デルマトーム その2


先日来院された70才代の男性患者Cさん、今年頸椎の手術をされたにもかかわらず左手の2指、3指、4指にシビレがまだあります。そこで様々なアプローチで置鍼7本、左足2趾、3趾、4趾にお灸をしたのですが、結局シビレは取れませんでした。それ以来、連絡がないのでもう来院はないと思います。

デルマトーム(皮膚分節)を考えていなかった・・・・と、反省しています。頸椎7番が丁度左2、3、4指にあたります。私が膝診で頸椎は2番、3番を狙ったのはどうやら間違っていたようです。

私が色を付けたデルマトームですが、頸椎をあらわすCは、Cervical Spine、胸椎をあらわすTは、Thoracic Spine、腰椎をあらわすLは、Lumbar Spineです。私は色で覚えるタイプなので、Cは、clear(澄み切った)のイメージで白色、Tはお茶のイメージで緑色、Lはland (土地)のイメージで茶色、Sはsky(空)のイメージで青色として覚えます。数字は1は、王貞治さんか、エントツ(1こんな形のイメージだから)とにかく、イメージで覚えるので年を取っても簡単に覚えられます。

ただ、顔面がVの意味が良くわかりません。三叉神経は英語ではtrigeminal  nerveで違います。多分、三叉神経は脳神経の5番=V、なのでVだと思います。Vはviolet(すみれ色)のイメージで塗りました。今日からの患者さんには、常にデルマトームを頭に入れようと思います。

アゴが痛い

2週間に1回来院される60才代の女性患者Cさん。2日前から右アゴに痛みを感じるそうです。Cさんご自身は、右を下にして眠っていたので、右アゴに圧がかかったからとおっしゃっていました。今まで、この様なことはなく初めての経験だそうです。

合谷診:左(左の膝診を行います) 

膝診:左頸椎#5、#6(1)、左胸椎#6(1)、#9(1)、大脳(1)、脳幹(0)、小脳(0)

首診:左腎(0)、左膀胱(1)、左肝(0)、左胆(0)、左心包(1)、左大腸(1)、左三焦(0)、左胃(0)

:左脾(0)、左小腸(0)

:右胃(0)、右脾(0)、右小腸(0)

(   )内は置鍼数

Jソマ(頭頂部)のアゴ狙いで2本置鍼したので、アゴの痛みが少し減りましたが、まだ痛みがあります。山元敏勝先生のYouTubeで、顎関節症の患者さんに対して、直接アゴに置鍼していたシーンがあったので、Cさんに口をあけて痛いところを教えてもらいました。

「ここです。」

Cさんは、ゆっくり右人差し指の爪をしっかり押さえて、教えてくれました。その個所に深さ1cmほど直角に置鍼。するとCさんは口を開けながら、別の圧痛点を教えてくれました。結局3本置鍼することになりました。

「これで、どうですか?」

「・・・・・だいぶいいです、来た時と比べたら、全然違います。」

やはり、アゴに関しては直接圧痛点に置鍼してもいいようです。血流が良くなるので痛みが無くなっていくのだと思います。いつも、患者さんから学びます。Cさんありがとうございました。

デルマトーム

不勉強を痛感しています。山元敏勝先生の著書「あきらめなければ、痛みも、麻痺も、必ず治る」をじっくり読むことをしていませんでした。先生のおっしゃっておられることを、しっかり理解していなかったのです。山元式新頭鍼療法(YNSA)は、神経伝達物質がポイントです。私はこれをあまり理解していなかったようです。

YNSAの即効性と鍼麻酔(山元先生は、鍼麻酔で意識のある患者さんの手術を2000例されています)の関係が分からなかったのですが、先生の本を読むうちに徐々に分かってきました。神経伝達物質を出すところというのは、脳幹という頭の中央部にあります。その中で視床下部というところから下垂体というスポイドの様な形をした物がぶら下がっています。ここから様々な神経伝達物質が出ています。生命活動を維持するための大切な部位が視床下部で自律神経の最高中枢になります。体温調節、本能行動の中枢、情動行動の中枢、体内リズムを司っています。

