神風

1980年に大学ギャラリーで木の輪切りを毎日置き換えて、全く違う空間を作っていました。私は木の輪切りを素材にして自由に空間を作り、見学する人達も自由に制作していくという当時では、珍しいことに挑戦していました。その過程をIさんにビデオで収録してもらい、私が編集しタイトルを「Building Blocks 」としました。これをブルックリンミュージアムアートスクールが評価してくれ、奨学金をいただき、ニューヨークで学ぶことになりました。

ニューヨークでは・・・・木がない!

これには、困ってしまいました・・・・・積み木を作ることができないまま、時間が過ぎていくばかりでした。

しかし、こういう時には、神風が吹くものです。突然、ハリケーンがニューヨークを襲い、街路樹がなぎ倒される被害に見舞われました。そこで、これらの倒木がどこへ行くのか調べたところ、何と私が通っている学校の近くにあるプロスペクトパークという公園に集められていました。

強烈な南部なまりのクラスメートは、トラックもチェーンソーも持っています。その彼をそそのかし、一緒に材料を調達。学校で保管してもらい何とか制作出来るようになったのです。ただし、チェーンソーを買うお金がないので、ボウソーという弓の様な形の手で押して切るノコギリを使ってコツコツと素材作りをする日々が続きました。

そんな合間に、ニューヨークのアパートで作品を作ったり、近所でおこなわれるアートフェスティバルに参加したりと、25才の多感な時期を満喫していたのでした。

こんなことを許してくれた両親に、心から感謝しています。