感覚の鋭い患者さん

60才代の男性患者Aさん、非常に感覚が鋭く鍼を刺すたびに、痛みがどこに走るか教えてくれます。今回は右側の首痛と左肩痛が激しくて来院されました。特に右側へ首を回すと右首の根元に痛みが走るそうです。

合谷診:人差し指と親指の間の触診→左に圧痛→左膝

膝診:頸椎#1~7(3)、胸椎#7、8、9、12(1)、腰椎#6(0)、大脳(1)、小脳(0)

首診:右大腸(1)、右三焦(1)、左腎(0)、左膀胱(1)、左肝(1)、左胆(1)、左心包(0)、左大腸(0)、

左三焦(1)、左胃(1)、左脾(1)、左小腸(0)

(   )内は置鍼数

最近は上腕診の代わりに膝診のみにしています。理由は、詳細に痛みや硬結が分かるからです。そして、治療点(オデコ中央部)に爪を立て押圧すると、膝の診断点が反応するのが分かるからです。特にAさんのように感覚の鋭く素直な患者さんは診断点の緩みが面白いように分かります。

「痛い!・・・・あれ?首がよう回る・・・先生、この1本だけで、治った・・・そんな気がする。」

Aさんにはこの鍼が頸椎の治療点に刺しているとは、言っていないのにかかわらず、首が良くなったと教えてくれました。膝診では頸椎の1番から7番までの状態が分かるので、この1本で頸椎が完全によくなってはいない事が分かります。まだ、膝に痛みが残っているからです。そこで2本目の刺鍼。

「痛った!・・・・ここ(右側頭部)に走った・・・・ひどいな!あれ?ノドが楽になった・・・声がよう出る。」

なぜ右側頭部に痛みが走ったのか分かりませんが、ノドが楽になったのは、頸椎の治療点に刺鍼したためであろうと思います。次に胸椎の12番の診断点(左膝ウラ外側)の圧痛を左眉毛の内側上に置鍼して、左膝ウラの圧痛点が緩み柔らかくなったのを確認。この置鍼の影響で膝ウラ中央部の圧痛点がなくなりました。また、腰椎の診断点の圧痛もなくなりました。Aさんのように感覚の鋭い患者に接すると、改めてYNSA の創始者・山元敏勝先生の凄さを感じます。ピッタリと治療点と診断点が合致し、しかも他の診断点にも影響を与えるのが分かります。山元先生は、数多くの鋭い感覚の患者さんからの発見を独自に体系化されたのです。まさに天才です。

膝診の次は首診です。Aさんは右首に痛みがあるので、首の痛みを取る絶好のチャンスです。治療点は側頭部、頭頂部とあり、そこに置鍼します。胃の治療点(側頭部)に置鍼すると、

「ここは、胃の治療点です。」

「思い当たりがあります・・・暑いけん、冷たい水よう飲んどる・・・・目がよう見えるようになった。」

Aさんは、目に反応することが多いのです・・・というか、YNSAでは目が良くなったという患者さんがかなりおられます。この理由をもう少し考える必要があります。Aさんの訴えていた右首の圧痛部は、ちょうど大腸と三焦(消化器)の診断点にあたります。そこでそれぞれの治療点(頭頂部)に置鍼。

「先生、左より首が回るようになった・・・・ひどいな・・・先生、あとは左の肩だけじゃ。」

左の肩狙いでB点(オデコ中央部)に置鍼。

「先生、もう十分じゃ・・・・これで、ええもう痛ない。」

Aさん自ら、治療の終了宣言。本当に楽で楽しい患者さんです。