大粒の涙

 

スケードボードの練習をしていて、10日ほど前に左足内側を捻挫した男子小学校5年生A君、お父さんと来院されました。1週間前からは、右膝の内側も痛くなってしまいました。整形外科では骨には異常がなく、捻挫と打撲と診断されました。左足あぐらをかこうとすると痛みがあり、右膝は屈むと痛いそうです。

 

合谷診:左(左側を診断します)

膝診:頚椎#7〜2、胸椎#2、#12、腰椎#1〜6

首診:今回は診ない

置鍼2本のみ

氷水を左足首内側に当て、冷やします。

「どう?気持ちいい?」

「はい、気持ちいいです。」

「冷たいと感じるだけで、気持ち良さがなくなったら教えてね。」

5~6分で終了し、今度は右膝内側に氷水。これは4~5分で終了となりました・・・・さて、これからです。小学5年生で、鍼治療が初めて・・・・まず、泣くことは覚悟で一発勝負にかけるか・・・・・見つけた足の治療点にてい鍼の押圧とお灸で、泣くことを避けるか・・・・・。

左右共に、腰椎4番のデルマトーム(皮膚分節)に関係があるので、2本の置鍼で終了することを念頭に入れ、左右の耳とこめかみ付近にある治療点に2本置鍼。

「痛い!痛い!・・・・お父さん痛い・・・」

何と、非情な鍼灸師!しかし、ここで心を鬼にして、治さなければ・・・・・「ゴメン!」

A君は大粒の涙をポロポロ流して・・・・私の息子に似ているので余計に、感情移入してしまって・・・

「どう?」

「・・・・・痛くない。」

「もう一回しっかりやってみ?」とお父さん。

「痛ない!」

「右の膝は、どう?」

「・・・・痛くない!」

急に笑顔になるA君を見ると、息子がニコッと笑った気がして・・・・ついつい感情移入。この2本で本日の治療は終了ですが、お灸で治療する方法も紹介するため、2壮ほど熱くないお灸を体験してもらいました。改めてデルマトーム(皮膚分節)の威力を感じた治療でした。足首と膝の痛みから解放されたA君の背中をさすりながら、

「よう頑張ったな!またいつでもおいでよ!」

「はい!」

めでたしめでたし。ー