みかん専業農家の30才代男性患者Cさん。1週間前に腰を痛めて来院されました。非常に顔ツヤのいい健康的な好青年、ただ働きすぎて腰が痛いだけ・・・っていう雰囲気です。多分、素直な反応をしてくれるだろうと、予測してしまいます。
早速、合谷診(人差し指と親指の間の触診)を始めます。左手の方に痛みがあったので、左側から治療を始めます。次に、進化系合谷診(人差し指につながる中手骨を6等分し腰椎、胸椎、頸椎、大脳、脳幹、小脳の診断)を行い、腰椎(左耳の前側)、小脳(オデコ中央部の生え際よりやや上)の治療点に置鍼を行いました。
左:腰椎(1)、小脳(1)
右:小脳(1)
( )内は圧痛点が無くなり治療できた置鍼の数。これで基礎治療が終わり、自律神経が整いました。次に首診ですが、下記のような結果になりました。
首診
左:腎(1)、胆(1)、心(1)、大腸(1)、胃(1)、小腸(0)
右:なし
(0)は、小腸以外の治療点に置鍼した影響で圧痛点がなくったことを示しています。
「はい、これで腰はどうですか?」
「・・・かなり、良くなっています・・・後ろに反(そ)らしやすくなりました。」
「それでは、これから腰をねらいますね。」
耳の前にD点という腰に効くポイントがあります。これを「ウソ〜、何で?」と思われる方が多いと思います。そこで、私なりの説明をします。
カラダは水袋で骨は浮いています。この骨を支えているのは結合組織と呼ばれる筋膜です。筋膜はコラーゲンの立体的なヘチマタワシ。このヘチマタワシがあちこちで綱引きをしながら、カラダのバランスを保っています。腰が痛いということは、腰周りの筋膜がねじれています。このねじれに対して耳あたりの筋膜がねじれてバランスを取っていると思います。
骨の構造をみればそれがよく分かります。
腰は、腰椎と仙骨と寛骨(仙骨以外の骨盤)で構成されています。それに対応するのは耳辺りです。ここは頸椎と頭蓋骨と下顎骨で構成されています。この2つが綱引きをしているのです。耳辺りがゆるむと、腰は引っ張る必要がなくなるので、ゆるむと考えます。
Cさん随分腰痛がなくなり、それ以外の腰に関する点に4本置鍼し、すっかり良くなりました。この治療で終了となるような気がしたので、次回の予約は取りませんでした。