贅沢な時間

NHKが鍼の特別番組を放映したので、少しずつ世間一般に浸透し始めたのか、患者数0の日が今月に限っては、ありません。いずれにせよ、数千年の歴史ある鍼治療が、山元敏勝先生によって西洋医学との融合を計ったのですから、今後ますます進化していくことは、明らかです。私も、一鍼灸師としてその流れに乗っている幸せを感じます。

鍼灸師は、患者さんに触れることを仕事にしています。触れて患者さんのカラダの状態を把握します。最近、足の指を丁寧に診るようにしていますが、私の触れる指の角度、重心移動で患者さんの反応が一瞬にして変化します。私の場合、ツボを見つけた時、イメージが浮かぶ時があります(いつも浮かぶ訳ではありません)。点であったり、線、面であったり様々です。イメージに伴って、何とも表現できないある種の感覚が生まれる時もあります。多分、この感覚は患者さんが感じている感覚に似ているのだろうと思います。

患者さんに触れる手が、元気でなければ患者さんが体調を崩してしまいます。そこで私がやっているのは、熱い朝風呂の後の、水シャワー。寒い冬でも浴びています。シャワー後のカラダはポカポカと暖かいので、患者さんに触れる手は、元気です。それから、治療室の中央に高さ40cmの障子、引き出し付き3畳間があるので、いつでもゴロンと寝転がることができます。そこで、YouTubeで紹介しているセルフケアをしています。ここが「カラダ研究所」で贅沢な時間を過ごしています。

痛みに感謝

午前中に、YouTubeの制作。今回は、頭痛の改善法です。

筋緊張性の頭痛に対処する4分41秒の動画です。最近は、デスクワークでPCの画面ばかり見て同じ姿勢を長時間続けている方が多いと思います。そういう方は、首、頭、目などが痛くならなければ、カラダは壊れます。カラダが「止めて!stop!」のサインを痛みで示してくれます。痛みは本当にありがたいです。

私が、小学生のころ・・・・60年前、社会科の授業で、第一産業(農林水産業)の割合が、80%だと習った記憶があります。高度成長期に突入し始め、中卒の若者が「金の卵」と言われ始めた頃です。都会に人々が移り住み始め、そこで第二次産業と呼ばれる製造業、建設業が脚光を浴び始めます。この当時の人々は、やはり肉体労働が主であったと思います。ところが、この様な産業分類自体が、古典的であるといわれる今・・・・気がつくと、肉体労働をしない仕事の方が、主流になりました。

PCの前で、カラダを固定し、目と頭に血液を流す仕事を当たり前にしています。人類史上、こんな不自然な期間は初めてだと思います。敏感な人々は、それを察知して痛みとして訴えてくれています。治療家は、その痛みに寄り添い分析し、解決するだけです。

連動体験

 

今回も、しつこく「重心安定の法則・足は親指、手は小指」のうち、「手は小指」の具体的な有豆骨、有鈎骨という骨を改めて紹介しました。同じ様な動作でも、自然で可動域が広がる連動と、全く動く事ができない連動があるという事を、身をもって感じてもらうためのYouTubeを制作しました。そのポイントが、有豆骨、有鈎骨です。

仰向けの状態になり、両膝を立てて、右腕を天井に向け親指側を天井の方向に伸ばすと、一体どの様な動きになるのでしょう?

また、同じ状態で有豆骨、有鈎骨を意識して右腕を天井の方向に伸ばすと、カラダの動きはどうなるのでしょう?

興味ある方は、是非YouTubeをご覧ください。

クスノキのコブ再び

2年間右母趾球を蹴(け)って歩けなかったのが、出来る様になった70才代の女性患者Aさん。1週間後の本日来院されました。

「先生、これ見て!」

「・・・・・すごい、蹴(け)ってる!」

足の甲にパイオネックス(円皮鍼)を貼っていたのが効いたのかも知れません。以前なら1~2日で元に戻っていたのですが、1週間持ったようです。実際、Aさんの治療以降、鍼を足の甲やウラにパイオネックス(円皮鍼)を貼って治療することが多くなりました。今後は、益々この傾向が加速していくと思います。いくら足に置鍼することが多くなっても、山元式新頭鍼療法(YNSA)に変わりないので、自由に研究してみようと思います。とにかく、患者さんの言うことに素直に耳を傾ける以外ありません。

改めて待合室にクスノキのコブを並べて、ゆっくり歩いて足を刺激してみました。これはいいです、効きます。以前にも言いましたが、クスノキは英語ではカンフルツリー、つまり「元気の出る木」なのです。コブにあるイボイボからは新芽が出て枝になろうととします。それを人為的に取るとイボイボのままになり、翌年に再びイボイボができ新芽を作る・・・・これを繰り返して、大きなコブが出来上がるのです。クスノキ のコブはイクラやタラコのようなエネルギーの源(みなもと)なのです。

