大学時代、共同生活をしていた親友Aさんが、患者さん。
世界ツアーをしている舞踏グループのメンバー。腰痛と古傷の膝が気になるそうです。
治療をしながら、昔話がポロポロ。
「石井さん(伝説の舞踏家)を大学に呼んだのは、Aじゃったろ?」
「違う、違うUだよ・・・ワークショップをアクアク(ジャズ喫茶)でする様になって・・・あの頃、転形劇場をやったり・・・大杉漣さんも来たよ、近藤等則さん、田中泯さん、そのポスターを作ったのが、畠山直哉。」
ポロポロ出てきます。訳が分からない勢いのある流れに飛び込み、遊び、もがき共に過ごした友。
その友のカラダを丁寧に触れる時、石井満隆氏のワークショップがよみがえります。
「人生は、即興です」
の一言で、石井満隆ワークショップが始まりました。その言葉の波動が、カラダに火をつけ、今までの生き様と、これからの生き様を踊って表現していったのです。
「お〜〜い、ここ痛いじゃろ」
私が触れたのは、膝の内側にあるしこり。丁寧に探り鍼を刺します。普段からカラダの手入れをしている
舞踊家の筋肉は、素晴らしく柔らかい。触れていくうちに、段々と頭が下がっていきます。何か神々しい
ものに触れている感覚。
治療しているにもかかわらず、私が治療を受けているような感覚になります。カラダは小宇宙。その小宇宙で表現している舞踊家は、神の域に近づいて行くのだろと思います。Aさんは、舞台に上がっただけで、観衆から拝まれような舞踊家になって行くことでしょう。大野一雄さんのように。
いつの間にか、治療は終わっていました。