皮膚に触れるだけの治療

 

私が鍼灸師になる前は、操体法を治療手技にしていました。特に皮膚に触れるだけの操法は、全身が緩み気持ち良いので、ずいぶん効果がありました。70才まで歌手として活動をしていた女性患者Aさん、右前腕に痛みがあるそうです。前回操体法での治療を少し加えたところ、非常に効果があったので、今回は全て皮膚に触れるだけの治療にしました。

下記のようにいつもの診断をして、頭に刺す鍼の代わりに、足に見つけた治療点に触れるだけの治療となりました。

合谷診:(人差し指と親指の間の触診)左→左上腕診と左膝診を行う

上腕診:頸椎、胸椎、脳幹

膝診:胸椎#9~12、脳幹

首診:右膀胱、右肝、右胆、右胃、右脾、左腎、左肝、左心包、左三焦、左小腸

上記診断点に圧痛がありましたが、6カ所に中指を2〜3分ずつ当てる治療で圧痛点が無くなり、頭に置鍼するのと同じ効果がありました。

「・・・息が深くなって、腹式呼吸になって・・・力が抜けていく感じ・・・」

「何か、血液が浄化されていく感じ・・・・ほら、濾過(ろか)して、少しずつ水がきれいになるでしょう・・・あんな感じ。」

歌手をしていたAさん、豊かな感受性ある言葉使いをしてくれます。時折、自分の意志とは関係なく無意識の不随運動が出ているAさんですが、とても気持ち良さそうです。カラダの歪みが元に戻る時に、カラダは気持ち良さを感じ、それがお薬となります。実際、脳内ホルモンが出てカラダの生命維持力を上げています。Aさんの右前腕の痛みも無くなってきました。Aさんには、次回の治療でも操体法を取り入れてやっていこうと思います。