このコブの道を歩くだけで、足ウラがポカポカしてきます。バランスを取ろうとする無意識の動きはカラダの歪みを取って行きます。今後とも、暇な時(ヒマが多いのです・・・)このコブで遊んでみます❣️

楽な運転の姿勢

以前のフェイスブックに、

「操体法の教えに重心安定の法則があり、「足は親指、手は小指」を使うことを説いています。「足は親指、手は小指」には解剖学的にも納得できる事があります。足の母趾球の中足骨頭には2個の種子骨があり、末節骨の鍵状先端と2等辺三角形を作り大地をしっかり蹴ることが出来ます。同様に手の小指側の手首近くには、有豆骨(ゆうとうこつ)、有鈎骨(ゆうこうこつ)という豆状とカギ状の骨が小指末節骨の鍵状先端とからんで物を持ちやすくしています。」

と書きましたが、本日重心安定の法則に則した「楽な運転の姿勢」というYouTubeにしました。

このYouTubeでは、楽なアクセルの踏み方も紹介しました。長距離ドライブをしていると、膝から足首にかけての筋肉が、引きつる人が多いようです。これは、アクセルを踏む足底の位置が間違っているのを、カラダが悲鳴を上げて教えてくれているのです。

興味ある方は、是非ともご覧下さい。

からだの設計にミスはない

 

私にとっての操体法の原点である「からだの設計にミスはない」と言う本の写しを紹介します。
これは操体法の創始者橋本敬三先生の本です。

病名がついた時はもう遅い

私たちのからだはね、基礎構造が狂ってきて、少し捻れたり曲がったりすると、てきめんに気持ちが悪くなる。そしてそれをかまわないでおくと、働きが悪くなる。それをもほっておくと、しまいには本当に中のものがくずれたり、はれたり、腐ったり、様々な変形が見られ始めるのです。

そのような段階、つまり、第一段階、気持ちが悪い、第二段階、働きが悪い、第三段階、中のものが変質する、と言うような段階があり、現代医学の病名っていうのは、中のものが変化し、機械が壊れたと言うことが証明されて初めてつけられるのです。ところが、皆さん方は医者じゃないから、俺たちは今、第何段階だってことはわからない。だから、ちょっとでも気持ちが悪くなったら、病気になったと思うのは当たり前ですよね。「先生、私昨日から肩が凝って、めまいがして、吐き気がするんだけれど、どこか悪いんでしょうか」と言うと、医者は「そうですか、じゃぁ、調べてみましょう」とレントゲンを取ったり脳波取ったり、小便や血液とったりする。「みたところ、何でもないな、別に異常は無いですよ」と言うことになる。

それでは困るんだなぁ。自分が異常を感じたから出かけていったんで、これはもう医者がわからないだけの話です。「まぁ、医者がああいっているんだから大丈夫だろう」とか何とか言って、そのまま放っておくと、急にお腹に激痛が走って、また病院へ駆け込むことになる。すると医者は言う。「何で、こんなになるまでほっておいたんです。胆嚢炎だ。肝臓もだいぶやられている。もう少しで危ないところだった」と。これが現代医学なんですよ。考え方がまるで逆立ちしている。悲劇だね。

だから、皆さん、自分で気持ち悪いと思ったら、この感じは自分にしかわからないのだから、自分で処理するに限ります。どこが気持ち悪いんだか、いろいろ動いてみて探し出し、そこから気持ち良い方へうまく逃げればいいんです。それで治っちゃう。こんなうまいことないですよ。人間のからだって、そういうふうにありがたくできているのです。私たちの先祖は、それをもうチャンと知っていた。確かにその先祖は偉かったけれど、それを我々バカ子孫がいつまでも気がつかなくて、怠けておって、今、私たちはバカだったその報いを受けていると言う事ですね。

医師である橋本敬三先生の言葉には、重みがあります。

絵の効果

YouTubeの制作を今週金曜日にするのですが、その素材作りを自撮りでしています。ただ、思ったアングルが取れないので大変。やっと取れ時は、夕方になっていました。ただ、絵を描いて説明した方が良いかもしれないので、描いてみました。

やはり、絵一枚で理解出来ることがあるように思います。今回のこの絵は、右脛骨(けいこつ)の内旋がやりづらいので、反対側の足の母趾球で固定し、右脛骨の外旋する動きをとることで、カラダ全身の連動を促す操法です。

これは、操体法の創始者・橋本敬三医師が「生体の歪みを正す」創元社のp245に書いておられる逆モーション療法にあたると考えます。そこには、下記のように書かれています。

椅子の脚に自分の脚をからみつけて、下半身を固定しておいて運動させる方法は、大変うまい方法である。同様に、前にも希望を述べたことがあるが、身体各部をそれぞれ(特に四肢末端、頭部を)固定する器具を創製してくれる方があれば、運動系の連動性を利用して自分で自分の体の歪みを自分の感覚に聞きながら、矯正できるのである。

今回は、これにあたる操法です。

 

正しいハンドルの握り方見っけ!