何とYNSAは、この重要な視床下部に働きかけているのです。これは、ハーバード大学をはじめとする各国大学でMRIを駆使して、置鍼した時の視床下部の変化や、神経伝達物質の動きなども解明されているようです。脳幹から出た中枢神経は尾骨まで伸びて、その間に31の脊髄神経(末梢神経)がカラダを巡っています。そして、その脊髄神経の感覚神経と、その神経に支配される皮膚領域は定まっています。これを皮膚分節(デルマトーム)といいます。また、筋肉に対する感覚神経の分布も規則的になっています。これを筋分節といいます。

山元敏勝先生は、このデルマトームと筋分節を理解して、鍼麻酔をされたのだと思います。例えばおへその上を鍼麻酔しようとすれば、胸椎9番にあたる治療点に置鍼をされるはずです。置鍼する箇所は眉毛の上にあります。すると、神経伝達物質(脳内麻薬といわれるエンドルフィン)が9番の脊髄神経まで運ばれておへその上に痛みを感じない部位ができるのではないかと思います。

神経伝達物質と鍼麻酔の関係を、デルマトームを通して理解したような気がするのですが・・・違うかもしれません。

前屈出来ない腰痛

インターネットを見て来院された50才代の女性患者Aさん、4日前に前傾姿勢を取った時に、腰から背中にかけて、痛みが走りました。前屈が出来ない状態です。

合谷診:左(左側の診断を行う)

膝診:頸椎#1(2)、胸椎#12(1)、

上腕診:腰椎(1)

首診:左腎(1)、左膀胱(0)、左胆(0)

右腎(0)、右膀胱(1)、

(   )内は置鍼の数

頸椎の治療点に2本置鍼して、診断点の圧痛が取れました。Aさん反応がいいので胸椎の置鍼に期待することにしました。というのは、上腕診と違い、膝診は頸椎#1~7、胸椎#1~12、腰椎#1~仙骨と細かく診断できるので、Aさんの胸椎#12に圧痛があるということは、上手く#12治療点に置鍼すると、胸椎#12の圧痛が無くなる可能性があります。置鍼して、

「Aさん、腰どうですか?」

「・・・・どこが痛いんか、分からんようになった。」

どうやら反応が出てきたようです。そこで、膝診では反応がなかった腰診断でしたが、上腕診を行うと反応があったので、腰の治療点に置鍼。

「Aさん、これでどうですか?」

「・・・・違和感が、無くなった・・・あれ?前屈できる!」

4本の置鍼で腰痛がなくなりました。あとは、内臓の治療点に置鍼して終了となりました。そのあとは、置鍼して30分時間があるので、血液の話、山元式新頭鍼療法(YNSA )などの話をして過ごしたのです。

「大変勉強になりました、ありがとうございました。」

のお言葉をいただきました。ありがとうございます。

 

「あら?早く来ちゃった・・・タクシーに電話して、小型をお願いしますって言ったら、今すぐ行きますってなって・・・早く来たんです。」

最近、運動免許を返上した80才代の女性患者Aさん、予定より40分早く来られました。

「先生、事務やっててちょうだい・・・・私、畳の上でゆっくりしていいですか?」

鍼灸院の中央部に215cm×140cm×40cmの畳部屋があり、障子2枚で仕切りを作った空間になっています。引き出しがあって、鍼の在庫、クッション入れとなっており大変便利です。畳部屋というより、畳ベッド障子付きというのが正確な表現でしょう。私は疲れると、この畳の上でゆっくりと操体法をしながら、カラダほぐしをします。Aさんも畳の上でゆっくりするのが大好きです。

「・・・・気持ちいい、家にも畳あるけど、横になってから起き上がるのが、大変なの・・・ここだと、段差があるので無理なく、よっこらしょっと起き上がることが出来るでしょ・・・いいね、これは。」

確かにAさんは、ちょっと小太りで、しかも右膝が人工関節のため、起き上がるのに不自由です。そんな患者さんには、非常に便利な空間となっています。これは、私が何となく思いついて、偶然出来たものですが、多くの患者さんに喜ばれています。

