7年前に、大腿骨を骨折しボルトが3本入っている70才代女性患者Aさん、杖をついて、タクシーを降りてこられました。鍼治療は初めてのため、緊張した面持ちで来院されました。この2~3年、臀部から足首にかけてしびれ、夕方には熱っぽくなる時があり、両足先の感覚がありません。
2~3か月前から、2週間に1度の割合でブロック注射をしていますが、2~3日で元に戻るそうです。
「鍼は怖いけん、ようこなんだんよ(来ることが出来なかった)。医者には、しびれは治らんと言われて・・・」
「・・・・治らんと言われたんですか?・・・ふ~ん・・やってみましょう。」
合谷診(人差し指と親指の間の触診)では、左手に反応があります。A点(オデコの生え際中心部)とD点(左耳の前)Iソマトトープの腰椎(左耳のウラ)に置鍼。
Aさんは、足先に感覚がないので、後頭部にあるKソマトトープ(小さな人型)の足ウラあたりに4本置鍼。どうやらこれが効いたようです。
「足先に感覚が出て来た・・・鍼は、全然怖ない・・・ブロック注射にくらべたら、何ともない。」
「そうじゃろ!・・・大したことなかろ?」
「気持ちええぐらいじゃ。」
「今度は、手を出して下さい・・・・ここ(指付け根の関節)痛い?」
「痛い❗️ものすごく痛い。」
「ここと、足先とは、つながっとるんよ・・・一番細い鍼で刺しますね~」
圧痛点を丁寧に見つけ、鍼を刺していくと、
「先生、来よる❗️足先から上向いて、響いて来よる・・・上がって来よらい❗️」
と、Aさんは子供のような目をして、私に教えてくれました。今度は、手の甲の関節に鍼を刺していきます。ついでに、1寸の5番鍼(直径0.25mmの太め)で、指をツンツン。
「先生、手が熱い・・・・・痒なってきた‼️」
「Aさん・・・これで、足先とかどうですか?」
「感覚がある・・・・しびれは、少し残っとるけど、ようなった・・・手(に対しての鍼)が、よう効いた‼️」
しばらくは、週に2回のペースで来院することをお勧めして、タクシーを呼ぶことにしました。