自然素材で治す

モグサは、よもぎの葉の細かい毛を集めた自然素材。モグサに火をつける線香もまた、﨓(タブ)の木の樹皮を粉末にしたものに、白檀(びゃくだん)や伽羅(きゃら)といった香木の粉末や他の香料、炭の粉末、その他の材料を加えて練り、線状に成型・乾燥させたもので、自然素材です。特に鍼灸師用の線香は、煙と灰が少なく太めの線香になっており、使い勝手がいいのです。

冬場になり、手足が冷えて仕方がない患者さんには、鍼とお灸の治療でどちらがいいのか伺うようにしています。足に焼き切るお灸をしているにも拘(かか)わらず、お灸を望む患者さんが多いのです。今回の60才代の女性患者Aさんも足のお灸を希望されました。

「お灸からは、痛いけど元気をもらえるんです。」

私も最近、糸状灸(糸状になった細いモグサの艾炷→ガイシュ)と紫雲膏(火傷に効き、艾炷を立てる土台になる)の形状と量の関係を自分のカラダを通して人体実験しています。Aさんが言われるように、あの火から瞬間的にエネルギーをもらえます。カラダがシャキッとするのです。自然素材と火だけで、カラダが良くなる療法を素晴らしいと思いませんか?石油で出来た病院の薬に頼っているカラダを不自然と思いませんか

見つけた足の治療点に、糸状灸を1~2壮すると肘、膝、首の診断点が緩みます。Aさんの様子を観察すると、糸状灸の火が皮膚に到達した瞬間、診断点の首が緊張するのが分かります。その次の瞬間に緩むのだと思います。首は内臓の状態が分かるので首が緩むことで内臓が整い、治療点のある足も暖かくなるのです。

今後もAさんのような症例をしっかりと集めて行こうと思います。