米寿を迎えた男性患者Aさんの続報(その2)
「先生、腕と肩はもう治った。じゃがの、左耳に水がたまって、よう聞こえんのよ。」
前回まで痛がっていた腕と肩はもう気にならないそうです。
ということで 、腹診をして、足に鍼を刺しお腹を柔らかくした後、山元式新頭鍼療法(YNSA)の耳に対応する部位に鍼を3本刺し置きします。
「先生、肩が治ったら思い出したんじゃけど、ココ(右股関節)が痛いんじゃ。」
確かに右太ももの裏側に板状の大きなスジがあります。右足首も冷(ひ)んやりしています。
そこで、右膝うらに手を当て、Aさんの皮膚を軽く刺激します。
この皮膚にアップローチする手技は、京都の丸住和夫先生が、仙台の温古堂で橋本敬三先生から操体法を学んでおられる時に、編出(あみだ)されました。
私は、東京で橋本敬三先生の弟子である三浦寛先生の門下に入り10年、身体運動の法則(基礎的なカラダの動かし方)と、皮膚の手技をはじめ様々な手技を学びました。この皮膚にアプローチする手技は、まだまだ発展途上です。山元式新頭鍼療法(YNSA)も頭皮へのアプローチで新たなツボが次々と見つかっています。
1個の受精卵が分割し内胚葉、中胚葉、外胚葉となり、そこから徐々に胎児となりますが、外胚葉の一部が窪(くぼ)み神経系、感覚器となりそれらの中心となる脳ができます。
そのため、皮膚と脳とは密接な関係があります・・・と、これくらいは何とか言えるのですが・・・なぜ?軽く皮膚に触れるだけで、患者さんのカラダが良くなるのか分かりません。
Aさんの右膝うらが、すっかり柔らかくなりました。今度は、冷えた足底を両手でつつむように触れることにしました。Aさんは爆睡中です。足底が温まったころに、起きてもらいました。
「・・・うんん・・・ちょっと、寝たようじゃのう・・・」
「ここ(右股関節)どうですか?」
「おおおう~~、軽い軽い、楽じゃ❣️」
娘さん運転する車で元気良く帰られるAさんでした。
追伸:左耳の状態を聞き忘れました。次回伺うことにします。