「Aさん、そしたらゆっくりしてくださいね・・・・私は、チョットお仕事しますね。」

Aさんは、毎週通われてもう3年目、気心が知れているのでお互い遠慮なくやれます。今日は「食べる煮干し」「からし菜漬け」「家庭菜園のピーマン」のお土産をいただきました。

「先生、ここの空間はいいね・・・・狭すぎず、広すぎず・・・木に囲まれているし、落ち着きます。」

確かに結構いい空間になりました。床、壁、天井を松、杉の天然素材にしたため、時間が経つほど味わい深くなるのがよいです。ただ、失敗は、玄関。バリアフリーにしたまでは良かったのですが、2重ドアにすべきでした。防寒、防熱、防音になりより快適になったと思います。万が一2号店が出せるほど繁盛したら(夢のまた夢)、その時は絶対に2重ドア!

今回のように、患者さんが仰向けになる時、天井が視野に入ってきます。京都にいらっしゃる患者さんからのアドバイスで、出来るだけ節の多い杉材を天井に使う様にしたのです。

「先生、天井だけは、しっかり考えて・・・・患者さんが飽きない天井にしてね!」

素晴らしいアドバイスをいただき、実行したならば、先日ある患者さんから、

「先生、この天井は節目がいっぱいあって飽きんし、死んだ節が一個もないのが、凄いわい。普通じゃったら何個かあるはずじゃけど、よう手入れをした山の樹じゃわい。」

とお言葉をいただきました。ありがとうございます♪

一昨日

一昨日の友近ママのラジオ番組に出たおかげで、新規の患者さんが出来ました。患者さんは、ただ何となく聞いておられたのですが、ご本人が大変お疲れだったので気になって電話してくださいました。やはり、ラジオの影響力はあるようです。もう2~3日待ってラジオの影響力を検証してみようと思います。

一昨日、弟の講演を聞きましたが、やはり面白い。高校教師をしていたのもあって分かりやすく話してくれました。その中で、川内町誌にあった漢文の和訳から、惣河内(そうこうち)神社の隣りにある金毘羅寺の建立秘話が見つかりました。それを私が絵にして紙芝居で説明しました。その秘話を語ろうとしたのですが、完全に覚えていないので次回、語ります。

とにかく、歴史的偉人の夏目漱石と正岡子規が、名爆の滝を訪れ、夏目漱石が50もの俳句を残したこと。この事実を来世にどのように伝えるか・・・弟に託します。

友近ママ

明日(土曜日)、午後7時30分頃「友近ママの魔法の引き出し」というラジオ番組に出演することになりました。もう12年も続いている番組です。午後7時~8時30分という長時間番組の15分間くらいを、おしゃべりをすることになりました。先日、打ち合わせがあり、資料を作って提出しようとしたところ、

「いらない、いらない、大体話を聞いたので分かった。」

と、プロの返答が返って来ました。さすが、芸人・友近のママさんでありました。おしゃべり上手の友近ママに、口下手な私・・・・もう、今から気分がちょっと憂鬱・・・友近ママは、多彩な方で、占い師、画家の顔を持っておられ、歌も上手(友近のママですから・・・)。

まあ~、何とかなると思うしかありません。音楽バンドあじさいクラブのメンバーが、応援で旗振りしてくれそう・・・・ちょっと恥ずかしいのですが、ありがたいことです。明日は、午前中弟が地元の公民館で講演をするので、それに参加してから松山市に戻り、心を落ち着けラジオ番組に望みます。頑張っていきましょい!

