カリン

「先生、昨日差し上げたカリンですけど、あれは薬用だそうです。妹が焼酎に漬ける方法を知っているので、またお教えしますね。」

80才代の女性患者Aさんからの電話です。立派なカリンを戴いたので、改めてカリンについて調べてみました。

『カリンは中国が原産地。バラ科カリン属の果実で、古くから薬用として用いられていたようです。カリンの花言葉は、春に淡いピンク色の美しい花を豊かに咲かせるところから「豊麗」と言われています。

日本では香川県をはじめ山形県、愛媛県、山梨県、長野県など全国各地で栽培されていますが、寒さに強く、暑さに弱い植物です。庭園樹としても人気があります。

カリンにはさまざまな栄養素が含まれていますが、代表的なものは、「アミグダリン」「カリンポリフェノール」「ビタミンC」「カリウム」「食物繊維」などがあります。

アミグダリン

カリンには、せき止めに良いとされるアミグダリンという成分が含まれていますが、効果に関する十分な根拠はありません。むしろアミグダリンは体内で腸内細菌により分解されると、青酸中毒をおこす危険性があるので、注意が必要です。とはいえアミグダリンは、加熱・アルコール漬け・加糖加工の過程で毒性は分解され、アミグダリンの残存する量は僅かで、健康に悪影響がない量だそうです。普通に作れば何の問題もありません。アミグダリンは種子に多く含まれるので、加工しても種子を食べないよう注意する必要があります(不安な方は、種を入れずに加工しましょう)。

カリンポリフェノール

カリンにはタンニンをはじめとしたポリフェノールが含まれています。カリンポリフェノールには抗酸化作用があり、細菌やウイルスによるのどの炎症を鎮めてくれる働きがあると言われています。

ビタミンC

カリンに含まれるビタミンCは、コラーゲンの合成を高めて美肌を保つ効果があると言われています。また、シミ・そばかすを予防する働きも期待できます。

食物繊維

カリンは食物繊維が豊富で、特に不溶性の食物繊維が多いです。不溶性食物繊維は、腸内の有害な物質を吸着し、体外への排出を助ける働きがあります。

カリウム

カリウムは、人体に欠かせないミネラルの一つです。

ナトリウムの排出を促して血圧の上昇を抑える働きがあり、高血圧の予防になると言われています。更に腎臓にたまりやすい老廃物の排せつを促す働きも期待できます。』

実家の神社境内にカリンの木があり、沢山の実がなるので、お参りに来られた方々へ、去年は差し上げていたようでした。今年はどうなのでしょう?標高250mの実家は、カリンの木には程よい寒さなので、沢山の実がなるのでしょう。Aさんに教えてもらう方法で、カリンの焼酎漬けを作ってみます。