米寿を迎えた男性患者Aさんの続報です。
Aさんは、両膝の人工骨手術、腎臓摘出、心臓には3本のステントの手術と、西洋医学の恩恵を被(こおむ)って現在、88才。
10人の従業員を抱(かか)える鉄工所を経営しながら現役で働いておられます。
「先生、もうワシャ薬飲まん!薬飲んだら、肩が、いとうのうて(痛くなく)、ついつい無理して働くじゃろう。そしたらの、翌日いとうて、いとうてたまらん様になるんじゃけん。いっちょも(少しも)治っとらん。ワルなるだけじゃわい。」
「薬でだまされとるだけじゃ。ここ(当院)に来てからは、薬飲まんようにしとる。」
当院に入って来られるや否や、一気にまくし立てるAさん。大変お元気です。
よくよくお話を伺うと、Aさんは機械修理のエキスパートで、どんな機械でもバラバラの状態から組み立てる事が出来ます。そのため、鉄工所の難しい機械修理は、Aさんしか出来ません。今日も一日修理をしていたそうです。
一番痛いのが、右肩(三角筋という肩から上腕外側の真ん中くらいにある筋肉)。よっぽど肩が痛かったのでしょう。痛いところに大きな黒々とした「やいと」の跡が、かさぶたで残っています。
三角筋は前部繊維、中部繊維、後部繊維と3つの筋肉に分かれています。
前部繊維は、母指球の屈筋が、中部繊維は、胸の大胸筋が、後部繊維は、親指と人差し指の間にある母指内転筋が、それぞれ関係しています。肩甲骨や脇の下にある前鋸筋(ぜんきょきん)も関与しています。
また、Aさんは、機械修理で指の屈筋を酷使しているので、それぞれの指を丁寧に診なくてはなりません。
まず、右手の親指から小指まで一本一本ストレッチ。ゆっくり気持ちよく・・・
「おおおっ~、これはよう伸びるのう~~イタ気持ちがええわい❣️」
あとは、右母指球や母指内転筋に鍼。指の圧痛点にお灸。肩甲骨や脇の下にお灸をして終了。3日後の予約をして帰られました。
次回はどんな話をしてくださるのか、楽しみです。