臓器に対応したツボの流れは、12あります。その12の流れと、背中(後正中線)とお腹(前正中線)を流れる督脈と任脈をあわせると14の流れになります。
これらのツボには、名前がついており、361あります。それらのツボのうち、要穴(ようけつ)と呼ばれる大事なツボのほとんどは、肘から下と膝から下にあります。また、これらの部位のツボは、全体のツボの約1/3をしめています。その中でも、手首足首には、重役級の大切なツボが、集中しています。
また、首から上の頭部には、全体の1/5のツボが密集しています。1/3+1/5=8/15 ツボの半分以上は、首から上と肘、膝から下にあります。
半袖、半パンの夏姿ならば、肌が見えているところに半分以上のツボがあることになります。これは大変便利なこと。その部分に適度な刺激を与えるだけで、体調が良くなるわけですから。
さて最近、筋膜という言葉をよく耳にします。これは、カラダ全体を覆っているコラーゲンを主成分とした繊維の集合体です。骨、筋肉、内臓、神経、血管などを覆い、表層から深層まで立体的に支えています。ヘチマタワシをイメージすると分かりやすいでしょう。
この筋膜には、12の浅層、深層の流れがあり、12のツボの流れとほぼ一致しています。数千年の歴史ある東洋医学が見出したツボの流れは、近年話題になっている筋膜のながれのことかも知れません。
患者さんに鍼を刺すと、刺したところからカラダの末端まで電気が走るような「ひびき」と呼ばれる現象が起こる時があります。この「ひびき」の後、カラダが緩みます。
「ひびき」の後のゆるみ現象はなぜ起こるのか?
ここからは、私の勝手な推測です。
これは、深層のからまった筋膜に鍼が触れ筋膜がゆるみ、引っ張りあっていた末端のからまりがゆるむのだと思います。なぜゆるむのか・・・どうも、カラダに含まれている水と関係があるように思うのです。
最近、肩コリの部位に、エコー(超音波装置)に映し出された筋膜のからみに、生理食塩水を注射する治療法が紹介されています。筋膜の主成分であるコラーゲンに水が加わると、ジェル状になるため筋膜がゆるむのです。
「ひびき」もこの生理食塩水に似た現象ではないか・・・筋膜のからみに鍼が入ることで、水の移動があるのではないかと推測します。
一方、15分程度ツボに鍼を刺したままにする治療は、軸索反射を利用しています。
軸索反射とは、ツボにある感覚神経同士に刺激が伝わり、神経性化学物質「サブスタンスP」と「CGRP」という2種類の化学物質を放出する現象。
「サブスタンスP」は、組織間の水分の移動を円滑にし、筋膜をゆるめます。また「CGRP」は、血管を拡張し血液循環を良くします。しかし、この刺激は脊髄や脳には伝わりません。
お灸における刺激も、この軸索反射を利用しています。
また、熱を感知したカラダは、「サブスタンスP」以外にも物理的に水を呼びます。摩擦熱が生じると、冷ますために、カラダは水を集めマメを作ることでも容易に想像できます。お灸の熱を感知し、集まってきた水が、からまった筋膜のコラーゲンと融合し柔らかくなり、コリが解消していく・・・
このように、筋膜とツボの流れ、水と血流は深い関係があるように思います。ここで、もう少しカラダの作りについて説明いたします。多くの人々は、骨格の位置は変わらず建物のように強固なものと思っているのでは、ないでしょうか?
実際には、骨の位置は簡単に動きます。カラダの60〜70%は水で出来ています。この水袋に骨が浮いていると考えた方が良いと思います。そして、その骨をコラーゲン立体的網タイツ様筋膜が支えているとイメージしましょう。このコラーゲン立体的網タイツ様筋膜が、からまると骨も歪みます。
歪んだ骨を元に戻すのは、筋膜をゆるめればいいことになります。
そう考えると、坐骨神経痛とか脊柱管狭窄症などという診断名の呪縛(じゅばく)から解放されるでしょう!