静かなブーム

昨年6月、愛媛県立美術館で2020 TSUMIKI in Matsuyama というタイトルで積み木アートを行った時に知り合った30才代の男性患者Aさん、半年ぶりの来院です。

「佐伯さんの実家は、惣河内神社じゃなかったですか?」

「はい、そうですよ。」

「やっぱり・・・昨日、絵本みたいな薄い本を読んでいて、惣河内神社の天井絵について書いてあったんです・・・もしかして、と思ったんです。」

「あああ・・・近藤林内さんの・・・あのイラストは、僕が描いたんです・・・そして、この間、坊ちゃん劇場の横にあるシアターNESTで、近藤林内さんの演劇があったんです。よく出来たお話でした・・・」

「ええええそうだったんですか!」

「・・・・これでしょう?(近藤林内物語の冊子をお見せする」

「そうそう・・・ここで、この本に出会えるなんて・・・あの本、神さまを大切にしなさいと言っていたでしょう。これには、感じることがあったんです。」

で、その一説をご紹介します。

「これからの人生で、どんなにえらい人になろうとも、自分のはるか上には、いつも神様仏様がいらっしゃることを忘れてはいけない。神様仏様が守ってくださるおかげで、私達は毎日を平和に暮らしていける。神様仏様から見たら、人間なんてみんな同じじゃ。お金持ちも貧乏も関係ない。このことを忘れず、深く頭を下げて感謝しなさい。そして、人は死んだら、みんな神様仏様になり、私たち子孫を守ってくださるんじゃ。」

と言って、寺や神社を大切にしました。寄付を頼まれて断った事は一度もなかったそうです。寄付を集めていると言う話が耳に入れば、どこであってもかけつけて寄付をしました。そして、

「どうか自分の名前を出さないでください。」

とお願いしていました。寄付を受け取った寺や神社はさすがに大金で名前を出さないわけにもいかないので、「河之内 近藤氏」とだけ石に刻みました。

どうやら、しずかな近藤林内ブームが愛媛の片田舎で起こったいるようです。

ソマトトープと指ヨガ

山元式新頭鍼療法(YNSA)の基本概念の1つとしてソマトトープがあります。ソマトトープというのは、人が体調を崩した時、治療点が「小さな人型の投影」として、体表に表れる事をいいます。その多くは、頭皮に現れています。元々、受精卵の外胚葉がくぼみ、神経を形成し、それが集合したのが脳。つまり、外胚葉の延長である体表(頭皮を含みます)と脳は、切っても切れない仲。ですから、頭皮は脳の裏返しと考えられます。

受精卵から胎児へと移行する段階で、最終目標の人型にイメージ「人型になりたいという宇宙の意志」のようなものが、働くのだと思います。そこで、どこを切っても同じ顔が出る金太郎アメのように、人型が様々な個所に現れるのだろうと思います。

体調が悪くなくても、ソマトトープ(小さな人型の投影)が分かる個所があります。それが手です。

韓国の柳泰佑(ユウ・テウ)博士は、高麗手指鍼(高麗手指鍼療法)を考案されたのですが、それは、両手の手掌・手背・手指に、全身全ての器官(臓器)と人体を流注する十四経絡(十四気脈と呼ぶ)に345の経穴(気穴と呼ぶ)が縮図化して存在することの発見でした。つまり、手全体を立体的なソマトトープとみなしたのです。

この考えを元に、ヨガの達人・龍村修先生が「龍村式指ヨガ健康法」(日貿出版社)を出版されています。手は、体の投影で「全体即部分・部分即全体」なのです。この立体的ソマトトープは、山元式新頭鍼灸療法(YNSA)を追求する上で、ヒントを与えてくれているように思います。漠然としていて、まだ言葉にはなりませんが・・・・

茅葺きの民俗学

筑波大学名誉教授・安藤邦廣先生によるリモート勉強会 「日本の住まいの成立」がありました。今回は5回目で、茅葺きの民俗学でした。安藤先生が一番最初に出版した本のタイトルが、「茅葺きの民俗学」。今なお再出版され書店で購入出来るそうです。茅葺き民家は遺物ではないので考古学としての考察は出来ません。安藤先生の「歩く・見る・聞く」の仕事ぶりを見た出版社の側から、茅葺き民家を日本の伝承、習慣としてとらえ、「茅葺きの民俗学」というタイトルで出版するように提案されたそうです。

