60才代の男性患者Aさんは、左肩と左肩甲骨周辺、そして二の腕(上腕三頭筋)が痛くて仕方がありません。仕事を終えて車を1時間30分走らせて、奥様と共に来院されました。10日ほど前のことです。そして、今回で4回目の治療となります。
「どうですか・・・肩・・」
「だいぶ良くなったんですけど、肩甲骨の内側にピンポイントで痛みがあるのと、二の腕(上腕三頭筋)にシビレがあります。」
「・・・・うん~そうですか・・・ちょっと、これを見ていただけますか?」
と取り出したのは、経絡人形(写真参照)です。
「この黄色のラインがあるでしょう?これが丁度、肩甲骨辺りを走っているんです。これは小腸経という流れなんです。」
「あっっ、ここ、シビレているのは、この黄色のラインです、ピッタリ!」
「そうしたら、ここ(第7頸椎と第1胸椎の間で、左よりの圧痛点)痛くないですか?」
「痛っった!」
「今日は、ここにも鍼を刺してみますね。」
先日の山元敏勝先生のブラジル人女性患者の治療ビデオに、すっかり影響を受けていたため、瞬間的にこんな言葉が出たように思います。前回から、Aさんの置鍼は後頭部にしています。後頭部は、四つんばいになった時、日が当たる側。陰陽では、陽にあたります。陽は慢性的な疾患に効くので、最近は後頭部への置鍼が多くなっています。
合谷診(人差し指と親指の間の触診)では、明らかに左手に痛みがあります。そのため、治療は左側から行います。
首診で左右の前面で鎖骨付近の圧痛点を押圧。
「どちらが、痛いですか?」
「左が痛い!」
「そしたら、今度は・・・ここ、どうですか?」
「痛っっっった」
「ふ~~ん、やっぱり・・・ここ小腸の治療点なんです。」
と、左後頭部の小腸点を確認しました。
さて、これから治療開始。
進化系合谷診(人差し指につながる中手骨を6等分し腰椎、胸椎、頸椎、大脳、脳幹、小脳の診断)
左:頸椎(2)、胸椎(1)、腰椎(1)
右:なし
( )内は圧痛点が無くなり治療できた置鍼の数。これで基礎治療が終わり、自律神経が整いました。次に首診ですが、左側に圧痛点が多いので、左側のみとします。
首診
左:腎(0)、膀胱(0)、胆(0)、三焦=消化器(0)、胃(0)、小腸(1)
(0)は、小腸点に置鍼したため、その影響で圧痛点がなくなったことを示しています。
やはり、小腸経の流れを押さえたのが効いたようです。次に、頭頂部にある小腸点と第7頸痛と第1胸椎の間の圧痛点に置鍼して終了。
「肩甲骨の痛みどうですか?」
「全くありません・・・シビレもありません。」
後は、マスクをした状態のお二人と、防御服(あまがっぱ)とフェイスシールドの完全防備状態で、静かな楽しい会話をしてすごしました。