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以前にも書いたことがあるのですが、私は大学卒業論文(作文のようなものでした)で、触覚アートが大切になるという主旨のことを書いたのです。それで、触れると倒れる「積み木」という作品を発表しました。ところが、こんな作品は売れません。結局芸術では生活できませんでした。気がついてみると、鍼灸師になり触覚アートを追求するようになっていました。目が不自由な方で優れた鍼灸師の方は多くいらっしゃいます。
日本独特の鍼管(しんかん)を使用した鍼治療を考案したのは、杉山和一という目の不自由な鍼灸師です。鍼灸師で杉山和一を知らない人は、絶対いません。それほど、この業界では著名な伝説の鍼灸師なのです。
最近、鍼灸治療をしていて、これこそまさに触覚アートであると実感できるようになりました。上腕診という肘内側の横紋を触診する大切な診断方法があるのですが、これに全く反応しない患者さんがおられました。4ヶ月も反応ないので、何とかならないものか・・・と思い、膝を押圧するとその患者さんが初めて痛みを感じ、上腕診と同じ診断ができるようになったのです。それ以来、全ての患者さんに対して、上腕診のかわりに膝診(勝手に命名しました)をするようになりました。
この膝の触診を3年続けるうち、治療点に親指の爪を押圧すると、膝ウラの診断点が反応し触れた指先に伝わる事がやっと分かったのです。そのため、患者さんが感じる前に分かることがあります。
これこそ私が求めていた触覚アート。これから、もっと追求します。