ここで、茅(かや)の定義。茅(かや)とは、屋根となる素材の総称で、ススキ、ヨシ、チガヤ、クマザサ、稲ワラ、麦ワラなどをいいます。この茅があるところが茅場という草原です。戦前にはこの草原が日本国土の30%を占めていましたが、戦後の国策として杉の植林を草原にしたので、一気に茅場がなくなりました。明治から戦前には多くの家は、茅葺きだったため、茅場の需要はあり、古くなった茅は肥料として使われ完全なエコシステムが成立していました。ところが、経済成長優先の路線の元、茅葺き民家はすたれ茅場という草原の生態系が崩れていき、現在では、国土の1%しか草原は残っていないそうです。

コロナ禍の後の世界、茅葺き民家を見直し、エコシステムの再建を考えてみたいと思ったのです。

近藤林内物語

今から203年前、私が生まれ育った河之内(かわのうち)というところで、近藤林内という偉人が生まれました。以前に「近藤林内物語 身だからはイモに大根にムギの飯」という冊子を紹介したことがあります。26ページに27のイラストを私が描いたといいましたが、この冊子が原作でコバヤシライタ氏が台本を作り、斉藤かおる氏が演出のお芝居(90分)がシアターNESTでありました。

明日も公演があるので、ネタばらしはしませんが、非常によく出来た芝居です。90分があっという間に過ぎました。劇中「惣河内神社に行って遊ぼう!」「ムササビがいるかも・・」と言うセリフがありましたが、河之内の子供達は、全員がこのお宮で遊びました。本当ににぎやかな広場で、子供達は「おみや」あるいは「ひろば」と言っていました。夕方にはムササビが大杉を飛び渡り「鎮守の杜」そのものでした。

また、劇中「惣河内神社の天井画」がよく出ましたが、雨の日は天井画のある社(やしろ)で相撲(すもう)をしたものです。

この公演の主催は、東温市居住定住促進協議会。

2017年に東温市民劇団が旗揚げされた「東温市民劇団」が、文化庁の文化芸術創造拠点形成事業の支援を受け、行ったもののようです。東温市にはシアターNESTの横に「坊ちゃん劇場」があり、文化芸術の拠点となっています。

我が故郷にイラストを描くだけでしたが、少し貢献できたことを嬉しく思います。

現在進行形

昨年暮れ、飛び込みで当院にこられた70才代の男性患者Aさん。現在は、週2回のペースで来院されています。Aさんは息苦しさのため、死をも覚悟したそうです。たまたま、近所にあった当院を選んだだけで、当院に対しての予備知識は、全くありませんでした。

 

「先生、もし頭に鍼刺す治療法じゃと知ってたら、絶対来なんだですワ!・・・・この間も、腰痛の知り合いに勧(すす)めてみたけど、頭に鍼刺すというだけで、相手にしてくれませんでした。」

一般的に鍼のイメージは、患部に刺して痛みを和(やわ)らげる治療だと思います。そんな治療をしていたのは、母校・東京医療専門学校附属施術所で研修をしていた2年間だけです。しかし、ここでの2年間は、治療家としての基礎を学ぶことが出来たので非常に有意義でした。また、母校では卒業生を対象とした卒後研修があり、それに参加後、お世話になった先生に挨拶(あいさつ)に行ったのが、

運命的な出会いとなりました。

「今、山元式新頭鍼療法(YNSA)が凄いよ!」

N先生のこの一言で、私の人生が変わりました。インターネットで調べてみると、山元敏勝先生はご高齢にもかかわらず、現役医師として治療をされています。「創始者に会わないと、後悔する」という気持ちが行動の原動力となり、宮崎セミナーに参加したのです。あれからもう2年経ちます。今では、鍼治療は、山元式新頭鍼灸療法(YNSA)のみ。現在進行形で頭から足のみの治療法に移行しています。まだ、数ヶ月かかると思いますが、実現は可能だと思います。

