココ(左手母指球)押すと痛いだけになった。」

『さすが、山元敏勝先生(この治療の創始者)すごい!』と思いながら、足に見つけた治療点にお灸をすることにしました。2カ所にそれぞれ3~4壮お灸をし、

「これでどうですか?」

「いい感じ、握っての痛みがなくなった。」

「そしたら、もう一ヶ所考えられる場所があるので、そこを狙ってみるね。」

今年の学会で発表予定の足の治療点で、デルマトープとの関連を確かめるのに最適の場所だと判断したのです。デルマトープとは、神経が支配しているカラダの個所を地図のように示した「皮膚分節」のことをいいます。左母指球なら左側の頸椎6番神経となります。そこで、頸椎6番神経の治療点と思しき個所を鍉鍼(テイシンという銀の棒)で押圧。

「痛いところがあれば、教えてください。」

「・・・・痛い!そこ痛い。」

「どうですか?左の母指球。」

「・・・・・あからさまに全然違う!効いてる!」

これで、足に見つけた治療点にちょっと自信がつきました。これからは、実証例を増やしていこうと思います。あとは、Cさんの猫談義に花が咲きました!

ジャンパー膝

『ジャンパー膝とは、スポーツや運動などを過度におこなうことでおこる慢性的な膝ひざの障害です。膝蓋腱炎(しつがいけんえん)とよばれることもあります。

ジャンパー膝は名前のとおり、ジャンパー(ジャンプや着地の動作をくり返しおこなう人)が発症しやすい病気です。バレーボールやバスケットボールなどジャンプが多いスポーツをおこなう選手は膝に過度な負担がかかりやすく、発症する方が多くなります。

原因

多くはスポーツなどをおこなうことで「膝の使いすぎ」になることが原因です。バレーボール選手、バスケットボール選手に多くみられます。

ジャンパー膝では大腿四頭筋腱(だいたいしとうきんけん=太もも前面の筋肉とひざの皿のところの骨をつないでいる腱)や、膝蓋腱(しつがいけん=ひざの皿のところの骨とすねの骨をつないでいる腱)といった、膝のあたりの腱けんに炎症がおきます。こうしたことで膝のあたりに痛みを感じるようになります。』

上記のジャンパー膝と診断された高校の男性スポーツ選手A君が来院。1年間も左膝のお皿の上下が痛くて、なかなか屈伸できません。当院では、脳から脊柱の状態を診断に膝診を行なっているので、ジャンパー膝のような膝周辺の痛みに関して、直接、診断治療できるのは、強みです。

膝診で5本置鍼し、左乳様突起に2本、後は、頭頂部にあるJKソマトトープの膝治療点に 1本ずつの合計9本の置鍼。

「これで、どう・・・・膝の状態は?」

「・・・・・あれ?大丈夫・・・・痛くない!」

と驚きの笑顔。

「面白かろ・・・・効くじゃろ!後は、お灸をしょうわい・・・お灸って知らん?そうじゃろうな・・・・この紫雲膏いうのを塗って、その後にこのモグサいうのを乗せて、線香の火をつけるんよ・・・ほじゃけん、痛ない。」

と、足に見つけた膝治療点にしっかりお灸をして終了。膝の痛みは全くなくなりました。

皮膚病

 

石原医学大全の皮膚病に関する一節です。私には、腑に落ちます。いかがでしょうか?

『「皮膚病の三ナイを知っているかね。皮膚病はね、“わからナイ”“治らナイ”“死なナイ”というんだよ」

私の医学部時代の皮膚科の授業での教授の言葉だ。発せられたのは皮膚科医生活40年、ベテラン教授で、皮膚病治療の難しさを身に染みて感じておられたのだろう。

確かに西洋医学とって皮膚病は難しい病気が多い。皮膚の発疹(ほっしん)にも蕁麻疹(じんましん)、湿疹、アトピー、乾癬(かんせん)、化膿疹などがある。まず、発疹を抑えるためのステライステロイド剤や抗ヒスタミン剤で治療する。

ただ、一時的に改善が見られても、また別の場所に症状が出現することも少なくなく、出たり、引っ込んだりを繰り返すうちに、薬が効かなくなったりとわからない。、“わからナイ”“治らナイ”“死なナイ”にはまり込んでしまうことも少なくない。一方、漢方医学では皮膚病は血液の汚れが皮膚を通して排泄されている状態とみなす。西洋医学では治療対象となる発疹などを、漢方医学では大小便と同じ排泄作業と捉えており、発疹などを抑えるべきとは考えず、むしろ排泄を促してやる治療をする。そこが西洋医学との大きな違いだ。

以前、私が運営する伊豆のサナトリウムに、九州の大病院で内科の医長を勤めている医師がアトピーを改善するために、1週間ほど滞在されたことがある。西洋医学の医師として複雑な思いもお持ちだったろうが、長年の薬物治療に疲れ果てた結果の選択だったようだ。

ジュース断食をスタートすると、悪臭のする黄色い汁が皮膚から吹き出し、それが乾燥し、かさぶたを作り、一時は気の毒なほど醜悪な皮膚になったが、最終的には改善してご帰宅された。「吸収は排泄を阻害する」、”逆もまだ真なり”で「吸収(食事)しなければ排泄が活発になる」の通り、断食によって吸収をストップした結果、皮膚からの排泄がこの上なく活発化し(西洋的な症状の観点からは悪化と判断する)、アトピーの原因であった血液中の汚れを出し切ることができたのだ。吸収ばかりで、排泄がおろそかになると皮膚病になりやすいため、食べ過ぎ・飲み過ぎをし、運動不足傾向で、発汗の少ない人は皮膚病に悩まされることが少なくない。』

左足小指側痛の続報

 

ベンチプレス97.5kg上げて左足(手では無いです)小指側の外踝下が痛くなった高校生A君の続報。

初診後、一度来院し、今日で3回目。初回の痛みが10とすると、現在は2程度です。いつものように、膝診を行い脳から脊柱にかけての状態把握をおこない、置鍼をし、足ねらいの置鍼合計9本。

「これで、どうですか?」

「・・・・ちょっと、まだ痛みが残っている程度です。」

そこで、今回は足に見つけた治療点2個所にお灸をすることにしました。紫雲膏を治療点に乗せ、その上にモグサを置き、線香の火をつけるので、皮膚を焼くことはありません。その後、ベンチプレスで使い過ぎた左小指側の圧痛点にもお灸、合計16壮。

「これで、どう?」

「・・・・全然痛くありません。」

随分良くなりました。ただ走ると痛みが出る可能性があります。そのため、痛みが出たら来院という条件付きで左小指側の足痛治療を終了としました。果たしてどうなるのか・・・