チネオール

お灸に使うモグサは、ヨモギの葉の裏側にある2種類の毛から出来ています。一つは毛茸(もうじょう)と呼ばれる密生した白い毛で、もう一つは腺毛。これは「チネオール」という精油を含んでいるため、抗炎症作用、鎮痛作用、鎮静作用などの働きを促すそうです。このヨモギの作用と共に患部を直接お灸で温めて血行を良くすることにより、痛みは改善されるのです。

私が小学生の頃は、すり傷が絶えませでした。その度に、ヨモギを見つけては平らで大きな石の上に置き、拳(こぶし)より小さめの石で、たたいてその汁を傷口につけて治療をしていました。この時の原体験がカラダに染みついているのでしょう、いつのまにか鍼灸師になっていました。

「ひろむ(私の本名)、ケガしたらヨモギの汁を付けたらええんじゃ、それで治るんじゃ。」

これが、父親の生き様であり、私もそのように生きてきました。京都の山奥美山町で生活していた時、木から転げ落ちた事がありました。その時も、右膝の傷口にヨモギ汁をしっかりと塗りつけたのですが、中々腫れが治らないので、翌日病院に行ったのです。

「いいですか、ケガをしたら余計なものを塗ったりしないでください・・・・傷口が悪化するだけです。」

と医師に言われ、以後ヨモギ汁は使わなくなりました・・・・でも、チネオールの作用は信じています。