生体の歪みを正す

生体の歪みを正す

鍼より操体法の方があっているという70才代の男性患者Cさんの続報です。Cさんは、20年ほど前に1mの段差のところで転んで以来、両膝痛に悩み、9ヶ月前から毎週来院されています。現在は、農業に従事され、ミカン収穫の繁忙期を迎えていますが、体調は良いとのことです。

膝に多少の痛みとフクラハギに張りを感じる程度です。そこで、今回は治療をしないで、操体法によるセルフケアの方法をご指導しました。様々な方法があるので、基本的な原理を丁寧にお伝えすることが大切になってきます。

その原理を操体法の創始者・橋本敬三医師は、次の様に説明されています。

『ある関節を起点とした運動について考える場合、その運動を分析して観察する必要がある。まず前後の屈伸と左右の屈伸の2種類と、左右の回旋を加えた3種類となる。これは自動で行うことができるがこれに他動または固定した対象によってなされる遠心性牽引運動と求心性圧迫運動とがあり、関節の合目的運動は以上4種類の組み合わされた方向角度の強弱遅速の運動として営まれるものである。この力学的関節運動が正常に営まれるためには、関節を形成している硬軟両組織が形態学的にも正常でなければならない。』

非常に難しい文章ですが、関節には4種類の動きがあり、正常ならスムーズな動きになる位に理解しましょう。次に逆モーション療法の説明があります。

『もし何か故障があれば円滑な運動は必ず制限されて、無理に行わんとすれば異常感覚、すなわち軽ければ窮屈な感じ、強ければ疼痛を覚える。(中略)あらゆる角度方向に動かして分析してみると、前述した4種類の運動のどれか、またはその合力の方向角度に制限と異常感覚が出ているものである。そして、ちょうど対照的な逆の方向角度には何らの異常もなく、かえって少しく抵抗を与えながら動かせれば、すこぶる快感を覚えるものである。すなわちこの逆モーションは整復運動になっているわけなのである。』

まさにこの動きこそ、操体法の基本なのです。痛いあるいはやりづらい方向の動きから、抵抗を与えながら、反対の動きのベクトルを作り気持ち良さを味あうと、歪みが正されるということなのです。

今回は、Cさんには、このことをしっかりお伝えしました。これさえ理解出来れば、研究熱心なCさんならば、どんどん新しいご自身にあった方法を見つけることが出来ると思います。

あじさいの杜鍼灸院について