山元リハビリテーションクリニックの治療レポート続編
脳梗塞で、右半身が1年半の間、動かなくなった60才代くらいの男性患者Bさん。
動脈バイパス手術後、半年のリハビリで歩行可能となりました。
Bさんは奥様と同伴で来られ、奥様も治療を受けられます。
山元先生の前に座ったBさん、両手が吸い込まれるように先生の親指へ。
先生は、Bさんの親指と人差し指の間のツボ(合谷=ごうこく)を軽く押さえ左右差や合谷内の頚椎、胸椎、腰椎などを感じとる作業をされている・・・・と推測します。
「こっちと・・・こっちは?・・・・この痛みは?」
「今、来ました。」
Bさんは、左脳の障害にもかかわらず、普通に会話をされています。
先生は、Bさんのおでこの圧痛点に次々鍼を刺していかれます。
「字は書けないの?」
先生が同席の奥様に聞かれるや否や、
「書けません。」
「・・・・・字を書いてみ!」
鉛筆を持ったBさん、少しぎこちない持ち方ですが、名前を小学校5年生程度の字で、ゆっくりと書き上げました。
「書けたね~~」
再び、おでこ に親指を当てて、
「これと・・・これと・・・これは?・・・・これですか?」
「あっ痛ったたた‼️」
「痛いね~~ハッハハッハハッハハッハ~~」
先生はクシャクシャな顔でものすごく嬉しそうです。
「字を書いてみ~~?」
Bさん、1回目に書いた名前の下に同じ様に書いていきました。筆圧が強くなっています。
「あんま~、変わらんか?!」
「字が、元々下手くそなんで!」
と、しっかりした口調のBさん。
「先生、右手がなかなか動かんです。」
「全体?」
「全体ですね。」
先生はBさんの合谷を触って、
「ここですか?」
「はい!」
Bさんのおでこに鍼を1本。
「手は、どう?」
「あれ、動きだした!」
「あんた、パピプペポは言える?・・・・ラリルレロは?・・・はい、今度は、頭下げて~~」
「あ痛っった!」
Bさんの頭頂部に鍼を刺した先生は、ニコニコ顔。
「今度は?」
「あれっ、全然(手の)動きが違う❣️」
頭に刺した鍼は9本。Bさんは、退出しロビーで30分安静にして治療終了となります。
順番を待っておられた奥様の隣にいた私は、
「すみません、旦那様は、字が書けなかったのですか?」
と不躾にも質問をしました。
「元々、鉛筆が持てないんです。」
ということは、鉛筆を持っているだけで、奇跡だった‼️‼️