70才代の女性患者Aさん、昨年11月より右股関節痛のため、介護認定を受けるほど日常生活に支障がかかるようになりました。歩く姿勢は、前かがみで腰が引けた状態です。今回で4回目の治療となります。1回目の鍼灸治療でかなり改善され、痛みが1/3くらいになりました。そこで、今回は操体法だけによる治療に挑戦しました。
畳部屋とベッドで仰向けになることが出来るのですが、Aさんの場合脊柱の一部が突起しているため、柔らかいベッドで仰向けになっていただきました。今回は股関節だけでなく右膝にも痛みがあります。病院でもらった痛み止めの薬を飲むと、痛む個所が移動するので困っているそうです。
膝を伸ばすと痛いので膝下にクッションを置いての施術となりました。多くの患者さんは右骨盤が上がっています。これは、腸管膜根(ちょうかんまっこん)という左第一腰椎から右仙骨にかけて存在する部位がストレスで緊張するため、右骨盤が上がるためです。Aさんもやはり右骨盤が1.5cmくらい上がっています。両膝を立ててもらいゆっくり左に倒すと、右股関節に痛みがありますが、右に倒すと痛みはありません。
「Aさん、左に倒して痛くなる手前まで、倒していただけますか?・・・・そしたら、ゆっくりと右側に倒していただけますか?・・・・・実際には、私が両手で押さえていますので、膝は動かないのですが、カラダの内側が連動して動きます」
「はい。」
「決して無理しないでください・・・カラダの中心、腰を使って・・・背中・・肩甲骨、首も使って・・・・目は閉じたままで遠くに目線を置きましょう。」
などと誘導しながらゆっくり動いてもらいます。すると、1回の操法で骨盤がそろいました。次は、右外踝(右の外側にあるクルブシ)付近の圧痛点に右中指を軽く触れるだけの操法。
「右膝が痛くなりました。」
「そしたら、右膝を意識してください・・・・そこに、ゆっくり息を吹きかけてみてください。2回普通呼吸をして、また息を吹きかけることを、続けてみてください。」
「・・・・不思議、痛くなくなりました・・・・お薬なんて、いりませんね。」
「本当ですね。」
などと会話をしながら、楽しく施術ができました。終了後、
「先生、畳で仰向けになっても・・・・背中が痛くない!」
「それは、よかった・・・・良くなっていますね。」
次回の施術時、その後の経過をしっかり聞いみようと思います。