日本の住まいの成立 ー東アジアの森と民家造りー
筑波大学名誉教授、安藤邦廣先生によるリモート講義の第6回(最終回)が午後1時
から4時30分までありました。非常に興味深い講座なので、何を紹介しようか迷いますが、下記の一点に絞ります。
板倉構法への展開
その字の通り、板倉とは、板で作った倉。安藤邦廣先生は森林の保全と国産材(杉)の活用を目的として、板倉構法の普及活動をされています。その内容は、
①大工技能を生かし板を継承する
②資源が循環し、耐久性に優れたストックとなる
③木材の持つ優れた断熱性、調湿性、防火性を生かした屋内環境、梁ない家を作る
①は、杉を伝統的な技術を身に付けている大工により、曲がった材でも利用できるようにする
②は、戦後、政府の政策として行われた植林で、50~60年ものの杉が、余った状態(十分にストックされていると肯定的に考える)。これらの資源をうまく活用することで、100年の耐久性にする。
③は、厚さ24mmと30mmの太い杉板を合わせて、壁を作り800℃の火で30分燃やし続ける実験を行った結果、杉板に含まれる水分(15%)のおかげで、燃えることなく、また壁を隔てた空間では30℃までしか温度が上がらなかったため、国土交通省から防火性を認められました。この結果を踏まえて、2011年の東日本大震災の仮説住宅を板倉構法でおおよそ200戸建設。100人の大工で2ヶ月用しました。
杉の木の持つ柔らかで癒され、設置された縁側では、ご近所同士の会話が弾む素敵なコミュニティーが出来ました。仮設を終えたこれら材は、西日本での大水害でも岡山県総社市が、再利用し再び素敵なコミュニティーを作り出しました。
今後は、コンクリートで囲まれて家屋が、次々と杉材へと移行していくことを、期待しましょう。