半年前、病院で大腿骨遠位部が壊死(えし)していると言われた60才代の女性患者Aさん、1ヶ月通院し、ピタッと来られなくなりました。そして、1カ月前から再び通院されるようになりました。
1カ月前の治療日まで、どうやって歩くのか・・・歩き方を忘れていたそうですが治療後、
「あっっ、足の付け根(股関節)から歩くんじゃ!と、分かって感激したんです。」
とおっしゃっていました。病院では、大腿骨遠位部壊死と言われたのに、歩けます。一体どういうことなのでしょう?素直な疑問が生まれましたので、調べることにしました。
武蔵小杉整形外科の小谷野康彦(こやのやすひこ)先生の記載文がインターネットで見つかったので、下記に引用します。
『変形性膝関節症で治療中の方の中で、急に痛みが悪化して歩行困難となり、時には夜間就寝時にも耐えがたい痛みに襲われる場合があります。その時にMRIを撮影すると膝関節を構成する大腿骨遠位部または脛骨近位部に骨髄浮腫像を認めることがありますが、この所見を診て「骨壊死」(こつえし)と診断されてしてしまうケースが多いように感じます。骨が壊死しまったと聞いて愕然として大学病院などを受信される患者さんが後を絶ちませんが、実は、このような所見のほとんどは、まだ壊死を起こしていない治癒が期待できる軟骨下骨折なのです。』
上記のようにAさんは、「壊死を起こしていない治癒が期待できる軟骨下骨折」だったと理解します。壊死の原因は、血流が途絶え骨芽細胞や破骨細胞が機能しないからですが、血流が再び生まれると、本来の骨の機能が再開され、3年に1度の骨再生を始めます。骨は3年に1度生まれ変わっていることを、しっかり頭に入れて置いてください。人工骨にすると、生まれかわることはありません。
Aさんは、出来なかった正座が出来るようになりました。今回のAさんには、頭に置鍼することなく、全て足へのパイオネックス(円皮鍼)で膝痛、腰痛をとりました。
「先生、自然に歩けるし、下腹に力が入る!」
とニコニコ顔のAさん、
「パイオネックスを貼った後、2~3日後にもっと調子が良くなります。」
と言われたので、足首から下だけの治療に拍車がかかります。