2005年に Hiromu Saika Miyamacho Kyoto 程度の宛名で、Artist in residence (滞在して芸術作品を創る人)の募集が舞い降りてきました。この宛名でたどり着いたのだから、受かるかもしれないと思い、過去の作品を送って見たところ、受かってしまい2006年、アメリカのケンタッキー州にあるバーンハイム美術館で作品を作ることになりました。
I W ハーパーというバーボンウイスキーをご存知でしょうか?このウイスキーは、I W バーンハイムさんと、ハーパーさんが作ったものです。バーンハイムさんは、ドイツからの移民で小銭しか持っておらず、裸一貫で叩き上げた苦労人です。その苦労の甲斐あって大きな会社となりました。
ところが、ウイスキーを作るために、沢山の木を切り倒したせいで山が荒れて、生態系が狂ってしまいました。良心の呵責(かしゃく)に苛(さいな)まれたバーンハイムさんは、一念発起し、徹底した環境整備を行い、ネイティブ・アメリカンが住んでバファローが群をなしていた当時の生態系に戻そうと考え、実行しました(今なお、その意志を受け継いで多くの人々が参加しています)。そして、子供達への環境教育、環境アートに力を入れました。
私が呼ばれたのは、その流れの一環でした。私が、前々回のフェンスブックで紹介した「人間主義的経営」の本を読んだ時、このバーンハイムさんを思い出し、また我が故郷の偉人・近藤林内さんを思い出しました。林内さんは、バーンハイムと同じくお酒作りをして富を得ました。林内さんの作った酒を棚田米から再現できたら・・・・などと、妄想したのでした・・・