待合室の本紹介(その5)

今回ご紹介するのは、前回と同じく2004年スペイン・マジョルカ島のジョアン・ミロ美術館で子供達と共に制作、指導した作品です。ミロは、「日本の書」に影響を受け数多くの作品を残しました。子供達にもミロと同じ様な体験をしてもらおうと考えたのです。

制作の前日に、子供達に好きな人の名前を聞き、その当て字を作りました。それを楷書で書きますが、これでは、面白くありません。ミロが楷書のきちっとした書に心を打つことは、なかったと思います。書の持つ黒から白の繊細なグラデーション、空間の間、流れ、力強さ・・・・等々あらゆる要素が吹き込まれ作品として生まれています。

では、私がそれを表現できるか?・・・・出来る訳ありません。ただ、自由に楽しく描けばいいくらいは、伝えることができます。そのため、真っ白な画面は用意しませんでした。画用紙に泥を塗り倒したり、足で踏んづけたり、目をつぶって描いたり・・・・自由にやった後に、好きな人の①楷書②遊び字を数秒見せて、作品として完成してもらいました。