「ケンビキだけが、痛いんじゃ・・・ここよ。」
運送業を営む50才代の男性患者Cさん、入室するや否や、訴えて来られます。
松山市に戻り、開業したのは3年前。それまで、色々なところで生活していたので、記憶が定かでない方言があります。
ケンビキがそれです。これは、口内炎、肩コリ、歯痛等を指すようです。Cさんの場合、肩甲骨の内側を押さえながら喋っているので、肩コリと推測できます。ただ、鍼灸師ならば「腱引き」という民間療法を思ってしまいます。私も一時期、腱引き治療をしていた時もありました。これは、達人ともなると、凄い技です。
いずれにしろ、Cさんの肩コリ。何とかしなくてはなりません。
「また、ガニ股で歩いたり、運転も、ガニ股になっとるんじゃろ?」
「ほうよ、ほうよ、気にはしとるんじゃけど、気がついたらクラッチも小指側でな、こやって、こやって踏んどらい。」
「そんなことしよったら、ここで治しても、ついじゃろ(同じでしょう)。」
「分かっとるんじゃけどな~、ついつい楽じゃけん。」
「それが、いかんのよ。」
大した指導にはなっていませんが、一応注意だけはしておきます。
今回は、ケンビキという肩甲骨内側を指定し治療を願っているので、
「ケンビキだけじゃな~、そしたらな、痛いほうを上にして、横になってくれます?」
肩甲骨と骨盤の腸骨は、よく似ています。骨盤は、仙骨+尾骨と寛骨からなります。寛骨は、腸骨と坐骨と恥骨からなります。と文字で表すと混乱しますので、イラストで確かめてください。
よく似ている肩甲骨と腸骨は圧痛点も同様に現れます。Cさんは肩甲骨の内側の1点が痛くてしかたがありません。そこで、腸骨稜から内側の圧痛点を探します。
「痛った‼️そこじゃ。」
しっかり2寸の鍼で3本ほぼ同じ個所に刺しました。
「どうですか?」
「ありゃ、痛ないわい。」
本日は、短時間の治療で終了しました。