縦横無尽の鍼

前回、リラックスすると咳が出てノドが痛くなる30才代の男性Bさんの治療についてレポートしました。山元先生のBさんに対する治療を目の当たりにして、感じることがあったので追加レポートいたします。

Bさんのもう一つの症状は、腰痛。

この腰痛に対して山元先生は右耳のウラにたった3本の置鍼のみで治療されました。そして、Bさんの耳ウラの置鍼写真を拡大して、驚きました。刺した鍼の方向がバラバラ、縦横無尽。

鍼灸師は、「美しく刺すという」概念を無意識のうちに植えつけられています。山元先生 の鍼を見せて戴き、アカデミックな色眼鏡に染められている自分自身に気がつきました。

その気づき後、治療室の等身大の人体骨模型=写真(トンスケと呼んでいます)の、耳のウラと腰椎の構造を比較してみました。

よく似ているのです。しかもこの2カ所は、複雑に関節が力を及ぼし合っています。

こんなに複雑な個所には、縦横無尽の鍼が理にかなっています。

山元先生の鍼は、骨格の構造を知り尽くした上での、極めて感覚的な重くて途轍(とてつ)もなく鋭いものなのです。