そうなると、「頭に刺す?!」という壁がなくなり患者さんも来やすくなるかも知れません。

ご奉公

私が最も好きなテレビ番組は、「プレバト」。
言葉の才能がない私にとって、少ない言葉で人生の断面を描写できる技に憧れます。今日も、「プレバト」を見て、選者・夏井いつき先生の指導に納得感動。

当院の待合室にある「民家ロマンチック街道ー伊予路」犬伏武彦著の180pに私が生まれ育った茅葺き民家が「一畳庵 佐伯惟揚家」と紹介されています。佐伯惟揚とは私の祖父で俳人でした。祖父の師匠である松根東洋城先生が、我が家に1年半ほど滞在し、祖父を始めとした地域の人々に俳句を教授されました。東洋城先生が寝泊まりしたのが座敷の横にある一畳ほどの空間。そこを一畳庵と命名されたようです。その様子を描いた一説を記載します。

「俳句は社交にあらず、慰安の具に非ず、遊楽喜遊の法でもない。東洋文化の持つ精神の流露発揚、人としての完成のための内部工作すなわち修行の道である」と説いてある。

(中略)

後進や弟子の指導はきびしく、「これがわからんのか」と何度も何度もこぶしを机に打ちつけていたという。句会いうよりも、道場と言うような観であったと言う。

(中略)

この民家の保存と維持のことであるが、当家は社家でもあり、また敷地も広い。建物は現存居住されていないが、当主がよく管理され、保存も行き届いている。祭りの日や地域の人の集まりにも使われ、以前には句会にも使用されていた。民家を生かす適切な使われ方である。しかし、それも社家ということ、家に対する当家の誇りや氏子の方々の理解によるものである。このように民家の維持保存は、その土地の人、所有者の個人的な力によってなされているのが現状である。

とあります。私の夢は、私が生まれ育ったこの茅葺き民家で、治療をすることであります。それがご先祖さまに対してのご奉公だと思っています。

連動体験

 

今回も、しつこく「重心安定の法則・足は親指、手は小指」のうち、「手は小指」の具体的な有豆骨、有鈎骨という骨を改めて紹介しました。同じ様な動作でも、自然で可動域が広がる連動と、全く動く事ができない連動があるという事を、身をもって感じてもらうためのYouTubeを制作しました。そのポイントが、有豆骨、有鈎骨です。

仰向けの状態になり、両膝を立てて、右腕を天井に向け親指側を天井の方向に伸ばすと、一体どの様な動きになるのでしょう?

また、同じ状態で有豆骨、有鈎骨を意識して右腕を天井の方向に伸ばすと、カラダの動きはどうなるのでしょう?

興味ある方は、是非YouTubeをご覧ください。

明教

 

「明教」という愛媛県立松山中学校・松山東高等学校の同窓会誌が当院の待合室にあります。その50号に、私が書いた文章があるので、記載します。

天才との出会いから

昭和48年卒 佐伯 弘

25歳の頃、ブルックリン・ミュージアムアートスクールの奨学金をいただき、ニューヨークに行く事となりました。そして、大学の先輩、久保田成子さんと会う事になり、芸術家が数多く住むソーホー・マーサー通りのロフト(倉庫を仕事場に改築した空間)4階へ向かうことになったのです。

今にも床が落ちそうな物運び用のエレベーター(鎖を下げるとガッタン、ガッタンと上がっていきます)にこわごわ乗りこみますが、生きた心地がしません。やっと4階に到着。ドアが開くと、ごちゃごちゃと作品らしきものが転がっています。

「あれっ・・・・どこかで見たことがある作品・・・あれっ、ナムジュン・パイクさんがいる!」

ナムジュン・パイクさんと言えばビデオアートの創始者で、既存のアートをぶち壊し日常にアートを落とし込もうとするグループ・フルクサスの中心メンバー。当時、最も注目されていた天才芸術家。芸術を学んだものなら、誰もが知っている憧れの人です。実は、その方が、久保田成子さんの旦那様だったのです。

