最近は、鍼治療からお灸治療に移行する患者さんが、徐々に増えてきたため、モグサと皮膚の間に緩衝材として乗せる「紫雲膏」の消費量が増えてきました。この「紫雲膏」たったの20gで980円もするのです。そこで、手作りで安く!
と、作り方などを調べていったのですが、「安く作る事は、無理」という結論に至りました。その理由は、紫雲膏の紫色を作っている植物・ムラサキが絶滅危惧種であることが分かったからです。滋賀県東近江市株式会社「みんなの奥永源寺」の前川真司さんがこのムラサキを栽培し絶滅危惧種からの危機を救おうとしておられます。その一節を記載します。
【紫草(ムラサキ)とは】
ムラサキ目ムラサキ科ムラサキ属の多年草で、2007年に「東近江市の花」に選出。紫草は、万葉集に詠われるほど歴史が古く、その根を紫根(シコン)と言います。
紫根は、濃紫の染料のほか、抗炎症や皮膚再生作用が高いことから生薬としても珍重されてきました(成分名は「シコニン」)。
紫根の花(初夏から咲き出します)
栽培の歴史が長いにも関わらず栽培技術が未だ確立していないため、収穫率は僅か5%程度。また、冷涼な気候を好むため、温暖化による環境変化に伴い生育数が減少し、絶滅危惧1B類に指定されている貴重な植物です。
※絶滅危惧とは、環境省が公表しているレッドリストに掲載され、近い将来に絶滅危険度の高いものもしくは絶滅の意見が増大しているものを示しています。
【紫根(紫草の根)】
染織すると紫色になりますが、収穫した紫根は赤色に近いものとなっています。また、絹を染めると濃紫色になりますが、麻や木綿などは淡紫色になります。
【紫草を絶やさない】
絶滅危惧1B類ではあるものの全国で栽培されている紫草。前川さんは全国の生産者と積極的に情報交換を行い栽培技術を高めていきたいと考えています。
【みんなの奥永源】2017年、奥永源寺地域をはじめ地元住民から出資を募り、株式会社みんなの奥永源寺を設立しました。
2018年から、産官学創連携により、紫草を用いた化粧品を開発・販売し、業績は好調です。
とあり、いずれにしても手に入り辛い植物であることが分かります。そこで、紫雲膏作りは諦めました。その代わり、別物を入れて、モグサと皮膚の緩衝材にします。出来上がったら紹介いたします。