一灸入魂

一灸入魂

「お灸の効果があって、次回もお灸でやって欲しい。」という声を聞くことが最近増えてきました。そして、私の姿勢が、大切であるのでは?と考えるようになりました。これは何となく感じただけなのですが。以前は、右脚をなげだしてお灸をしていたのです。これの方が楽だったからですが、お灸を受ける患者さんからすれば、しっかりアグラをかいて三角形を作った状態の私からの施術を受けたいはずです。

それで、最近アグラをしてお灸をしています。まだ、はっきりとは言えませんが、効果があるように感じます。そこで、今日の患者さんの声を上げてみます。

お灸2壮して、

「あんなんで、効くん?・・・・やわらかなっとる。」

お灸1壮して、

「ちょっと違う。」

その後、2壮して

「良くなった。」

2壮して、

「ゆるくなっとる。」

その後、1壮して、

「触った感じが違う。」

このように、少ない壮数で、しかも熱さをほとんど感じないお灸が出来ています。今後ともこれを続けてみようと思います。

限界集落?

私の弟が、地元の公民館で講演します。10月22日10時からです。時間のある方は、是非ともお越しください。私がいうのも何ですが・・・弟は優れ者です。面白い発想で限界集落からの挑戦を真剣にしています。限界集落とは、65才以上の人が人口の50%以上の集落をいいます。まず、ネーミングが悪い。誰がこんなバカな言葉を作ったのでしょう。

長寿健康集落と私ならネーミングします。血液学の第一人者・森下敬一先生がコーカサス地区(アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア=黒海の東でトルコの北)の長寿研究を30年間されました。150才の元気な人々がザラにいたそうです。澄み切った空気を毎日肺にいれ、その地域にある野菜、穀物とヨーグルトを食べ、よく働き、よく笑う。これが、人が生きる原点です。

日本では、限界集落と言われている長寿健康集落が、コーカサス地区にあたります。これからは、若者がインターネットで仕事出来る時代、どんどんそんな若者が長寿健康集落に移住して、長生きを目指す段階になっています。もう薬なんかに頼る時代は終焉します。所詮、薬は石油製品、毒です。こんなもの飲み続けること自体が異常であると思いましょう。

弟に頼まれた絵、ボツになりました・・・さて、どんな講演になるのでしょう?楽しみです。

お灸効くなあ

1週間前から腰痛で、3ヶ月ぶりに来院の70才代男性患者Bさん。農作業を早めに終えて、来られました。

「ちょっと、1週間詰めて通おうと思う・・・慢性化して痛いんよ。」

合谷診:左(左の膝診を行う)

膝診:頸椎#3(2)、胸椎#11(1)、腰椎#2(1)、脳幹(0)、大脳(1)

首診:左腎(1)、左膀胱(1)、左肝(0)、左胆(1)、心包(0)、心(0)、大腸(0)、三焦(0)、脾(1)、

右腎(0)、右膀胱(1)、右脾(1)、右小腸(1)

(   )内は鍼の数

上記の置鍼13本を終えて、ある程度腰も軽くなったので置鍼30分の間に、見つけた足の治療点へお灸をすることにしました。来年のYNSA学会では、検証例を多くして発表出来るようにしたいと思っています。また、現在は上腕診はやめて、膝診のみを行い成果を出しているので、この発表もするつもりですが、発表の仕方がよく分からないので、心配です・・・まあ何とかなるか。

お灸の良さは、患者さんと雑談しながら施術できることにあります。

「柴犬は、メスが体高35~38cm、オスが38~45cm。それより小さいのが豆芝で豆芝という種類はないんよ。メスはキツネ顔、オスはタヌキ顔がええんよ。」

「ええ・・・そうなんですか、知らんかった。」

「メスは、スーッと面長。オスはチョットエラが張った感じがええんよ。」

「なるほど、ネコもそうなりますね!」

「朝、夕散歩1時間ずつ、好きじゃないとやれん。」

などと、話が弾んでいき野球、バスケットボール、卓球の話・・・と続くのです。

「ところで、今腰の状態どうですか?」

「・・・・・ええ感じ、お灸効くなあ!」

「結構、効くでしょう!」

左右の足に合計9壮し、内訳は全く熱さ感じない1壮、少し感じる4壮、気持ちいい3壮、熱い1壮。

「今日来た時の痛さが10じゃったら、鍼の後、お灸の後はいくら位になりますか?」

「10から8、8から2。」

お灸が効いているのが分かり嬉しいのですが・・・鍼の技量をあげなければと、感じたのです。