それからパイクさんのアシスタントをするようになり、様々なことを学び、感じることがありました。天才は周辺を巻き込み破壊と創造を繰り返し、より優れたものを作り続ける台風のようなパワーと優しさを持った神の化身であると感じたのです。そして、鍼灸師となった現在、再び台風のようなパワーと優しさを備えられた神様に最も近い方にお会いできる機会を得ました。山元式新頭鍼療法の創始者、山元敏勝先生です。

単純明快で普遍的しかも、脳神経疾患、視覚聴覚等の感覚疾患、整形外科疾患などあらゆる疾患に効くツボを頭皮に見つけられたのは、何千年と続く鍼灸の歴史上、山元先生ただ1人。89歳で、ますます進化し続ける現役医師、まさに天才です。山元先生は、のべ150万人の患者の声を丹念に拾い上げていく臨床体験の中から「ソマトトープ」と言うものを見つけ出しました。これを私は「小さな人型の投影」と呼んでいます。「小さな人型の投影」が頭皮だけでなく体の表皮に存在して、その治療点となっているのです。

具体的な例をあげれば、胸骨は頭、首、胸部、腹部となり、第一肋骨は上肢に、第6、7、8肋骨は下肢の「小さな人型の投影」となり、治療点を示しています。例えば首痛の場合、胸骨の首に対応する箇所に置鍼します。すると一瞬にして首痛が消失します。この普遍的な事実が、海外の医師に認められドイツ、アメリカ、ブラジル等海外で数十万人の医師がYNSA治療を行っています。

アートを日常に落とし込んだ天才芸術家ナムジュン・パイクさんと患者さんの声を拾い上げソマトトープを見つけ出した天才医師・山元敏勝先生に遭遇した幸運。それを、次世代にどう伝えるか・・・・お楽しみに!

(一部文章を書き代えています)

空腹健康法

私の母親は、88才になりますが、病気で寝込んだ事はありません。趣味は、「ナンプレ」で頭の体操をしています。健康の秘訣は、少食にあると思います。1日3食するのですが、驚くほど食べません。ゆっくり食べて「はい、ごちそうさま」で終了。

当院の本棚に「空腹健康法」ー空腹を楽しんだら元気になったー監修医学博士 真弓定夫

この本には、サーチュイン遺伝子について書いていますので、記載します。サーチュイン遺伝子は1999年にアメリカのマサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ博士によって確認され、全世界の医療関係者から注目されました。

サーチュイン遺伝子は長寿の人だけが持っているわけではありません。すべての人がサーチュイン遺伝子を持っているのです。だから、サーチュイン遺伝子を活性させると、誰でも健康なまま長生きできるのです。100歳でも元気で若いそれも夢ではないのです。

体の中には心臓、肺、胃、腸、肝臓、腎臓、膵臓など様々な臓器があります。それぞれの臓器は、生活習慣により、老化のスピードが違います。例えば、暴飲暴食をしていれば、胃腸の老化が早くなります。膵臓の細胞が劣化すると糖尿病を引き起こします。肝臓の細胞が劣化すると肝硬変を引き起こします。心臓の血管が劣化すると心筋梗塞を引き起こします。

ところが、サーチュイン遺伝子のスイッチがオンになると、すべての臓器の老化、劣化のスピードが遅くなるのです。サーチン遺伝子は、いろいろな病気の発症を抑えてくれるのです。その結果、脳、血管、肌などの様々な器官の、若さと健康が保たれ寿命が伸びるのです。私たちもカロリー制限をして、腹7分と空腹感でサーチュイン遺伝子のスイッチをオンにすれば、見た目年齢も身体年齢も、人が驚くほどの若さを得ることができるのです。

とあります。この小誌をある患者さんにお渡しして、勉強してもらった結果、体重が5kg減り徐々に調子が良くなっています。空腹健康法は、素晴らしい健康法だと思います。是非お試しください。

山元先生

山元式新頭鍼療法(YNSA)という、優れた治療法にめぐり逢い、この道を貫き通したいと思いました。宮崎での山元敏勝先生との出会いが私の人生を決めたのだと思います。言葉では説明できない・・・・何なのか・・・・

4回しか山元先生にお会いしていないのに・・・・先生の人間力に圧倒されました。少しでも先生に近づいていきたいと思っています。謙虚さを忘れずに・・・・