鍼灸師として治療していて、つくづく感じるのは、カラダの治ろうとする健気(けなげ)な姿勢です。その姿勢に導かれながら、治療が行えるのです。特に山元式新頭鍼療法(YNSA)は、患者さんに診断点や治療点の痛みを伺いながらの協同作業なので、お互いが患者さんのカラダを通して、その時々の反応を感じ取ります。この反応こそが、カラダが良くなろうと向かうベクトルなのだと思います。
山元敏勝先生の著書「あきらめなければ、痛みも、麻痺も、必ず治る!」にその本質が書かれていますので抜粋いたします
『体は、自分で自分を治療する力を持っている
人間の体は、つねに「元気にしよう、もっと元気にしよう」という方向に向かって、さまざまな機能を働かせています。
針の効果をご説明したときに、人間の体は、モルヒネと同じ働きをして、痛みを止める「エンドルフィン」という物質をつくり出せることをお話ししました。このほかにも、人間の体は、心筋梗塞や狭心症の治療に用いられる、「ニトログリセリン」と同じ働きをする「EDRF」と言う物質を作り出すこともわかっています。
最近では、痛みを軽減させたり、精神を安定させたりする「オキシトシン」というホルモンが体をなでるだけで分泌されることもわかってきました。私たちの体は、体にトラブルが起きると、それを治療する物質が分泌されるようにできているのです。「医学の父」といわれる古代ギリシャのヒッポクラテスは、「人間は誰でも、体の中に100人の名医を持っている」と述べています。
体が持つ、自分で自分を治療し治す力、つまり、「自己治癒力」は、驚くべき力を備えていて、痛みであっても、体の不調であっても、うつ病やパーキンソン病の症状があっても、そして麻痺であっても、改善させる力を備え持っています。
YNSAの針の役割は、その力を引き出すに過ぎません。症状を改善させているのは、自分の体自身なのです。』