石原医学大学全には、なるほど!ピーン!と頷(うなず)くところが、随所に散りばめられています。今からご紹介する一節は、もっともだ!と納得します。
『空腹がもたらす健康効果~生殖能力が高まる
中年以降の勃起力の低下は過食と関係している。消化吸収のために血液が胃腸に集まり、陰茎の海綿体への血流が減ってしまうからだ。精力増強剤は多々あれど、「空腹」こそが最も効果があり、安価な精力増強剤だ。数十頭のメスを侍(はべ)らせるオットセイのオスは、すべてのメスと交尾を繰り返すため、生殖期間中は絶食すると言う。
飢餓や空腹の状態に陥ると、人間は無意識下で自分自身の命の存続に不安を抱く。そうした不安に本能が突き動かされ「我が身が尽きるならせめて次世代へ命をつなごう」と生殖能力が増強するのだ。反対に、空腹とは無縁で、飽食が当たり前の状態が続いていると、その個体自身が満足しきってしまうため、「せめて子孫」をと言う本能がしぼんでしまう。
東南アジアやアフリカの一部など、栄養状態が決して良くない地域は子だくさんだが、日本では不妊に悩む夫婦が6組に1組と実に多い。飽食は体調不良やガンといった体への影響のみならず、種の存続の危機をももたらすのだ。』