自動車教習所でハンドルを、10時10分の位置で握るように教わりますが、あれは間違いだと思います。F1レーサーがハンドルを10時10分の位置に置いて、猛烈なスピードに耐える事が出来ません。何故なら、脇が空いて余分な腕力を使ってしまうからです。究極のスピードレーサーが持つハンドルの角度こそが、正しい角度です。長距離トラックの運転手も同様に脇を締めてハンドルを持たなければ、簡単に肩こりになってしまいます。角度は3時43分位になるでしょう。

操体法の教えに重心安定の法則があり、「足は親指、手は小指」を使うことを説いています。「足は親指、手は小指」には解剖学的にも納得できる事があります。足の母趾球の中足骨頭には2個の種子骨があり、末節骨の鍵状先端と2等辺三角形を作り大地をしっかり蹴ることが出来ます。同様に手の小指側の手首近くには、有豆骨(ゆうとうこつ)、有鈎骨(ゆうこうこつ)という豆状とカギ状の骨が小指末節骨の鍵状先端とからんで物を持ちやすくしています。

最近、この小指側のこれらの骨を使って最も効率よくハンドルを握る方法を見つけたので、お教えします。非常に簡単です。力道山が空手チョップで相手の首に当てる個所に有鈎骨(ゆうこうこつ)、有豆骨(ゆうとうこつ)があります。この部分をハンドルの3時43分に当たる部分へ乗せるだけで、ハンドルがしっかり手に引っかかり安定します。後は、軽く軽くハンドルを握るだけです。脇も自然と閉まり全く力むことなく運転出来ます。

騙(だま)されたつもりで1度お試し下さい。

手は有鈎骨、有豆骨

一昨日のブログに、「足は母趾球、手は有鈎骨(ゆうこうこつ)、有豆骨(ゆうとうこつ)」と書きましたので、今回はその視点で大相撲を見てみました。立ち会い前の「最後の仕切り」で行司(ぎょうじ)が

「手をついて。」

と必ず言いますが、この真意は「手の有鈎骨(ゆうこうこつ)、有豆骨(ゆうとうこつ)」を意識してだと思います。多くの力士は立ち会いの「一つ前の仕切りまで」は、手の有鈎骨(ゆうこうこつ)、有豆骨(ゆうとうこつ)を土俵につけようとと意識するのです(実際には難しいです)が、立ち会いの仕切りでは、ちょっこっと手をついた立ち会いの動作をしてしまいます。その中では、大関朝乃山の仕切りが素晴らしいです。最後の仕切りでも、しっかり「手の有鈎骨(ゆうこうこつ)、有豆骨(ゆうとうこつ)」を意識し丸まった姿勢を取っています(写真は、立ち会いの瞬間)。

残念ながら、朝乃山は照ノ富士に負けてしまいましたが、これからも、立ち会いの「手をついて」に注目してみたいのです。

母趾球

ありがたいことに、操体法の師匠・今昭宏先生からYouTube動画にご指摘を戴きました。素晴らしいアドバイスに感激いたしました。早速、自撮りで動画を作ったので、明後日に編集します。

ここで、改めて「足は親指、手は小指」を考える機会を得ました。そして、もしかして「足は親指の母趾球、手は有鈎骨(ゆうこうこつ)、有豆骨(ゆうとうこつ)」ではないかと考えるようになりました。

例えば、仰向けに寝ころんでカカトを意識して股関節を内側に回すのと母趾球を意識して股関節を内側に回すのでは、母趾球を意識した方が可動域が多くなり、よりスムーズになります。また、手の挙上において、親指と小指の意識では小指の方がはるかに可動域が増えるのですが、同じ小指でも、先端の末節骨と手首近くにある有鈎骨(ゆうこうこつ)、有豆骨(ゆうとうこつ)を意識するのでは、有鈎骨(ゆうこうこつ)、有豆骨(ゆうとうこつ)を意識する方が、はるかに可動域が増えるのです。

これで、考えるのが「力道山の空手チョップ」。力道山は1949年5月場所に関脇にまで登りつめた力士であり、つっぱりが得意技だったそうです。このつっぱりで、有豆骨、有鈎骨辺りを鍛え上げ「力道山の空手チョップ」が出来上がったのだと思います。

野球選手がバットを握るのも結局、有豆骨、有鈎骨で握るようにします。力士が仕切り線で両手を下ろすときも有豆骨、有鈎骨付近です。ここを意識し、体重をかける事でカラダがスムーズに動けるのではないかと思うようになりました。

「足は親指、手は小指」を改めて考える機会をいただいた今昭宏先生、ありがとうございます。